先日、静岡市内の飲食店経営者の方からこんな相談をいただきました。「ジョイマンさん、近所に新しい店がどんどんできているのに、来る人の数は増えない。これって、もう限界ってことですか……」
人口減少時代に飲食店が生き残るには、「新しいお客さんをどこから連れてくるか」ではなく「今来てくれているお客さんに、どれだけ選ばれ続けるか」という顧客シェア重視の経営への転換が答えです。市場が縮んでも、一人のお客さんが自分の店を使う頻度と金額を増やせれば、売上は伸びます。人口が減ることは変えられませんが、経営の設計は今日から変えられます。
📋 この記事でわかること
- なぜ人口減少が飲食店の「新規集客依存」を直撃するのか
- 顧客シェアを高めるための具体的な仕組みとは何か
- 値引きせずに客単価・来店頻度を上げる実践的な方法
- 収益源を複数持つ「お賽銭箱思考」の活用法
こんな方におすすめ
- ✅ 売上が横ばい、または少しずつ下がってきていると感じている飲食店経営者の方
- ✅ 人口が少ない地方や郊外でお店を経営していて、集客に限界を感じている方
- ✅ 食べログやホットペッパーへの依存から脱出したいと考えている方
- ✅ 値引きクーポン以外の集客・売上アップの方法を知りたい方
- ✅ 10年・20年と続く店の経営基盤を作りたいと考えている方

目次
人口減少は飲食店に何をもたらすのか?
少し大きな話から始めます。江戸時代の日本の人口は約4,000万人でした。明治以降に急増し、現在は約1億2,600万人。でも今後は確実に減っていく。政府の推計では、2070年には約8,700万人になるとされています。
これが飲食店にとって何を意味するかというと、「商圏内を歩いているお客さんの数」が物理的に減っていくということです。新規客を呼び込もうと広告を打っても、そもそもの「母数」が少なくなっていく。新規集客に頼り続ける限り、コストは上がり続けるのに成果は下がっていく、という構造になります。
中小企業診断士として20年以上・全国の飲食店・美容室経営者を指導してきた経験からはっきり言えます。「新規客をどう集めるか」だけを考えている店は、人口減少の波に正面からぶつかることになります。逆に、「今いるお客さんとの関係をどう深めるか」を軸にした店は、人口が減っても売上を維持・成長させることができます。
「人口減少に対して悲観的になる必要はない。問題なのは人口ではなく、一人のお客さんをどれだけ深く知っているかだ。半径10分にいるお客さんを徹底的に大切にすれば、それだけで充分に繁盛できる。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
「顧客シェア」とは何か?なぜ今重要なのか?
「マーケットシェア(市場占有率)」という言葉はご存じの方も多いはずです。でも私が飲食店の経営者に強調しているのは「顧客シェア」という考え方です。
顧客シェアとは、一人のお客さんが1ヶ月に外食に使うお金のうち、自分の店が占める割合のことです。たとえば、あるお客さんが月に外食に2万円使っているとして、そのうち自分の店で使う金額が4,000円なら顧客シェアは20%。これを8,000円にできれば、新規客を増やさなくても売上は単純に2倍になります。
これが「半径10分ビジネス」という私の考え方の本質です。遠くから新しいお客さんを呼んでくることより、近くにいるお客さんとの関係を深め、より多くの機会に選ばれる存在になること。これが人口減少時代における生き残りの基本戦略です。
では、顧客シェアを高めるには何が必要か。大きく3つあります。
❌ よくある経営パターン(新規集客依存)
- 食べログ・ホットペッパーへの掲載に毎月数万円払い続ける
- クーポンで来てもらうが、次の来店につながらない
- 「来店してくれたお客さん」のことをほとんど把握していない
✅ 顧客シェア重視の経営(推奨アプローチ)
- 一度来てくれたお客さんのリストを作り、LINE配信やDMで定期的に接触する
- 「次回来店の理由」を店内で意図的に作る(次回予約・季節限定メニューの告知等)
- お客さんが「この店のことが気になる」と思う情報を継続的に発信する
✓ ここまでのポイント
- 人口減少により、新規客の「母数」が減り続けるため、新規集客依存の経営は構造的に厳しくなっていく
- 「顧客シェア」=一人のお客さんが自店に使う割合を高めることが、人口減少時代の本質的な戦略
- 半径10分にいる既存客との関係を深めることで、市場が縮んでも売上を伸ばすことは十分可能
値引きせずに来店頻度・客単価を上げるには?
「お客さんに何度も来てもらうには値引きが必要では?」という声をよく聞きます。でも私は創業以来20年間、一貫して「値引きに頼らない繁盛店作り」を指導してきました。なぜなら、値引きは顧客シェアを高めません。むしろ「クーポンがあるときだけ来る客」を量産するだけだからです。
では、値引きなしで来店頻度と客単価を上げるにはどうすればいいか。鍵は「ご利益の言葉」と「接触頻度」の2つです。
チェックポイント1:メニュー名は「作業名」になっていないか
「カット2,200円」「ハンバーグランチ1,100円」——これは作業名です。お客さんが本当に知りたいのは「このメニューを選ぶと、自分はどう良くなるのか」という「ご利益」です。「朝のセットが3分で決まる扱いやすさデザインカット」「地元産黒毛和牛の粗挽き肉汁あふれる煮込みハンバーグランチ」——メニュー名一つ変えるだけで、同じ価格でも注文率が上がり、値上げをしても客離れしない構造ができます。
✅ ポイント:まず自店のメニュー表を見直し、「作業名になっているもの」をリストアップするところから始めてください。お客さんがそのメニューを注文した後にどんな気持ちになるかを言葉にするのが「ご利益の言葉化」の第一歩です。
チェックポイント2:お客さんとの「接触頻度」は設計されているか
心理学に「ザイアンス効果」というものがあります。人は接触回数が増えるほど、その対象に好感を持ちやすくなるという効果です。来店してくれたお客さんにLINEを登録してもらい、週1回でも「今週のおすすめメニュー」「仕込みの裏話」「季節の食材入荷情報」を発信するだけで、頭の中での存在感が全然違います。「そういえば最近あの店行ってないな」——この発想をお客さんの頭の中で起こすのが、接触頻度設計の目的です。
✅ ポイント:まず来店客のLINE登録率を上げることから始めましょう。「今月のお得情報を月1回配信」という一言をレジ横に置くだけで、登録率は変わります。
「奈良のうどん店さんで、麺の幅を少し広くしただけでSNSがバズって注文が1.5倍になった事例があります。新しいものをゼロから作る必要はない。今あるものの組み合わせを変えるだけで、お客さんの目には全く新しい体験として映るんです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
「ジョイマンさんに教わってランチメニューを変えただけで、月商が130万円から450万円になりました。値引きは一切していません。お客さんに価値が伝わる言葉に変えただけで、こんなに変わるとは思っていませんでした。」
和歌山県の飲食店経営者(増益繁盛クラブ会員)
「お賽銭箱を複数持つ」収益設計とは何か?
人口減少時代にもう一つ欠かせない発想が、収益源を複数持つことです。私はこれを「お賽銭箱を複数持つ」と表現しています。
一つの賽銭箱(店内売上)だけに頼っていると、何かあったとき——悪天候、近隣の工事、コロナのような感染症——その一つが止まった瞬間に収入がゼロになります。でも、賽銭箱が5つあれば、一つが止まっても残り4つが稼いでいます。
チェックポイント3:店内売上以外の収益源はあるか
千葉県のお好み焼き店の事例をお話しします。この店のオーナーは、近隣の製薬会社向けに「MR弁当」(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作りました。毎朝安定した売上が入る「第2のお財布」ができたことで、店内売上が少ない日でも資金繰りに余裕が生まれました。
飲食店の賽銭箱の候補は意外と多くあります。法人向け弁当・ケータリング、通販・物販(自家製タレやコーヒー豆など)、デリバリー、料理教室、サブスク会員制(月定額で週1回ランチを提供するなど)——いずれも特別な設備投資なしで始められるものが多いです。
✅ ポイント:今の自店のリソース(厨房・スタッフのスキル・顧客リスト)を使って「もう一つの賽銭箱」を作れないか、書き出してみてください。一つ追加するだけで経営の安定感は大きく変わります。
購買行動7段階で、自店の「どこが弱いか」を診断するには?
「売上を上げたい」と思ったとき、多くの経営者が最初にやることは「新規集客」です。でも実は、新規集客は7つある売上向上の手段の中で最もコストが高いものの一つです。
私が20年間指導してきた「顧客購買行動7段階モデル」では、お客さんの行動を次のように分解します。
①知る → ②興味を持つ → ③来店しようとする → ④入店する → ⑤注文する → ⑥会計する → ⑦再来店する
売上が上がらないのは、必ずこのどこかのステップでお客さんが脱落しているからです。そして人口減少時代は特に、⑤〜⑦(注文・会計・再来店)の改善に注力することが効果的です。なぜなら、すでに来てくれているお客さんに働きかけるので、集客コストがかからないからです。
チェックポイント4:一番売りたいメニューはどこに置かれているか
メニューブックで、一番利益率の高いメニューはどこに配置されていますか?「なんとなく値段が安い順」になっていませんか。人は最初に目に入ったものを注文しやすい傾向があります。一番売りたいメニューをメニューブックの最上部・左上に置くだけで、注文点数と客単価が変わります。
✅ ポイント:今日、閉店後にメニューブックを開いてみてください。「本当は一番売りたいメニュー」と「実際に一番目立つ場所にあるメニュー」が一致しているかを確認するだけで、すぐに改善できる箇所が見えてきます。
チェックポイント5:満席で帰らせたお客さんへの対応はできているか
満席でお断りしたお客さんに、「次回使える2週間限定の再来店券」を渡していますか?何もせずに帰ってもらえば、そのお客さんは「そういえばあそこ満席だったな」と別の店に行きます。再来店の仕掛けを一つ作るだけで、①〜③の集客コストをかけずに⑦の再来店を実現できます。
✅ ポイント:「待ちリスト」や「次回予約」の仕組みを店に取り入れることは、値引きなしで再来店率を高める最もシンプルな方法の一つです。
まとめ:人口が減っても選ばれ続ける店になるために
人口減少という大きな流れは、誰にも止められません。でも、だからといって飲食店が生き残れないわけでは全くありません。
鍵はシンプルです。「広く薄く新規客を追いかける経営」から「近くにいるお客さんに深く選ばれる経営」への転換。具体的には、①メニューを「ご利益の言葉」で表現し直す、②LINE等で接触頻度を設計する、③収益源を複数持つ「お賽銭箱思考」を取り入れる、④購買行動の7段階で自店の弱いステップを見つけて改善する——この4つを順番に実践するだけで、市場が縮んでいる環境の中でも売上・利益を伸ばしていくことは十分に可能です。
私が指導してきた会員さんの中には、月商300万円からスタートして月商2億5,000万円を達成した飲食店経営者もいます。特別な立地や莫大な設備投資があったわけではありません。「仕組みの質を変えた」だけです。
まず自店の現状を7段階で棚下ろしし、どこを改善すれば売上が動くかを見つけることから始めてみてください。その具体的な方法を、無料メールセミナーで順を追ってお伝えしています。
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