人材を活用したい

求人広告を出稿する際の禁止表現、NGワードについて

求人広告を出稿する際に、禁止されている表現があることを知っていますか?

弊社でもスタッフを募集する際に、求人媒体の営業マンから、広告文案に対して多数のダメだしをくらったことがあります。

求人応募を集めるためには、魅力的な求人内容を記述して広告を作成したいと思うことでしょう。特定の方に応募してもらいたいので、直接的にその表現をしようと思うこともあるでしょう。

しかし、求人広告の記載内容に禁止表現が使用されていると、法令違反となり注意以上の事態に陥ってしまう場合もあります。

こうした状況から、求人広告を出す際に注意しなければならない表現や、禁止表現、禁止ワードなどを事前に知ることで、法令に則った求人広告を作成することができ、採用時のクレームやトラブルも防ぐことができます。

そこで今回は、求人広告を作る際に注意するべき法令に基づく表記の規制、知っておきたい禁止表現や禁止ワードについてご紹介します。

求人広告で注意するべき法令に基づく表記の規制とは?

求人広告を制作する際に禁止されている表現は、さまざまな法律によって定められています。まずは、求人広告を作成する前に理解しておくべき法律をご紹介します。

労働基準法

労働基準法とは、労働条件の原則や決定についての最低基準を定めた法律で、 正社員はもちろん、短時間労働者(パート、アルバイト)、派遣労働者、外国人労働者 などに対しても適用されます。求人広告を見る対象は入社前であるため「労働者」には該当しませんが、求人広告を作成する際には遵守する必要があると考えられています。

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法とは性別を理由とする差別を禁止した法律 男女雇用機会均等法は、企業に雇用されて働く従業員が、性別を理由にして差別を受けることがないように制定されました。 男女間の格差をなくし、個々人が十分に能力を発揮できる雇用環境を整備するための法律です。本法令により、性別による差別を禁止することで、男女それぞれが能力を発揮し、職場においての均等な機会と地位向上を支援する目的で定められました。

最低賃金法

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。 仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。本法令により、使用者が労働者に支払わなければならない最低賃金を定めることで、労働者の安定した生活を送れるよう、労働条件の改善を図ることを目的としています。

雇用対策法

雇用の基本となる法律で、雇用に関する国の制度や理念などが示されています。2018年に働き方改革推進のための法改正の際、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と法律名が変わりました。この中には募集や採用における年齢制限の緩和など、事業主に対する指針が定められています。

職業安定法

職業の紹介や、募集と供給を規定している法律です。公共職業安定所やその他の職業安定機関、それ以外のものが行う職業紹介事業などの運営を適正にし、職業の安定を図ることなどが目的とされています。

なお職業安定法では、求人票に以下項目の記載について定めています。

求人記事に最低限記載すべき項目

1.労働者の業務内容
2.労働契約の期間
3.就業する場所
4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間と休日
5.賃金(賞与などについては別途規定あり)
6.健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用有無など

ハローワークなどを利用せず求人サイトや求人誌などに求人広告を掲載する場合、上記6項目を記載する法律上の必要性はありません。しかし、転職希望者にとって有益な情報を提供するためにも最低限この6項目は掲載しましょう。何らかの理由で掲載できない場合であっても面接の際に呈示するなど、労働条件について正確かつ詳細に伝えておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。また、政府は求人票については次のような指針を示し、その内容について正確性を求めるなどの配慮を求めています。

求人広告を作成する際は、これらの法律を厳守する必要があります。法律やモラル違反につながらない求人広告を作るためにも、雇用に関する法的規則をしっかり理解しておく必要があるでしょう。

求人広告に掲載してはいけない禁止表現

求人広告を作成する際に気をつけたい禁止表現にはどのようなものがあるのでしょうか? 種類別に記載しますので、求人広告を作成するときの参考にしてください。

禁止表現①:性差別表現(男女雇用機会均等法)

男女雇用機会均等法により、労働者の募集や採用に際して、性別を理由とする差別は禁止されています。禁止されている内容と表記方法のNG例・OK例を、以下にまとめました。

内容 表記NG例 表記OK例
男性または女性など、性別を理由に求人や採用の対象から排除する禁止表現 主婦歓迎 主婦(夫)歓迎
営業マン 営業マン(男女)、営業職、営業スタッフ
看護婦 看護師
ウエイター ホールスタッフ
女性歓迎 女性活躍中※採用にかかわる意思ではなく、企業や現場の現状を表す事実なのでOK
男性、女性それぞれの募集人数の記載 募集人数:男性5名、女性3名 募集人数:8名
性別で異なる条件を記載した表現 営業スタッフ(男性:法人営業経験あり、女性:未経験可) 営業スタッフ(法人営業経験者歓迎。未経験可)
性別で異なる情報提供や採用試験をする記載 ・男性のみ説明会参加
・女性のみ面接あり
説明会・面接※男女ともに同一の試験内容を実施する
性別を限定して募集や採用対象から排除する表現 ・女性秘書
・支店長候補(男性歓迎)
・秘書
・支店長候補(男女)

※業務を行う上でどちらかの性別でなければならない理由がある「適用除外職種」として認められている求人は例外とされており、性別を限定しても違反にはなりません。

適用除外職種の例

・女優、男性モデル
・現金輸送車の警備員(男性のみ)
・巫女、女性更衣室の係員、レースクイーン
・重量物運搬(男性のみ)

禁止表現②:年齢差別表現(雇用対策法)

雇用対策法により、労働者の募集や採用の際に、年齢を制限する表現は禁止されています。禁止されている内容と表記方法のNG例・OK例は以下通りです。

内容 表記NG例 表記OK例
募集や採用の対象から特定の年齢層を排除する表現 ・募集年齢: 35歳まで
・18歳以上
・年齢の表記は禁止
・年齢不問
特定の年齢層の応募を排除する表現 若い方歓迎 学生歓迎
※高校生や大学生の場合、年齢の決まりはないため年齢制限にならない
特定の年齢層に対し条件をつけた表現 45歳以上の方の適性検査を実施 全員適性検査を実施

※長期勤続によるキャリア形成のため、若年者を期間を定めず募集・採用する場合など「年齢制限に合理的な理由があると認められる」場合は例外とされています。

年齢制限が適用されるための条件

・定年年齢を上限に、労働者を期間の定めなく募集・採用する場合
・長期勤続によるキャリア形成のために、若年者を期間の定めなく募集・採用する場合
・技能を継承するため、労働者数の少ない職種や年齢層を対象に、期間の定めなく募集・採用する場合
・60歳以上の高年齢層または特定年齢層の雇用を促進する施策の対象者のみ、募集採用する場合

禁止表現③:特定の人を差別・優遇する表現(労働基準法)

特定の人に対する差別的な意図で記載された表現や特定の人を傷つける表現は、「差別表現」にあたるため、求人広告を作成する際にも注意が必要です。差別の意識の有無にかかわらず、受け取る側が不快な思いをするような表現やワードの使用は避けましょう。

また、新型コロナウイルスのワクチン接種を採用条件とすることも現状日本では不可能です。国はワクチン接種を「推奨」にとどめており義務化はしていないため、ワクチン接種の拒否による不利益措置は違法となる可能性があることに注意しましょう。

内容 表記NG例 表記OK例
人種、民族、国家 ・外人
・原住民
・後進国
・外国人
・現地人
・発展途上国
部落差別 特殊部落 被差別部落、同和地区
地域 ・〇〇県にお住まいの方 出身地や居住地の特定はしない
心身の障害や身体的特徴 ・色盲、色覚異常
・ブラインドタッチ
・色覚障害
・タッチタイピング
性格 ・コミュニケーション能力が高い人 ・コミュニケーションを取りながら接客が出来る人
※性格ではなく、個人の能力に関することはOK
ワクチン接種等の有無 ・ワクチン接種必須 ・ワクチン接種推奨

禁止表現④:実態と異なる好条件(労働基準法・最低賃金法 他)

求人広告を作成する際、あえて好条件を記載して労働者をだます行為は禁止されています。企業の経営状況などにより求人広告掲載時から入社時に掛けて労働条件が変わることも考えられますが、その場合は候補者にきちんと説明するようにしましょう。

また禁止表現以外にも、「給与が最低賃金を下回っていないか」「就業時間が法定労働時間を超えていないか」「勤務時間が6時間を超える場合に最低45分、8時間を超える場合に最低1時間の休憩時間が取れているか」など、労働基準が法に反していないかも確認しましょう。

禁止表現を記載するとどうなる?

実際とは異なる内容の求人広告や、禁止表現を使用した求人広告を掲載すると、6カ月以下の懲役または30万以下の罰金刑が科せられます。

また、労働関係の法律に違反した場合、是正勧告などの行政指導を受ける可能性があります。最終的に是正されなければ企業名が実名で公表されるなど、社会的制裁を受けることになるでしょう。

法的なトラブルだけでなく、モラル違反によるトラブルも起こるリスクがあるということを十分理解し、禁止表現を記載しないよう細心の注意を払うことが大切です。

禁止表現に注意しながら求職者をひきつける求人広告をつくろう

性別や年齢などの禁止表現に注意することは、求人広告を作成する上で最低限守らなければならないルールです。禁止表現に関する法律をしっかり理解し、禁止表現や禁止ワードを使用していないかを念入りに確認するようにしましょう。

また、仕事内容や待遇を正確に記載することで、求職者との採用後のミスマッチやトラブルを防ぐこともできます。求職者にとってわかりやすく、採用がスムーズに進む求人広告を作成しましょう。

本記事は、2024年7月21日時点のものであり、法令の変更に伴い内容が変更になっている場合もありますので、詳細は、各法令を確認することをお勧めします。

【参考】
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」
厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」
厚生労働省「男女均等な採用選考」
厚生労働省「採用選考自主点検資料~公正な採用選考を行うために~」
採用百科事典-人事・経営者のための採用情報サイト「アルバイト求人募集の広告表現NG禁止ワードまとめ」
mitsucari「求人票に書いてはいけないNGワードとは?禁止表現の注意点」
人材採用・人材募集ドットコム「人材募集で気を付けるべき規制事項」
飲食店.COM「年齢や性別を制限した求人募集はできない? 求人広告のNGワード&対処法」
求人広告のNGワード・禁止表現まとめ

  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

-人材を活用したい