「新しいメニューを作りたいけど、何から考えればいいかわからない」——そんな相談を受けるとき、私がまず聞くのは「今のお客さんは、あなたの店に何を解決しに来ていますか?」という質問です。
実はメニュー開発の相談が「途中で止まってしまう」最大の原因は、アイデアの不足ではありません。「飲食店だから飲食のメニューを作る」という枠の中だけで考え続けていることにあります。農林水産省の「食品産業動向調査」でも、外食産業の付加価値向上において「業態の枠を超えた商品・サービス開発」が課題として挙げられています(参考:農林水産省 食品産業動向調査)。枠の外に出ると、実は使えるリソースがたくさん目の前にあることに気づきます。
この記事では、新メニュー開発の相談をどこに持ち込めばよいか、そして相談の場に「何を持って行けば話が前進するか」を、具体的なステップで整理します。
📋 この記事でわかること
- なぜ「飲食店らしいメニュー」という発想が行き詰まりを生むのか
- 新メニュー開発を相談できる場所とその選び方
- 相談に持ち込むべき「4つの情報」の整理法
- 既存リソースの組み合わせで収益の柱を増やすステップ
こんな方におすすめ
- ✅ 新しいメニューや事業を考えたいが、何から手をつければいいかわからない方
- ✅ 「飲食店だから飲食」という枠の中でアイデアが煮詰まっている方
- ✅ 客単価を上げたいが、値引きでない方法を探している方
- ✅ 既存の設備やスタッフを活かして新たな収益源をつくりたい方
- ✅ 相談相手がおらず、一人でメニュー開発を抱え込んでいる方

目次
「何を作るか」より先に聞くべき質問がある
新メニュー開発の相談に来る経営者の方の多くは、最初に「こんな料理を作ろうと思っているんですが」という話から入ります。それ自体は悪くない。ただ、そのアイデアの根拠を聞くと「なんとなくトレンドっぽいから」「競合店がやっていたから」という答えが返ってくることが少なくないんです。
ここで立ち止まってほしいのは、お客さんは「業種業態」でお店を選んでいるのではないという点です。「今夜は焼鳥が食べたい」と思っているお客さんも、根本にあるのは「仕事の疲れを仲間と発散したい」「特別な夜を過ごしたい」という要望です。焼鳥という料理はあくまでも「手段」にすぎない。
この視点に立てると、新メニューのアイデアの出し方がガラリと変わります。「何を作るか」ではなく「どんな問題を解決するか」「どんな体験を提供するか」が起点になる。アメリカンエキスプレスはもともと運送会社でした。それが保険業に転換し、旅行者向けチェックを作り、やがてクレジットカードへと進化した。業種は変わり続けても、「旅する人を安心させる」という本質はブレていません。飲食店も同じ発想で考えると、メニュー開発の視野が一気に広がります。
「新しいメニューを作りたいという相談の8割は、実は『今のメニューの説明の仕方が変わっていない』という問題です。作る前に、今あるものをお客さんの言葉で語り直すだけで、売り上げが変わることが多い」
ハワード・ジョイマン(中小企業診断士・増益繁盛クラブ主宰)
「何から考えればいいかわからない」という状態で新メニュー開発を抱え込んでいる——その詰まりは、アイデアではなく「どこを起点にするか」が見えていないことが原因です。無料小冊子『顧客の購買行動を軸とした販促改善の教科書』では、お客さんの行動を8ステップに分解し、新メニューを「誰のどの場面に届けるか」を設計する具体的な考え方を解説しています。メールアドレスだけで、30秒で受け取れます。
新メニュー開発を「どこに」相談するか
相談先として思い浮かぶのは、調理師仲間、食材の卸業者、商工会の経営指導員、あるいは飲食専門のコンサルタントといったところでしょうか。それぞれに特性があります。
卸業者や調理師仲間は「作り方」の相談には強い。でも「それが売れるかどうか」「どのお客さんに向けて打ち出すか」という販促・集客の視点は、得意でないことがほとんどです。商工会の指導員は補助金や資金繰りには詳しいが、「どう売るか」「どうお客さんに伝えるか」まで踏み込んだ支援は難しいケースが多い。
結論から言うと、新メニュー開発を「売上と利益につながる形で」相談したいなら、集客・販促と一緒に考えられる場所に持ち込む必要があります。メニューは作って終わりではなく、「誰に」「どう伝えて」「どう注文してもらうか」まで設計してはじめて機能します。
たとえば、飲食店の経営コンサルにどんな悩みを相談すれば前進するかという観点で言えば、「メニュー開発」単体ではなく「そのメニューをどうお客さんに届けるか」というセットで持ち込むことが、相談をスムーズに前進させる最大のコツです。
✓ ここまでのポイント
- 新メニュー開発は「何を作るか」より「誰の何を解決するか」から考える
- 相談先は「作り方」と「売り方」を一緒に考えられる場所を選ぶ
- 業種の枠を外すと、既存のリソースから新しい収益の組み合わせが見えてくる
「既存リソースの組み合わせ」という発想は理解できても、自分の店で何と何を組み合わせるかを一人で考え続けると、やはり同じ枠に戻ってしまいます。無料小冊子『顧客の購買行動を軸とした販促改善の教科書』の巻末ワークシートを使うと、今の客層・立地・設備を棚卸しして組み合わせのタネを可視化できます。完全無料、登録はメールアドレスのみです。
相談に「何を持ち込めばよいか」——4つの情報整理
相談の場をどこに設定するかが決まったら、次は「何を持参するか」です。手ぶらで「新しいメニューを考えたい」と来ても、話が広がるだけで具体策には着地しません。以下の4つを整理して持ち込むと、相談の質がまったく変わります。
チェックポイント①:今のお客さんは「誰」で「何のために」来ているか
年齢層、来店動機、よく注文するメニュー、来店頻度。これをざっくりでもいいので言語化しておく。「30〜50代のサラリーマンが仕事終わりに一人で来ることが多い」という情報があれば、「その人が次に欲しいものは何か」という方向でメニューを考えられます。
✅ ポイント:口コミサイトや常連客との会話から「お客さんが使っている言葉」を拾うと、そこにニーズのヒントが隠れています。
チェックポイント②:今の店の「使っていないリソース」は何か
時間帯(仕込み時間・閉店後)、設備(大きなオーブン・冷凍設備)、スタッフのスキル、立地の特性(オフィス街・住宅街・観光地)。これらは「新事業のタネ」になりえます。
✅ ポイント:「今あるもの」を棚卸しするだけで、ゼロから考えるより圧倒的にアイデアが出やすくなります。カツカレーがカツとカレーの組み合わせで生まれたように、新しいものは既存要素の新しい組み合わせです。
チェックポイント③:客単価と利益率の現状数字
「新メニューで客単価を上げたい」と言っても、現状の客単価と原価率を把握していないと、目標が設定できません。大まかでいいので、現在の客単価・主力メニューの原価率・月の利益額を書き出しておく。
✅ ポイント:相談相手が「どこをどう改善するか」を具体的に提案できるのは、現状の数字があるときだけです。数字がない相談は「感想を言い合うだけ」で終わりやすい。
チェックポイント④:やりたくないこと・変えたくないことの整理
「朝の仕込みはこれ以上増やせない」「今のスタッフで回せる範囲でやりたい」という制約条件を最初に伝えておくことで、現実的な提案が返ってきます。
✅ ポイント:制約は「弱点」ではなく「選択の軸」です。やらないことを決めることで、やることが絞れます。
「客単価900円上がって、しかも新メニュー開発の時間まで確保できた。最初は『うちは他と違う』と言える自信がなかったけど、今は堂々と言えるようになりました」
焼鳥居酒屋オーナー(50代・男性)/増益繁盛クラブ会員
この焼鳥居酒屋のオーナーさんが変わったのは、「新しい料理を作った」からではありません。今あるメニューと今いるお客さんの組み合わせを見直し、「誰のために・何のために」を整理し直したことが起点でした。
持ち込んだ後の「3つのステップ」——相談を成果につなげる進め方
情報が整ったら、相談の場でどう進めるか。以下のステップで考えると、話がまとまりやすくなります。
新メニュー開発 STEP 1
「お客さんの問題解決・要望実現」に事業を定義し直す
「焼鳥屋だから焼鳥の新メニューを作る」ではなく、「来てくれるお客さんが次に欲しいものは何か」を出発点にする。仕事帰りの一人客が多いなら、「一人でゆっくり過ごせる時間を売る」という発想が出てくる。そこから「一人用コース」「日本酒ペアリングメニュー」という具体策が生まれる。
⚠️ よくある失敗:SNSで話題の食材やトレンドメニューをそのまま取り込もうとして、自店の客層や厨房の現実と合わず、作ったはいいが売れないという事態になる。
新メニュー開発 STEP 2
既存リソースと「他業種の要素」を組み合わせる
千葉のお好み焼き店が製薬会社向けに昼の弁当配達(1個2,500〜3,000円)を始めて安定収益を作ったのも、「お好み焼きの技術」×「近隣のオフィス需要」という組み合わせです。飲食店の調理技術は、店内で出すだけが使い道ではありません。テイクアウト・弁当・ケータリング・料理教室・食材販売——これらはすべて「既存の技術と設備」×「別の届け方」の組み合わせです。
⚠️ よくある失敗:新しい収益の柱を作ろうとして、既存の営業に支障が出るほど手を広げてしまう。最初は今の営業を圧迫しない「小さな実験」から始めること。
新メニュー開発 STEP 3
新メニューの「伝え方」まで設計して完成とする
メニューを開発したら、それをどのPOPで・どのタイミングで・どんな言葉でお客さんに届けるかまでを一緒に決める。飲食店のPOP作成で売れる仕組みを設計する方法でも触れていますが、どんなに良いメニューでも「伝え方」が弱ければ注文は入りません。メニュー名一つとっても、「豚の角煮」と「3時間煮込んだとろとろ豚の角煮」では、お客さんが受け取る価値がまったく違います。
⚠️ よくある失敗:メニューを作ることに集中して、告知・案内・注文の導線を後回しにしてしまう。開発と告知はセットで設計するのが原則。
また、新メニューをお客さんに知ってもらうための飲食店の販促を外部に依頼するときの発注の進め方も、合わせて確認しておくと相談がスムーズになります。
まとめ:「持ち込む前の整理」が相談の質を決める
飲食店の新メニュー開発を相談するとき、最も大切なのは「アイデアをたくさん持ち込むこと」ではありません。「誰の・何のために・今あるもので・何を組み合わせるか」を整理して持ち込むことです。
業種の枠を外して考えると、今の設備・スタッフ・立地・顧客がまったく違う使い方を始める。新しいものをゼロから作る必要はない。カツカレーがそうであるように、既存要素の組み合わせを変えることが、新しい収益の柱を生む最短ルートです。
「何を持ち込めばいいかわからない」という段階でも、今回整理した4つの情報(お客さんの来店理由・使っていないリソース・現状の数字・やりたくないことの整理)をメモ一枚にまとめて持っていくだけで、相談の場が確実に変わります。一人で煮詰まる前に、整理した情報を持って相談の場に飛び込んでみてください。
客単価900円アップを実現した焼鳥居酒屋のオーナーさんも、最初は「うちは他と違う」と言える自信がなかった——でも今は堂々と言えるようになった。そこに至る具体的な考え方と実践の仕組みを、増益繁盛クラブでは毎月の事例共有・セミナー・個別相談を通じて一緒に作り上げていきます。入会案内ページで、クラスごとの内容・料金・よくある質問を確認できます。