結論から言うと、「コンセプト」は「お客さんが一言で他人に説明できる状態」になって初めて機能します。「こだわりの食材を使った、アットホームなお店」――これはコンセプトではありません。どこにでも当てはまる説明文です。真に機能するコンセプトとは、「○○といえば、あのお店」と地域の人の脳内に刷り込まれる一言です。今日はそのコンセプト設計を、私ハワードジョイマンの実際の一日に沿いながらお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 「ふわっとしたコンセプト」と「尖ったコンセプト」の決定的な違い
- コンセプト設計を一日の中でどう実践指導しているか
- コンセプトが決まると売上にどう直結するか、具体的な事例
- 今日からできるコンセプト設計の3ステップ
こんな方におすすめ
- ✅ 「うちのお店のウリは何ですか?」と聞かれると言葉に詰まる方
- ✅ ホットペッパーや食べログに頼らず自力集客の仕組みを作りたい方
- ✅ 値引きせずに「選ばれるお店」になりたい方
- ✅ メニューや外観を変えずに集客力を上げるヒントを探している方
- ✅ 地域でNo.1のポジションを狙いたい飲食店・美容室・小売店の経営者

目次
朝10時、コンサルの一日はお客さんの「悩みの棚卸し」から始まる
私の事務所は静岡市清水区の新清水駅から徒歩1分のところにあります。毎朝10時に席について最初にやることは、メールとメルマガの返信です。読者数1万人超のメールマガジン「繁盛店になるための12のステップ」を通じて、全国の飲食店・美容室・小売店経営者から毎日のように声が届きます。
その中でも特に多い相談が「コンセプトがうまく作れない」という悩みです。でも話を聞いてみると、ほとんどの方が「コンセプトが作れない」のではなく「コンセプトとは何かを誤解している」状態にあります。
「季節の素材を大切にした和食のお店です」
「居心地の良い空間でゆっくりくつろげます」
「スタッフ全員が笑顔でお迎えします」
これらはすべて「ふわっとしたコンセプト」の典型です。どれも否定できないし、どれも他店に使い回せる。つまり、あなたのお店を選ぶ理由になっていない。
「コンセプトは、お客さんが友達に説明するときの一言です。その一言が出てこないなら、コンセプトはまだ存在していません」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 代表・中小企業診断士)
午前の個別相談——「尖ったコンセプト」に必要な3つの問い
午前中は個別面談コンサルティングの時間です。今日は飲食店の経営者Aさんとのセッション。Aさんは和歌山県でランチ営業を中心にした洋食店を営んでいます。「集客が頭打ちで、何を変えればいいか分からない」というのが今日のテーマでした。
私がAさんに最初に投げかけた問いはシンプルな3つです。
チェックポイント①:「誰のためのお店か」を言えるか
「どんなお客さんに来てほしいですか?」と聞くと、多くの経営者が「どなたでも歓迎です」と答えます。でも「誰でもOK」は「誰にも刺さらない」と同義です。30代のランチ需要のOLなのか、60代の常連夫婦なのか、接待利用のビジネスマンなのか。ターゲットを絞ることへの恐怖感を手放すところからコンセプト設計は始まります。
✅ ポイント:「絞り込むと客が減る」ではなく「絞り込むと刺さる客が増える」。富士山(日本一高い山)は誰でも知っているが、北岳(2位)を答えられる人はほぼいない。1番に選ばれる何かを作る勇気が必要です。
チェックポイント②:「なぜ他店ではダメなのか」を説明できるか
Aさんのランチメニューはハンバーグ・エビフライ・ステーキが定番でした。どれも美味しい。でも、近隣にも似たような洋食店がある。「なぜ他店ではなくAさんの店でないといけないのか」を問うと、長い沈黙がありました。この沈黙こそが課題の核心です。
✅ ポイント:他店との違いを「素材」「技術」「雰囲気」で語ろうとするのをやめる。「この組み合わせはここにしかない」という体験の独自性で語れると、コンセプトが一気に尖ります。
チェックポイント③:「お客さんが一言で説明できるか」を確認しているか
コンセプトの完成度は「お客さんが友達を誘うときの一言」で測れます。「あのお店、美味しいよ」はコンセプトではない。「あそこはランチでメイン3品が一度に食べられる、あの値段でね」なら紹介が生まれます。口コミは「一言で説明しやすい店」から広がるのです。
✅ ポイント:自分でコンセプトを考えるだけでなく、今来てくれているお客さんに「このお店を友達に説明するとしたら何と言いますか?」と実際に聞いてみる。お客さんがすでにコンセプトを持っていることが多い。
✓ ここまでのポイント
- コンセプトは「誰でも使い回せる言葉」ではなく「あなたの店だけに当てはまる一言」でなければならない
- 「誰でも歓迎」はターゲット設計の放棄。絞り込みがコンセプトを尖らせる
- 完成度の基準は「お客さんが友達に一言で説明できるか」
「和歌山県のあるランチ専門の飲食店さんが、ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3品を同時盛りにしたプレートを開発したんです。2,300円〜2,500円という価格で、地域にまったく存在しないコンセプトになりました。その結果、月商130万円だったのが450万円になった。コンセプトが尖ると、価格も自然と上がるんです」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 代表・中小企業診断士)
昼休みの振り返り——「既存要素の組み合わせ」でコンセプトは作れる
午後のセッションに入る前、私は必ずランチをとりながら「今日の事例で使えるフレームはあるか」を整理します。20年間、全国の飲食店・美容室・小売店を指導してきた中で確信していることがあります。それは「コンセプトはゼロから生み出すものではなく、既存要素の新しい組み合わせで作る」ということです。
カツカレーはカツ料理とカレー料理の組み合わせ。消しゴム付き鉛筆は鉛筆と消しゴムの組み合わせ。奈良県のあるうどん店は、麺の幅を少し広げただけでSNSでバズが起き、SNS経由の注文が1.5倍になりました。「既存の要素をどう組み合わせ直すか」が、コンセプト設計の本質的な作業です。
❌ よくある失敗パターン
- 新しいメニューを一から考えようとして迷走する
- 「競合に勝てるもの」を探して価格競争に入る
- 「他店がやっていないこと」を奇をてらった方向に求めすぎる
✅ 推奨アプローチ
- 自店にすでにある素材・技術・顧客層・立地を書き出す
- 「この3つを組み合わせたら何が生まれるか」を考える
- 既存のお客さんが「ここに来る理由」をヒアリングして言語化する
午後のセッション——コンセプトを「売れる言葉」に変換する
コンセプトが決まったら、次はそれを「ご利益の言葉」に変換する作業です。私が20年間、一貫して指導してきたのはこの変換作業の重要性です。
コンセプト設計 STEP 1
コンセプト設計 STEP 1
「作業名」をやめて「ご利益の言葉」に変換する
「カット」→「朝のセットが3分で決まる扱いやすさデザイン」、「ハンバーグ定食」→「肉汁があふれ出す、地元素材のごちそうランチ」。メニュー名・コンセプトの言葉が「作業の名前」のままでは、お客さんの頭の中で「自分がどう良くなるか」がイメージできない。お客さんが知りたいのは「このお店を選んだら自分はどう幸せになるか」です。
⚠️ よくある失敗:コンセプトを考えたのに、メニュー名は変えない。これではコンセプトが看板で止まり、売上には直結しません。コンセプトとメニュー名と接客トークを三位一体で変える必要があります。
コンセプト設計 STEP 2
「脳内SEO」を仕掛ける
「○○といえばこの店」と地域の人の頭の中で一番に思い出されることを、私は「脳内SEO」と呼んでいます。Googleの検索結果で1位を取るようなイメージです。日本で一番高い山は誰でも知っている。2番目に高い山を即答できる人はほとんどいない。この「1番の力」をコンセプトで作るわけです。鳥取のあるラーメン店では、GoogleビジネスプロフィールとAIを使って口コミを分析し、「懐かしさとスープの質」という自店のコンセプト核を発見しました。それをメニューのキャッチコピーに反映したことで、訴求力が大きく改善しました。
⚠️ よくある失敗:コンセプトを作ったが、どこにも書いていない。看板・メニューブック・SNS・Googleビジネスプロフィールのすべてに一貫したコンセプトの言葉が並んでいる状態を作ることが目標です。
コンセプト設計 STEP 3
「第2のお財布」でコンセプトを複数の収益源に広げる
コンセプトが尖ると、店内売上以外の収益源にも応用できます。千葉県のお好み焼き店では「手作り感のある温かい食事を提供する」コンセプトを軸に、製薬会社向けのMR弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する安定収益ルートを構築しました。店内売上以外の「第2のお財布」を作ることで、月次キャッシュが安定し、値引きに頼らない経営が実現しました。
⚠️ よくある失敗:コンセプトを「外向け」にしか使わない。コンセプトは社内向けにも使えます。スタッフ採用・教育・接客の基準を「コンセプトに合っているか」で判断するだけで、組織の方向性が揃います。
「月商130万円だったお店が450万円になった事例も、麺の幅を変えただけでSNSがバズったうどん店の事例も、共通しているのは『値引きしていない』ということです。コンセプトが尖ると、価格で勝負しなくてよくなります」
増益繁盛クラブ会員・飲食店経営者(和歌山県)
まとめ——「ふわっとしないコンセプト」が、値引きいらずの繁盛店を作る
今日の一日を通じてお伝えしてきた内容を整理すると、コンセプト設計とは「お客さんが一言で説明できる状態を作ること」です。そのために必要なのは、次の3つです。
- 誰に届けるかを絞り込む(ターゲットを明確にする)
- 既存の要素を新しく組み合わせる(ゼロから作ろうとしない)
- コンセプトを「ご利益の言葉」に変換し、看板・メニュー・SNSに一貫させる
私が20年間・全国の飲食店・美容室・小売店経営者を指導してきた経験からはっきり言えること。「値引きしないと売れない」と感じているお店の多くは、コンセプトがふわっとしているか、そもそもないかのどちらかです。尖ったコンセプトがあれば、お客さんは「このお店でないといけない理由」を自分で見つけてくれます。
コンセプト設計は、一日では完成しません。でも今日の夜、「自分のお客さんが友達に自分の店を説明するとしたら、何と言うだろう?」と想像するところから、始められます。
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