「ウチのメニューの原価率は30%に収めているのに、なんで利益が残らないんだろう」
「値上げしたいけど、お客さんが離れるのが怖くて踏み切れない」
「周りのお店が値上げしているのを見て、自分もやらなきゃと思うけど、何を基準にすればいいのかわからない」
こういう悩み、持っていませんか。
飲食店の価格設定といえば、多くの経営者がまず「原価率」を基準にします。「食材費を売上の30%以内に抑える」「原価率30%なら利益が出るはず」――そういう考え方です。
でも実際には、原価率を守っていても利益が残らない。忙しく働いているのにお金が手元に来ない。そんな状態に陥っている飲食店経営者が、全国にたくさんいます。
この記事では、原価率だけで価格を決めることの落とし穴と、値引きに頼らずに客単価と利益を同時に伸ばすための価格設定の考え方を、具体的にお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 原価率だけで価格を設定してはいけない、本質的な理由
- 「利益から逆算する」価格設計の具体的な手順
- 値上げしても客離れしない「価値訴求」のメソッド
- 客単価を自然に引き上げる、メニュー設計の実践ポイント
こんな方におすすめ
- ✅ 原価率を守っているのに月末にお金が残らないと感じている飲食店経営者の方
- ✅ 値上げしたいが客離れが怖くて踏み切れない方
- ✅ 「うちの料理は他店に負けていない」のに価値が伝わっていないと感じている方
- ✅ クーポン・値引き以外の集客・単価アップの方法を探している方
- ✅ 売上は立っているのに利益が薄く、経営の先行きに漠然とした不安がある方

目次
原価率30%を守っても利益が残らない、本当の理由
原価率という指標は、確かに飲食店経営において大切な数字です。でも、原価率はあくまで「売上に対する食材費の割合」であって、「利益が残るかどうか」を保証するものではありません。
たとえば月商300万円で原価率30%なら、食材費は90万円。残り210万円が粗利です。ここから人件費・家賃・光熱費・広告費・消耗品費・リース料などの固定費と変動費が引かれていく。東京や大阪の繁華街なら家賃だけで50〜80万円、人件費もパートを入れれば100万円を超えることはザラです。
粗利210万円から200万円以上が消えれば、手元に残るのは数万円。これが「忙しいのにお金が残らない」構造の正体です。
問題は原価率ではなく、「いくら粗利を稼げば、固定費を払った後に自分の手元に残るか」という設計が抜けていることにあります。原価率を守ることに集中するあまり、利益を逆算する発想が後回しになっている。多くの飲食店経営者が、この落とし穴にはまっています。
「売上より先に、利益を設計してください。65歳で引退してから20年生きるとして、老後に必要なお金はいくらですか。そこから逆算すると、今月いくらの利益が必要かが決まる。その利益を出すために、客単価と粗利率をどう設計するか——この順番で考えない限り、いくら原価率を守っても、ずっと忙しいだけで終わります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
価格設定の正しい出発点は「利益の逆算」にある
では、どこから価格設定を考え直せばよいのか。答えは「利益ベースの逆算」です。
手順を整理すると、こうなります。
価格設計 STEP 1
必要な手取り利益を先に決める
老後の生活費・子供の教育費・設備の更新費用など、経営者自身の人生設計から「月にいくらの利益が必要か」を先に数字で出します。仮に月50万円の利益が必要だとしましょう。
⚠️ よくある失敗:「とにかく売上を上げれば利益も増えるはず」と考えて、利益の目標を設定しないまま値引き集客を続けてしまう。売上が増えても固定費・変動費が比例して増えるため、利益は薄いまま。
価格設計 STEP 2
必要な粗利額を計算する
月50万円の利益を出すには、固定費を払った後に50万円残る必要があります。固定費の合計(家賃・人件費・光熱費等)が月150万円なら、必要な粗利は200万円です。
⚠️ よくある失敗:「粗利」を売上と混同してしまう。売上が200万円あっても、食材費・消耗品などの変動費が引かれた後の粗利が200万円でないといけない。
価格設計 STEP 3
客数×客単価のシミュレーションをする
必要な粗利200万円を確保するために、月何人のお客さんに来てもらい、1人当たりいくら使ってもらうかを設計します。月1,000人・客単価3,000円(粗利率67%想定)なら粗利は約200万円。しかし月500人・客単価5,000円でも同じ粗利が出せます。後者のほうが、オペレーションの負荷は圧倒的に小さい。
⚠️ よくある失敗:とにかく客数を増やそうとして、安いクーポンで集客する。客数は増えるが客単価が下がり、粗利は増えない。むしろ忙しくなるだけで手元に残るお金が減る。
✓ ここまでのポイント
- 原価率を守るだけでは利益は残らない。利益を出すには「固定費+必要利益」から逆算する設計が必要
- 客数を増やすより客単価を上げるほうが、オペレーション負荷が低く粗利改善効果が大きい
- 価格設定の出発点は「今月いくらの利益が必要か」という問いへの答えにある
値上げしても客が離れない「価値訴求」の仕組み
「値上げしたいけど、お客さんが離れるのが怖い」という声はよく聞きます。でもその不安の多くは、「値上げに見合う価値をお客さんにちゃんと伝えられていない」ことから来ています。
価格が問題なのではなく、その価格で得られる「ご利益」が伝わっていないことが問題なのです。
❌ よくあるパターン:メニュー名が「作業名」のまま
- 「ハンバーグ定食 880円」と書かれているだけで、なぜこのハンバーグが880円の価値を持つのかが伝わらない
- お客さんは価格だけで比較し、「もっと安い店でいい」という判断になる
- 値上げすると客が減る、という結果が実際に起きる
✅ 推奨アプローチ:メニュー名を「ご利益の言葉」に書き換える
- 「国産和牛100%・炭火で炙った肉汁あふれるハンバーグ定食」と書くことで、このメニューを選ぶ理由がお客さんに伝わる
- 価格と価値の釣り合いが取れて見えるようになり、値上げへの抵抗感が減る
- 同じ素材・同じ料理でも、言葉の設計だけで注文率が変わる
私がよくお伝えするのは「お客さんが知りたいのは、このメニューを注文した後に自分がどう良くなるか、だ」という話です。
お客さんはハンバーグそのものを食べたいのではなく、「美味しいものを食べて気分が上がる時間」「記念日に喜ばれる体験」「ランチを特別なものにしたい気持ち」を買っています。その気持ちに応える言葉をメニューに書けているかどうか——ここが価格設定の成否を分けます。
「ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを一皿に盛った『メイン3つ同時盛り』プレートを2,300〜2,500円で出したら、月商が130万円から450万円になりました。地域にないコンセプトで、値引きは一切していません。」
和歌山県・飲食店経営者(増益繁盛クラブメンバー)
この事例が示すのは「価格の高さ」よりも「このお店でしか食べられない」という独自性と、それを支える言葉の力です。2,300〜2,500円という価格は、ランチとしては決して安くありません。でも「3つ同時盛り」という体験価値の言語化が、その価格への納得感を生んでいる。
客単価を自然に引き上げる「松竹梅」メニュー設計
価格設定において、もう一つ見落とされがちなのが「メニューのラインナップ設計」です。
お客さんが注文を決めるとき、選択肢の中で「真ん中あたりのものを選びやすい」という心理が働きます。これを「松竹梅の法則」と呼んでいますが、この性質をメニュー設計に活かしているお店は、実は非常に少ない。
チェックポイント1:メニューは安い順に並んでいないか
メニューブックを開いたとき、一番安いメニューが上に来ていたり、左上に配置されていませんか。視線が最初に触れる場所に最安値メニューがあると、お客さんは自然とそこを基準に考えます。一番売りたいメニュー・一番利益率の高いメニューを、視線が集まる位置(メニューブックの右上・1ページ目の中央)に置くことが基本です。
✅ ポイント:「売れるメニューをどこに置くか」を意識的に設計する。配置を変えるだけで注文構成が変わる。
チェックポイント2:3つの価格帯(松・竹・梅)が設計されているか
同じカテゴリのメニューに1種類しかない場合、お客さんは「頼む・頼まない」の二択しかできません。でも「スタンダード・プレミアム・グランプリ」の3段階があると、お客さんは「どれにしようか」と選ぶモードに入り、中間価格帯(竹)を選びやすくなります。結果として客単価が自然に引き上がる。
✅ ポイント:1つの商品カテゴリに3段階の選択肢を作る。梅(入門)で興味を引き、竹(標準)で売上を作り、松(最上位)で単価を引き上げる。
チェックポイント3:サイドメニュー・追加注文の導線があるか
客単価を上げる方法は「1品の価格を上げる」だけではありません。「1人当たりの注文点数を増やす」ことでも同じ効果が出ます。スタッフが自然に「本日のおすすめ小鉢はいかがですか」と声をかける仕組みがあるか、メニューに「このお料理に合うお酒はこちら」という誘導があるか——この設計が、客単価を10〜20%引き上げる日常の積み重ねになります。
✅ ポイント:1回の来店で注文点数を増やす導線(POP・スタッフトーク・メニュー表記)を意図的に設計する。
「月商300万円だったお店が月商2億5,000万円を達成した事例があります。もちろん一夜にして変わったわけではありませんが、値引きではなく、価値を伝える仕組みと価格設計の積み重ねが、こういう結果を生みます。20年以上、全国の飲食店・美容室を指導してきた中で、断言できることがあります。値引きで集めたお客さんは値引きが止まった瞬間に離れます。価値で選んだお客さんだけが、長く来てくれる。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
まとめ|価格は「原価率」ではなく「利益の逆算」と「価値の言葉」で決める
飲食店の適正価格を設定するとき、原価率はあくまでチェック項目の一つに過ぎません。本当に必要なのは次の3つの視点です。
- ① 必要な利益を先に決め、そこから客単価・粗利率を逆算する
- ② メニュー名・説明文を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換え、価格に見合う価値を伝える
- ③ 松竹梅の価格設計と注文導線で、値引きなしに客単価を引き上げる仕組みを作る
これは「強引に値上げする」とか「お客さんから搾り取る」という話ではありません。自分のお店の料理が持っている本来の価値を、ちゃんとお客さんに届けるための設計の話です。
「美味しいものを作れば客が来る」は、半分本当で半分嘘です。美味しいものを作るのは大前提。その上で、その価値をどう言葉にして、どう価格に乗せて、どう届けるかを設計できた店だけが、値引きに頼らず長く繁盛し続けられます。
私・ハワードジョイマンは、中小企業診断士(経済産業省登録番号402345)として20年以上にわたり全国の飲食店・美容室・小売店を指導してきました。テレビ東京「ガイアの夜明け」にも取り上げていただいた経営改善のメソッドを、まずは無料のメールセミナーでお試しいただけます。
「値引きせずに利益を増やす」仕組みの全体像を、12回のメールセミナーで順を追ってお伝えしています。価格設定・メニュー設計・集客の仕組みづくりまで、実践的な内容をお届けしていますので、ぜひ登録してみてください。
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静岡市清水区を拠点に、全国の店舗経営者を指導しています。どんな小さな疑問でも、まずはお気軽にメルマガ登録からどうぞ。お待ちしています。