先日、奈良県でうどん店を営む会員さんからこんな相談がありました。
「ジョイマンさん、うちのメニュー、値段を下げずに注文数を増やす方法ってないですか。味には自信があるんですけど、なんか伝わってないみたいで…」
メニュー表の写真を見せてもらいました。
「かけうどん」「ざるうどん」「天ぷらうどん」——。並んでいるのは、料理名だけ。価格だけ。それ以上は何もない。
料理の腕は間違いなく一流でした。だし巻き玉子にこだわりがある。麺は毎朝店主が打つ。でもメニュー表には、それが1ミリも書かれていない。
「これは名前の問題です」と私は言いました。
商品名は、ただの「呼び名」ではありません。お客さんが「これ、頼もう」と決断するための理由そのものなんです。
📋 この記事でわかること
- なぜ「作業名」の商品名では注文されないのか、その本質的な理由
- 「買う理由を名前に込める」具体的な技術と実践ステップ
- メニュー名を変えるだけで客単価・注文率が上がった実際の事例
- 今日からすぐに使える商品名の書き換え練習法
こんな方におすすめ
- ✅ メニュー名が「料理名+価格」だけになっている飲食店経営者
- ✅ 値引きをせずに注文数・客単価を上げたい方
- ✅ 「うちの料理の良さがお客さんに伝わっていない」と感じている方
- ✅ POPやメニュー改善に取り組みたいが何から変えればいいか分からない方
- ✅ 美容室・小売店でもサービス名・商品名の見直しを検討している方

目次
「カット」と書くから値段だけで比べられる
私はもともとお笑い芸人をやっていました。大学在学中に舞台に立ち、ファミリーマートのCMにも出演しました。漫才というのは、たった数分の言葉でお客さんの感情を動かす技術です。どんなに面白いネタでも、伝え方がまずければ笑いは生まれない。
その後、中小企業診断士の資格を取り、週末はイタリアンレストランで無給の現場修行を積んだ。そこで気づいたのが「商品の価値は伝えなければ存在しないも同然」という現実です。
美容室で「カット」とだけ書かれたメニューを見たことがあるはずです。飲食店で「ハンバーグ」「焼き魚定食」と羅列されたメニュー表も。
これを私は「作業名」と呼んでいます。
作業名というのは、「何をするか」は説明しているけれど「それをすることでお客さんにどんな良いことがあるか」を何も伝えていない名前のことです。
お客さんは料理を「食べたい」から注文しているわけではありません。「美味しそう」「これを食べた後の自分が想像できる」「この店でしか食べられない」——そういう感情と理由があって初めて「これください」という言葉が出てきます。
作業名のメニューには、その感情を動かす力がない。だから価格だけで選ばれる。価格だけで選ばれるということは、より安い店が現れた瞬間に客を失うということです。
「買う理由」を名前に込めるとはどういうことか
私がコンサルティングで使う言葉に「ご利益の言葉」というものがあります。
ご利益というのは、お賽銭を入れてお参りをした後に「商売繁盛」「家内安全」「合格祈願」と願うあれです。お客さんが商品を買う理由は、料理そのものではなく、その料理を食べた後の自分への「ご利益」なんです。
たとえばこういうことです。
❌ 作業名のメニュー名
- 「カット」——何をするか分かるが、誰にどう良いかが伝わらない
- 「ハンバーグ」——何が出てくるか分かるが、なぜここで頼むべきかが伝わらない
- 「天ぷらうどん」——組み合わせは分かるが、この店のこだわりが伝わらない
✅ ご利益を込めた商品名
- 「朝のセットが楽になる、扱いやすさデザインカット」——翌朝の自分が想像できる
- 「肉汁あふれる、粗挽き牛100%の炙り焼きハンバーグ」——食べる前から味が想像できる
- 「毎朝店主が打つ、だしの香りが立つ鬼おろし天ぷらうどん」——こだわりと体験が一気に伝わる
名前が変わっただけで、同じ料理が「選ばれる理由を持つ料理」に変わります。
「お客さんは料理名を読んでいるんじゃなくて、その名前から『自分がどうなるか』を読もうとしている。伝わらなければ、どれだけ美味しくても選ばれない。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
実際の現場で何が起きたか——奈良・鳥取の事例から
先ほどお話しした奈良のうどん店。実はその会員さん、私のアドバイスを聞いてすぐに行動されました。
やったことはシンプルです。既存のメニューの麺の幅を少し広めに変え、それを「もちもち太麺」として名前に込めた。見た目の変化をSNSで発信したところ、「これ何?」という反応が続出し、SNS経由の注文が1.5倍に伸びたのです。
設備投資ゼロ。値下げもゼロ。変わったのは「名前と見せ方」だけです。
同じような話が鳥取のラーメン店でもありました。Googleビジネスプロフィールと食べログの口コミをAIで分析してみたところ、お客さんが繰り返し書いていた言葉が浮かび上がってきました。「スープがやさしい」「懐かしい感じがする」「駅から近くて助かる」——。
その言葉たちをそのままメニューのキャッチコピーに転用したんです。「昔から変わらない、やさしい醤油スープのラーメン」。自分たちでは「普通のうちのラーメン」と思っていたものが、お客さんにとっては「ここにしかない価値」だったわけです。
お客さんの口からすでに「買う理由」が語られていた。それを名前に込めるだけで良かったんです。
✓ ここまでのポイント
- 「作業名」のメニューは価格だけで比べられ、値引き競争に引き込まれる
- 「ご利益の言葉」をメニュー名に込めることで、お客さんに「買う理由」が伝わる
- 特別な設備投資なしに、名前と見せ方を変えるだけで注文率・客単価が変わる
今日からできる「商品名の書き換え」実践ステップ
「じゃあ、どうやって名前を変えればいいの?」と思った方のために、私が実際に会員さんに伝えている手順をご紹介します。
商品名改善 STEP 1
自店の口コミを30件、読み返す
GoogleビジネスプロフィールやSNSのコメントを30件分読んで、お客さんが繰り返し使っている言葉を書き出してください。「やわらかい」「懐かしい」「ボリュームがすごい」——これがご利益の言葉の宝庫です。
⚠️ よくある失敗:自分の言葉で考えようとすること。お客さんの言葉を使うのが最短ルート。自分では当たり前だと思っている強みが、お客さんには特別な価値として映っていることが多い。
商品名改善 STEP 2
今のメニュー名を「作業名か、ご利益名か」で分類する
全メニューを書き出し、「作業名(何をするか)」と「ご利益名(どう良くなるか)」に仕分けします。「カット」「ハンバーグ」「ラーメン」は作業名。そこに1〜2個のご利益の言葉を付け加えるだけで変わります。
⚠️ よくある失敗:全部いっぺんに変えようとすること。まず一番売りたいメニューの名前を1つ変えるだけで十分。変化を数字で確認してから次に進む。
商品名改善 STEP 3
「食べた後の自分」をイメージできる言葉を1つ入れる
「このメニューを注文したお客さんは、食べた後どんな気持ちになる?」という問いに答える言葉を名前の中に入れます。「ほっとする」「元気になる」「驚く」「懐かしい」——感情を想起させる言葉が注文率を上げます。
⚠️ よくある失敗:説明しすぎて名前が長くなること。ポイントは「一読して伝わる長さ」。20文字以内を目安にする。
「値上げしたいなら、まず名前を変えることです。価格を上げる前に価値を伝える。価値が伝わっている商品は、価格を上げても選ばれ続けます。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
名前を変えると「値上げ」まで自然にできるようになる
和歌山県の飲食店経営者の話をさせてください。月商が130万円で伸び悩んでいたその方が、ランチメニューに「メイン3つ同時盛りプレート」を開発しました。ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを一皿に盛った2,300〜2,500円のメニューです。
名前の力はここにも出ています。「肉と魚介の贅沢3種盛りランチプレート」と名付けただけで、地域に存在しなかった独自コンセプトとして認識された。客単価と集客数が同時に上がり、月商は450万円へと伸長しました。
値引きは一切していません。むしろ単価を上げました。それでも選ばれた理由は、名前の中に「なぜここで食べるべきか」という理由が込められていたからです。
「月商130万円だったのが、メニューの見直しと名前の付け方を変えただけで、3ヶ月後には450万円になりました。値引きじゃなくて、価値を伝えることで人は来てくれるんだと初めて実感しました。」
和歌山県・飲食店経営者(増益繁盛クラブ会員)
名前を変えることは、値上げへの布石でもあります。価値が伝わっている商品は、価格を上げても「それだけの理由がある」とお客さんが納得します。作業名のままでは、値上げするたびに「高くなった」という印象しか残りません。
まとめ:商品名は「呼び名」じゃなく「理由の言葉」
今日お伝えしたことをひとことでまとめると、こういうことです。
商品名には「何をするか・何を出すか」という作業の説明ではなく、「この商品を選ぶことでお客さんにどんな良いことがあるか」というご利益の言葉を込める。
それだけで、注文率が変わる。客単価が変わる。値引きをしなくても選ばれるようになる。
私がコンサルティングを始めて20年以上、北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、全国の飲食店・美容室・小売店のオーナーさんと向き合ってきました。その中で一貫して言えることがあります。「美味しいものを作っているのに売れない」と悩む方のほとんどは、商品の価値を「名前」で伝えられていません。
料理の腕は一流。でもメニュー表は二流。そのギャップを埋めるだけで、経営は大きく変わります。
商品名の付け方をはじめ、メニュー改善・集客の仕組みづくりについてより体系的に学びたい方には、まず教材から試してみることをお勧めしています。実践ノウハウを凝縮した内容で、多くの飲食店経営者が「3ヶ月以内に効果が出た」と報告を寄せてくれています。
まずは一歩、踏み出してみてください。
👇 メニュー名の改善から集客の仕組みづくりまで、実践的な内容をまとめた教材はこちらからご覧いただけます。
また、毎月の会報誌・セミナー・個別サポートで継続的に実践を深めたい方は、会員制コンサルティングの詳細もあわせてご確認ください。一人で悩まず、全国の経営者と一緒に学ぶ環境がここにあります。
どちらも、まずはお気軽にのぞいてみてください。お待ちしております。