「うちは駅から遠いから、集客が難しくて……」
梅雨明けを境に、夏の食材が動き始める時期になると、こういう相談が増えます。近隣に新店がオープンした、道路工事で人の流れが変わった、観光客頼みだったのにコロナ以来戻りが鈍い――。きっかけは様々ですが、行き着く先は決まって「立地のせいだ」という結論です。
でも、少し立ち止まって考えてほしいのです。立地が悪いのに行列ができているお店、あなたの近くにも1軒や2軒、思い当たりませんか? 実はそういうお店に共通しているのは、「立地を言い訳にしないこと」より前に、「社長が現場仕事に追われていない」という事実なんです。
今回は、立地が不利な飲食店が集客を伸ばすための具体的な手順をお伝えします。ただしその前に、多くのお店が「立地の問題」と思い込んでいる悩みの本当の原因を、正直に話しておきたいと思います。
📋 この記事でわかること
- 立地が悪い飲食店で集客が伸びない「本当の原因」とその構造
- 社長が現場から抜けられないと集客の仕組みが作れない理由
- 駅から遠くても繁盛している店が共通してやっている3つのこと
- 今週から始められる「時間の棚下ろし」の具体的なやり方
こんな方におすすめ
- ✅ 「立地が悪い」ことを集客不振の主な理由にしている飲食店経営者の方
- ✅ 忙しく動いているのに売上が横ばい、利益が残らないと感じている方
- ✅ 集客の仕組みを作りたいが、時間も余裕もなくて手が動かない方
- ✅ 自分が休んだら店が止まると分かっていて、休めずにいる方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らず、地域に根ざした繁盛店を作りたい方

目次
「立地が悪いから集客できない」は半分正解、半分思い込み
立地が集客に影響するのは事実です。でも、立地の悪さを理由に挙げる経営者の多くが、実は別の問題を抱えていることに気づいていません。
先日、ある居酒屋の経営者の方からこんな相談をいただきました。最寄り駅から徒歩15分、住宅街の路地にあるお店です。「Googleマップにも登録しているし、インスタもやっているのに全然来ない」とおっしゃる。話を聞いていくと、Googleマップの最終更新は8ヶ月前、インスタの最終投稿は3ヶ月前でした。
なぜ止まったのか。「仕込みと調理と接客で手一杯で、スマホを触る時間がない」。
これが本質です。立地の問題ではなく、社長の時間の問題なんです。
駅から遠いお店が集客するには、「通りがかりに入ってもらう」という偶発的な来店を期待できない分、「わざわざ来てもらう理由」を意図的に作る仕組みが必要です。その仕組みを作るのは社長の仕事です。でも社長が毎日10時間以上、調理・配膳・レジ・掃除に使っていたら、仕組みを作る時間は永久にやってきません。
飲食店の売上が頭打ちになった時に、最初に見直すべき3つの数字でも触れていますが、売上の伸び悩みには必ず「見えている原因」と「本当の原因」があります。立地は見えている原因。時間の使い方が本当の原因であることが、思いのほか多いです。
「社長が現場から抜けられない」と分かっていながら、何から手をつければいいか見えていない状態が続いているとしたら、まず手元に「判断の地図」が必要です。無料小冊子『顧客の購買行動を軸とした販促改善の教科書』では、売上を「知る→来店→注文→再来店」の8ステップに分解し、社長が最初にどこを改善すべきかを確認できます。メールアドレスだけで今すぐ受け取れます。
社長が現場に入りすぎると、なぜ集客の仕組みが作れないのか
「自分でやったほうが早い」――この言葉、思い当たる方は多いんじゃないかと思います。
確かに、仕込みの手順をスタッフに説明するより自分でやった方が早い。接客のやり方を教えるより自分が出た方がクオリティが安定する。その判断は、1日単位で見れば正しいです。でも、1年・3年のスパンで見ると、「社長が何でもできる店」は「社長しかできない店」になっていきます。
そして、社長しかできない店には構造的なリスクがあります。社長が体を壊した瞬間、店が止まる。旅行に行けない。休日も頭から仕事が離れない。何より、集客の仕組みを考える時間が取れない。
「社長の仕事は2つだけです。売上を作る仕事と、儲かる仕組みを作る仕事。どちらも、現場に入り続けていたら永遠にできません。現場仕事は、社長がやめることを決めた分だけ、スタッフが育つ余白が生まれます」
ハワード・ジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
私がよく使う表現があります。「やることを増やす前に、やめることから決める」。集客の仕組みを新たに作ろうとする前に、今社長がやっている仕事のうち「自分じゃなくてもできる仕事」を手放すことが先です。
✓ ここまでのポイント
- 立地の悪さより、社長の時間の使い方が集客不振の本当の原因であることが多い
- 「自分でやった方が早い」は短期的には正しいが、長期的には社長依存の店を作る
- 集客の仕組みを作るのは社長の仕事であり、現場に入り続ける限り着手できない
「やめること」「任せること」「自動化すること」の分類まで読んで、「でも具体的に何をどう改善すればいいか分からない」と感じているなら、その先は1記事では伝えきれません。無料小冊子では、取り組む正しい順番(なぜ新規集客を最初にやってはいけないのか)と、再来店対策の具体的な手順を解説しています。30秒の登録で受け取れます。
まず「時間の棚下ろし」から始める――1週間15分単位の記録法
では、具体的にどこから手をつければいいか。最初にやることは一つ、今週1週間の時間の使い方を15分単位で書き出すことです。手帳でも、スマホのメモでも、紙1枚でも構いません。
チェックポイント①:社長の1日の作業をすべて書き出す
朝の仕込みから始まり、開店準備、ランチ営業、休憩、夕方の仕込み、ディナー営業、締め作業、翌日の段取り確認まで。「これは仕事とは呼べない」というものも含めて全部書きます。SNSを確認する15分も、仕入れ業者への電話も、全部。
✅ ポイント:書き出してみると、実は「社長じゃなくてもできる仕事」が全体の6〜7割を占めているケースがほとんどです。まずこの事実を「見える化」することが出発点です。
チェックポイント②:書き出した仕事を3つに分ける
「やめること」「他の人に任せること」「自動化すること」の3列に分類します。「やめること」が一番難しそうに見えますが、実は一番効果が高い。やらなくても誰も困らない仕事が、驚くほど多いはずです。
✅ ポイント:「任せること」を考える前に「やめること」を決める順番が重要です。任せることを先に考えると「でも任せられる人がいない」という壁にぶつかります。やめることは今すぐできます。
チェックポイント③:空いた時間に「売上を作る仕事」を入れる
「やめること」を決めた分だけ時間が生まれます。その時間を、Googleビジネスプロフィールの更新、メニュー改善の検討、リピーター向けのLINE配信、地域の法人への営業、SNS投稿――に使います。これが「社長の仕事」です。
✅ ポイント:最初から大きく変えようとしなくてもいいです。週に2時間、「売上を作る仕事」の時間を作れれば、3ヶ月後には必ず何かが変わります。
「フル稼働しなくても回る体制に近づいた。毎日に目的地ができた気がします」
オーナー1人+アシスタントのサロン経営者(女性・40代)/客単価改善で月商230万達成
これは美容室オーナーさんの声ですが、飲食店でも全く同じことが起きます。フル稼働しなくても回る体制を作るのは「楽をしたい」のではなく、社長が本来やるべき「集客と利益の仕組み作り」に集中するためです。
駅から遠くても繁盛している店が共通してやっている3つのこと
時間が作れたら、次はその時間を何に使うか。立地が不利な飲食店が集客を伸ばすために、繁盛店が共通してやっていることを3つに絞ってお伝えします。
集客 STEP 1
Googleビジネスプロフィールを「わざわざ来る理由」の発信基地にする
駅から遠いお店を検索する人は、「〇〇駅周辺の居酒屋」ではなく「〇〇(地名)で家族向けの和食」「〇〇(地名)で個室がある焼き鳥」といった目的ありきで検索します。Googleビジネスプロフィールは、このような検索でヒットするための最重要ツールです。写真・口コミ返信・投稿の更新を週1回以上行うだけで、郊外の飲食店がGoogleマップを整えた結果、検索表示が大幅に改善した事例が複数あります。
⚠️ よくある失敗:プロフィールを一度設定しただけで放置しているケース。Googleは更新頻度も評価します。月1回の更新では足りないと考えてください。
集客 STEP 2
「再来店の仕組み」を先に作る
新規集客より先に、すでに来てくれたお客さんに「また来てもらう仕組み」を整えます。LINE公式アカウントへの誘導、次回来店のきっかけになる案内(「来月の旬の食材が入った時にまたご連絡します」)、来店スタンプカード。これらは今日から始められます。
立地が悪い店にとって、新規のお客さんを呼ぶコストは立地の良い店より高くつきます。だからこそ、一度来てくれたお客さんを大切にして、繰り返し来てもらうことが最も効率的な集客です。
⚠️ よくある失敗:「良いものを作れば自然にリピートしてくれる」という思い込み。お客さんが来なくなる最大の理由は「嫌い」ではなく「次に来るきっかけがない」だけです。きっかけを意図的に作ることが仕組みです。
集客 STEP 3
「わざわざ来る理由」になる名物メニューを1つ作る
駅から遠くても行く価値があると思ってもらうには、「ここにしかないもの」が必要です。奈良県のうどん店が麺の幅を少し広めに変えただけでSNSでバズが起き、注文数が1.5倍になった事例があります。ゼロから新しいものを作る必要はありません。既存のメニューの組み合わせや見せ方を変えるだけで差別化できることが多いです。
⚠️ よくある失敗:名物メニューを作っても「伝える仕組み」がない状態。Googleビジネスプロフィール・SNS・メニューブック・POPのすべてで一貫して訴求することで初めて機能します。
飲食店の経営改善チェックリストでは、現状診断から打ち手を選ぶ方法を詳しく解説しています。自分のお店がどの段階にあるかを確認してから、STEPを選んで動くと効率的です。
「立地の問題」は実は「仕組みがない問題」に言い換えられる
ここまで読んで、「立地より先に社長自身の時間の使い方を見直すことが重要」という流れが見えてきたと思います。
立地が悪い飲食店に共通しているのは、集客の仕組みがないことです。そして仕組みがない最大の理由は、社長が現場から抜けられないことです。
この構造を変えるには、派手な設備投資も、大きな予算も、SNSの専門知識も最初は要りません。必要なのは1枚の紙と15分の時間です。今週の自分の1日を書き出し、「やめること」を1つ決める。それが最初の一歩です。
繁盛している立地の悪いお店は、何か特別な才能を持っているわけではありません。社長が「売上を作る仕事」に使える時間を意図的に作り、そこに集中し続けているだけです。
あなたのお店が「駅から遠いから」と言われ続けることを、私は惜しいと思っています。今日からの1週間、まず時間の棚下ろしだけ試してみてください。
時間の棚下ろしをして「売上を作る仕事」に集中する方向性は見えた。でも、一人でそれを続ける伴走者がいないと、気づけば元の現場仕事に戻ってしまう――その孤独な状態から抜け出したい方へ。増益繁盛クラブでは、全国の飲食店・美容室経営者が同じ悩みを持ち寄り、毎月の実践事例と個別サポートで「仕組み作り」を続ける環境があります。入会案内ページで会員クラスと内容を確認できます。