年末年始、初詣でお賽銭を投げた記憶がある方も多いと思います。神社には大小さまざまなお賽銭箱が置かれていて、参拝者がそれぞれの箱にコインを入れていく。あの光景をぼんやり眺めながら、私はいつも「経営も同じだな」と思うんです。
1つの箱だけに頼っていたら、その箱が空になったときに終わり。でも複数の箱があれば、1つが空になっても他から収入が入ってくる。
飲食店の「店内売上だけ」という経営モデルは、この「お賽銭箱が1つだけ」の状態に近い。コロナ禍を経験した多くの飲食店経営者が、まさにこの怖さを身体で感じたはずです。
今回は、飲食店が店内売上以外に「第二・第三の柱」を育てるための考え方と、具体的な第一歩をお伝えします。難しい話ではありません。今すでに持っているリソースを、少し違う角度で使うだけです。
📋 この記事でわかること
- 「お賽銭箱を複数持つ」発想が飲食店経営に必要な理由
- 店内売上だけに依存するリスクを自己診断する方法
- 飲食店が今すぐ始められる第二収益源の具体例
- 第二の柱を育てるための3ステップとよくある失敗
こんな方におすすめ
- ✅ 売上が店内飲食の一本だけで、何か他の収益源を持ちたいと考えている飲食店経営者
- ✅ 忙しく働いているのに手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ デリバリーや弁当販売に興味はあるが、何から始めればいいかわからない方
- ✅ 値引きやクーポン以外の集客・売上アップ方法を探している方
- ✅ 「このまま一本足打法で大丈夫か」と漠然と不安を抱えている方

目次
「店内売上だけ」という構造が抱えるリスク
飲食店の収益のほとんどが「店内飲食の売上」だけ——これは多くの個人経営店に共通する構造です。席数が決まっている以上、最大売上には物理的な天井があります。満席にしても、1日に回転できる数には限りがある。
もっと怖いのは、何かのきっかけで客足が落ちたとき、収入がほぼゼロに近づくという脆さです。悪天候、近くの道路工事、ライバル店の出店、感染症の流行——どれも「よくあること」なのに、一本だけでは対処しきれない。
私がよくお伝えするのは、「収益経路を5つ作って、1つが20%ずつ担えば、1つ消えても残り80%は守れる」という考え方です。全部が一気に崩れることはほぼない。だから、まず「2本目」を育てることが、経営の安定への一番の近道なんです。
チェックポイント①:あなたの収益源は何本ありますか?
今の店の売上を「どこから入ってきているか」で書き出してみてください。店内飲食だけ、または店内飲食+Uber Eatsの2本という方がほとんどではないでしょうか。
✅ ポイント:まず現状の収益源を「見える化」することが第一歩。書き出すだけで「うちは一本足だった」と気づく経営者が非常に多いです。
チェックポイント②:売上が落ちたとき、別の収入はありますか?
台風で臨時休業した日、近所で工事が入った週——そんなとき、どこかから売上が立つ仕組みはあるでしょうか。
✅ ポイント:「ない」と答えた方は、今の経営が環境変化に対して無防備な状態です。ただし、これは今日から変えられます。
「第二の柱」とは何か——飲食店が持てる収益源の具体例
「第二の柱を作る」と聞くと、「新しいことを始めるお金も時間もない」と思う方もいるかもしれません。でも、そうじゃないんです。
大事なのは、すでに持っているもの(厨房・スタッフ・食材・顧客)を、別の角度で使うこと。ゼロから何かを生み出す必要はありません。
飲食店が比較的取り組みやすい収益源の例を挙げてみます。
❌ よくある考え方:「第二の柱 = 大きな設備投資か新業態の出店が必要」
- 初期費用が高く、リスクが大きい
- 失敗したときのダメージが店全体に及ぶ
- 忙しい経営者がさらに忙しくなる
✅ 推奨アプローチ:「今あるリソースを別の切り口で使う」
- 厨房・食材・スタッフはそのまま活用できる
- 小さく始めてリスクが低い
- うまくいけば少しずつ拡大できる
具体的には、こんなパターンがあります。
① テイクアウト・デリバリー
すでに多くの店が取り組んでいますが、メニュー設計を「店内と別に考える」と差別化しやすくなります。テイクアウト専用の「映える弁当」を作って、SNSで発信するだけでも反応が変わります。
② 法人向け弁当(MR弁当・オフィス向け)
近隣の企業・病院・クリニック向けに定期受注できれば、天候に左右されない安定収益になります。単価も2,500〜3,000円と高めに設定できるため、粗利が残りやすい。
③ 物販(こだわり食材・調味料・冷凍メニュー)
「このタレはどこで買えますか?」と聞かれたことがある店主は、すでに物販の種を持っています。人気メニューを冷凍にしてお取り寄せ対応するだけで、商圏が全国に広がります。
④ ケータリング・出張料理
法人の社内イベントや個人の自宅パーティーへの出張は、1件あたりの単価が大きい。常連客から「家でもこの味を」と思われている店ほど、意外と声がかかりやすいジャンルです。
⑤ 料理教室・体験イベント
閉店後の厨房や、平日ランチ前の空き時間を使って、料理教室を開く。参加者がそのままお店のファンになる「一石二鳥」の効果があります。
「千葉県のお好み焼き店さんは、製薬会社向けの弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作りました。これで安定した朝の収益ルートができた。店内売上が落ちても、この収益が毎朝入ってくるという安心感は、経営者のメンタルにも大きく影響しますよ。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
✓ ここまでのポイント
- 飲食店の「店内売上一本依存」は、環境変化に弱い構造的リスクがある
- 第二の柱はゼロから作るのではなく、今あるリソースを別角度で活用することで生まれる
- テイクアウト・法人弁当・物販・ケータリングなど、設備投資なしで始められる選択肢は複数ある
実際にどんな変化が起きているか——現場の事例
「理屈はわかるけど、本当にそんなにうまくいくの?」と思う方のために、実際に起きた変化をお伝えします。
「和歌山県の飲食店さんは、ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3種を同時盛りしたプレート(2,300〜2,500円)を開発しました。地域にそのメニューがなかったので、SNSで話題になり、客単価と客数が同時に上がった。新しい設備は何も要らなかったんです。月商130万円から450万円まで伸びました。」
増益繁盛クラブ会員・和歌山県の飲食店経営者
このケースのポイントは「地域に存在しない組み合わせ」を作ったことです。ハンバーグもエビフライも、それぞれはどこにでもある。でも「3つを同時に盛る」という組み合わせが差別化になった。
千葉県のお好み焼き店さんも、法人弁当という「第二のお財布」を手に入れたことで、「今日のランチが混まなくても大丈夫」という精神的な余裕ができたとおっしゃっています。この安心感が、実は次のチャレンジへの原動力になるんです。
第二の柱を育てる3ステップ
「何から始めればいいかわからない」という方のために、シンプルな3ステップでお伝えします。
第二の柱づくり STEP 1
今のお店の「資産」を書き出す
厨房設備、食材の仕入れルート、スタッフの人数と得意なこと、常連客の属性(会社員が多い、子育て世代が多いなど)——これらをA4一枚に書き出してみてください。「何を使って、誰に、何を売れるか」のヒントが必ず見つかります。
⚠️ よくある失敗:「うちには特別な資産なんてない」と思って書き出しをやめてしまうこと。普段当たり前に使っている厨房も、仕入れ先との関係も、常連客のリストも、すべてが「資産」です。
第二の柱づくり STEP 2
1つだけ小さく試してみる
複数の選択肢が見えてきても、最初から全部やろうとしないことが大事です。まず1つ選んで、1か月だけ試してみる。たとえば「近隣の会社に弁当の案内を10社に送る」「テイクアウト専用メニューを1品だけ作ってSNSに投稿する」——このくらいの規模でいい。
⚠️ よくある失敗:「ちゃんと準備してから始めよう」と思って、何ヶ月も動かないこと。完成度より行動速度のほうがずっと大事です。
第二の柱づくり STEP 3
反応を見て、育てるか・やめるかを判断する
1か月試したら、数字と手応えを振り返ります。「注文が来た」「問い合わせがあった」「SNSで反応があった」なら続ける。反応がなければ別のアプローチを試す。この繰り返しで、自店に合った第二の柱が育っていきます。
⚠️ よくある失敗:1回試してうまくいかなかったときに「やっぱりダメだった」と全否定してしまうこと。やり方を変えれば結果は変わります。
まとめ——「お賽銭箱を複数持つ」は、今日から始められる
飲食店の第二の柱づくりは、難しいことでも特別なことでもありません。今すでに持っているもの(厨房・食材・スタッフ・お客さんとの関係)を、少し違う使い方をするだけです。
大切なのは「1つだけに依存しない」という発想を持つこと。お賽銭箱が1つでは、その箱が空になったとき手詰まりになる。でも複数あれば、1つが空でも他から入ってくる。
私自身、20年以上・全国の飲食店・美容室経営者を指導してきた中で、「第二の柱を育てた後から経営が安定した」という声を何度も聞いてきました。北海道から沖縄まで、業種も規模も違う経営者たちが共通して経験することです。
「何から始めればいいかわからない」という方には、まず店の資産の書き出しから始めてみてください。それだけで、次の一手が見えてきます。
より具体的な販促の改善方法や、売上の仕組みづくりについては、下記の教材で体系的に学べます。第二の柱の設計から集客の仕組みまで、実践ベースで解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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