先日、ある居酒屋の店主からこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、正直しんどいんです。ホットペッパーのクーポンを出し続けているせいで、来るお客さんはクーポン目当てばかり。料理には自信があるのに、値段でしか見てもらえていない気がして……」
この言葉、すごく刺さりました。料理に誇りを持っているからこそ、値段でしか評価されないことへの悔しさがにじみ出ていた。
そして正直に言うと、これはその方だけの話じゃない。全国の飲食店・美容室・小売店の経営者さんの多くが、同じジレンマを抱えています。「値引きしないとお客さんが来ない」という思い込みの罠に、気づかないうちにはまってしまっているんです。
今日は、価格競争から降りるとはどういうことか、どうすれば「値段ではなく価値」で選ばれる店になれるのか、私ハワードジョイマンの一日の仕事の流れと重ねながらお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- なぜ値引き集客が利益を蝕むのか、その構造的な理由
- 「価値で選ばれる店」を作るための具体的な3つのアプローチ
- メニュー名・POPひとつで客単価が変わる「ご利益の言葉」の使い方
- 価格競争から降りた店舗の実際の成果事例
こんな方におすすめ
- ✅ クーポン・値引き集客に違和感を感じ始めている飲食店・美容室オーナーの方
- ✅ 「うちの料理(技術)は負けていない」のに売上が伸びないと悩んでいる方
- ✅ ホットペッパーや食べログへの依存から抜け出したい方
- ✅ 値上げしたいけれど客離れが怖くて踏み切れない方
- ✅ 利益が残る店舗の仕組みを作りたい方

目次
朝9時・開店前の「価値の言語化」作業から一日が始まる
私の一日は、静岡市清水区の事務所に着いてコーヒーを淹れるところから始まります。新清水駅から徒歩1分という立地なのに、この時間帯は静かで、一番集中できる。
この時間に必ずやっていることがあります。それは会員さんのメニューや販促物を見直す「価値の言語化」作業です。
たとえば、あるお店のメニューに「ハンバーグ 980円」と書いてあったとします。これを見てお客さんが思うことは何でしょうか。「安いか高いか」——それだけです。価格でしか判断できる情報がないから、比較の軸が値段になってしまう。
これを「黒毛和牛100%・石窯で表面を炙った肉汁溢れるハンバーグ 980円」に変えると、お客さんの頭の中で起きることが変わります。「石窯で炙る」「黒毛和牛100%」という言葉が価値の根拠になり、980円という数字が「それだけの価値があるなら食べてみたい」に変わる。
私はこれを「ご利益の言葉」と呼んでいます。お客さんが知りたいのは「このメニューを注文したら自分がどう良くなるか」——その答えを言葉にして伝えること。これが価格競争から降りる第一歩です。
「値引きは一瞬の集客になるかもしれない。でも価値訴求は、来るべきお客さんを長期的に引き寄せ続ける。どちらがお店のためになるかは、聞くまでもない話です」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店コンサルタント)
午前中の会員サポートで見えた「価格競争に引き戻される構造」
10時になると、増益繁盛クラブの会員さんとの電話やメールでのやり取りが始まります。
今日もある飲食店オーナーから相談がありました。内容はこうです。「新メニューを作って値段を少し上げたら、お客さんが減った気がする。やっぱり値段を戻すべきでしょうか」
私はこう聞き返しました。「値段を上げたとき、メニューの説明文は変えましたか?」
答えは「変えていない」でした。
ここが落とし穴です。価格を上げるだけでは「値上げ」にしかなりません。価格に見合う価値をきちんと言葉で伝えて初めて「価値の提示」になる。伝えなければ、お客さんは「前より高くなった」という印象しか受け取れません。
価格競争に引き戻される店には共通するパターンがあります。
❌ よくある価格競争パターン
- メニュー名が「作業名」のまま(カット、ハンバーグ、刺身盛り合わせ)
- 価格だけを変えて、価値の説明が一切ない
- クーポンを出すほど「クーポン客」しか集まらなくなる
- 競合が値引きすると自分も値引きしてしまう
✅ 価値で選ばれる店のアプローチ
- メニュー名に「ご利益の言葉」を入れ、食べた後の体験・気持ちを伝える
- 価格改定と同時に「なぜその価格なのか」の根拠を言葉にする
- クーポンではなくストーリーで集客し、共感客が集まる
- 競合の値引きを横目に「うちはこの価値で勝負する」と腹が決まっている
✓ ここまでのポイント
- 価格競争から降りるとは「値段の土俵に乗らない」こと。そのためにメニュー名・説明文を「ご利益の言葉」に変換することが最初の一手。
- 値段を上げるだけでは「値上げ」。価値を言葉で伝えて初めて「価値の提示」になる。この違いが客離れを防ぐかどうかの分岐点になる。
昼すぎのメニュー分析作業|「松竹梅の法則」で選ばせる設計を作る
午後は、会員さんのメニューブックの構成を一緒に考える時間になることが多いです。
よくあるのが「一番安いメニューしか売れない」という悩みです。原因を聞くと、たいていメニューが「安い順」に並んでいます。お客さんの目線は自然と上から下へ流れますから、一番上にある安いメニューに視線が止まってしまう。
これを解決するのが「松竹梅の法則」の活用です。
メニューを3段階(松・竹・梅)で設計し、真ん中の竹を一番売りたいメニューに置く。人は極端を嫌い、真ん中を選ぶ心理があります。これを活かして、粗利率の高い商品・名物メニューを竹の位置に設計する。
さらに、メニューブックの1ページ目・右上(視線が最初に向かう位置)に「今一番売りたいメニュー」を置くだけで、注文が変わります。特別な設備投資はゼロ。メニューブックのレイアウトを変えるだけです。
チェックポイント1:メニューの並び順を見直しているか
あなたのメニューブック、今すぐ確認してみてください。一番安いメニューが一番上・一番目立つ位置にありませんか?
✅ ポイント:メニューは「安い順」ではなく「売りたい順+客単価設計順」で並べ直すこと。視線の動線を意識したレイアウトが、追加投資ゼロで客単価を上げる最短ルート。
チェックポイント2:「名物メニュー」が1つ存在するか
「この店といえばこれ」と即答できるメニューがありますか?地域で唯一の存在感を持つ名物メニューがあると、お客さんは価格ではなく「あれが食べたい」で来店します。
✅ ポイント:名物メニューは既存メニューの組み合わせや調理法の変更から生まれることが多い。ゼロから開発する必要はなく、「既存要素の新しい組み合わせ」で作れる。
チェックポイント3:POPやメニュー説明に「ご利益の言葉」があるか
テーブルのPOPや黒板に書かれている言葉を見てください。「本日のおすすめ」だけでは、お客さんに何も伝わっていません。
✅ ポイント:POPには「誰が」「どんな気持ちになるか」「なぜおすすめなのか」の3要素を入れる。「料理人歴20年の店主が週に一度だけ仕込む特製〇〇」のように、ストーリーと根拠を短文で添えるだけで反応が変わる。
「価値で選ばれる店は、黙っていても選ばれるわけじゃない。価値を言葉にして、お客さんの目に見える場所に置いて初めて伝わる。メニューもPOPも、すべてが営業マンです」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
会員事例から学ぶ|価格競争を抜け出した店の共通点
私がコンサルティングを始めて20年以上、全国の飲食店・美容室・小売店の経営者を指導してきた中で、価格競争から抜け出した店舗には共通するパターンがあります。
「ランチメニューを大幅に見直して、地域に存在しない独自プレートを作りました。ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3品盛りで2,300円。正直、高いかなと心配でしたが、『こんなのここにしかない』という口コミが広がって、むしろ客数が増えました。値引きしなくても来てもらえるんだと初めて実感しました」
和歌山県・飲食店オーナー(月商130万円→450万円へ伸長)
「麺の幅を少し広くしただけで、SNSで写真を撮って投稿してくれるお客さんが増えました。既存メニューをちょっと変えるだけで差別化できるって、目からウロコでした。設備投資もゼロです」
奈良県・うどん店オーナー(SNS経由の注文が1.5倍に)
この2つの事例に共通するのは、「値段を下げることなく」「大きな投資をすることなく」価値の見せ方を変えた点です。
値引きせずに客単価・客数を同時に伸ばすことは、理論ではなく実際に起きています。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、実践者が全国に存在しています。
夕方・一日を締めくくる「明日の価値設計」
15時を過ぎると、私の営業時間は終わります。でも頭の中はまだ動いています。翌日の会員さんへの提案や、新しい教材の構成を考えながら事務所を出る。
価格競争から降りるというのは、一日でできることではありません。メニューを少し変える、POPを書き直す、メニューブックの並び順を変える——こうした小さな積み重ねが、半年後・一年後に「あの店は違う」と思われる店舗の土台になります。
私がテレビ東京「ガイアの夜明け」で取材を受けたとき、記者の方から「値引きをしない経営を続けられる理由は何ですか?」と聞かれました。
答えはシンプルです。「自分の店の価値を信じているから」。そしてその価値を言葉で伝え続けているから。
価値で選ばれる店を作るのに、特別な才能や大きな予算は必要ありません。必要なのは「ご利益の言葉」で自分の店の価値を伝える習慣と、価格競争に乗らないという経営者としての覚悟です。
まとめ|今日から始める「価値の言語化」3ステップ
最後に、今日から実践できることを3つに絞ってお伝えします。
価値の言語化 STEP 1
メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換える
「ハンバーグ」→「黒毛和牛100%・石窯炙り 肉汁溢れるハンバーグ」のように、食材の背景・調理法・食べた後の体験を短く添える。まず1品だけでいい。
⚠️ よくある失敗:全メニューを一度に変えようとして途中で止まる。1品だけ変えて反応を見る、という小さな実験から始めること。
価値の言語化 STEP 2
メニューブックの並び順を「売りたい順」に変える
一番粗利率が高く、店の個性が出るメニューを右上・最初のページに移動する。価格は変えなくていい。置く場所だけ変える。
⚠️ よくある失敗:メニューを全部作り直そうとしてコストと手間がかかる。まず今のメニューの並び順を変えるだけで試すこと。
価値の言語化 STEP 3
テーブルかレジ前のPOPに「なぜこのメニューなのか」の理由を1枚書く
手書きで構わない。「当店イチオシの理由」「店主が週に一度だけ仕込む」など、ストーリーの断片を一言添えるだけで、お客さんの興味が変わる。
⚠️ よくある失敗:完璧なデザインにしようとして手が止まる。手書きA4一枚から始めて、反応が出たらデザインを整える順番が正解。
価格競争から降りるのは怖いことではありません。自分のお店の価値を信じて、その価値を伝える言葉を磨いていくプロセスです。
もし「うちの店の価値、どう言葉にすればいいか分からない」と感じているなら、まず私のメルマガを読んでみてください。全国1万人以上の経営者が読んでいる「繁盛店になるための12のステップ」では、こうした価値の言語化・集客の仕組みづくりを順番に解説しています。専門用語は一切使っていません。
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