「税理士には毎月会っているのに、売上の話ができない」
「コンサルタントに相談したことがあるけど、飲食の現場を知らない人で話が噛み合わなかった」
「中小企業診断士って名前は聞くけど、何をしてくれる人なのかよく分からない」
こういう声、じつは本当によく届きます。
飲食店の経営相談先として、税理士・銀行・商工会議所・コンサルタントといった選択肢がある中で、「中小企業診断士」はなんとなく名前は知っていても、具体的に何を相談できるのかイメージがわきにくい存在かもしれません。
今回は、中小企業診断士として20年以上・全国の飲食店・美容室経営者を支援してきた立場から、率直にお伝えします。「どんなときに相談すると効果的か」「どんな人を選ぶと失敗しないか」を、現場の視点でまとめました。
📋 この記事でわかること
- 中小企業診断士に飲食店経営の相談をするメリット
- 税理士・コンサルタントとの役割の違い
- 飲食店向けの診断士を選ぶときのチェックポイント
- 相談前に自分の店の状況を整理する方法
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は立っているのに手元にお金が残らない方
- ✅ 税理士はいるが「経営の相談」ができていないと感じている方
- ✅ 中小企業診断士に相談するか迷っている飲食店経営者の方
- ✅ 過去にコンサルタントと話して「現場を知らない」と感じたことがある方
- ✅ 補助金・融資・集客・組織づくりをまとめて相談できる専門家を探している方

目次
中小企業診断士は「経営の総合医」——飲食店が相談できる範囲
中小企業診断士は、経済産業省が認定する唯一の経営コンサルタントの国家資格です。財務・マーケティング・組織・生産・情報システムなど、経営に関わる幅広い領域をカバーしているのが特徴です。
税理士は税務と会計が専門。弁護士は法律が専門。それに対して診断士は、「経営全体を見渡して、どこに問題があり、何から手をつければよいか」を整理する役割を担います。
飲食店経営に置き換えると、こういった相談が可能です。
- 売上が停滞している原因を「購買行動の7段階」で分解して特定する
- 利益が残らない構造を粗利・客単価・労働時間の観点から整理する
- 補助金・融資の活用を事業計画のストーリーと紐付けてアドバイスする
- スタッフ採用・定着・組織づくりに関する仕組みの設計を支援する
- デリバリー・物販・法人向けなど複数の収益源の設計を提案する
一言でいえば、「お店の経営に関することなら、まず相談できる」のが中小企業診断士の守備範囲です。
「資格を取った当時、私は清水市役所に勤めながら週末にイタリアンレストランで無給の現場修行をしていました。机の上で学んだ理論と、実際の店舗運営のギャップを身体で覚えた経験が、今の支援の土台になっています。資格だけの人と現場を知っている人とでは、同じアドバイスでも伝わり方がまるで違う。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
「税理士に相談している」では足りない理由——役割の違いを正確に理解する
「毎月税理士が来るから、経営の相談はしている」という方に、少し立ち止まって考えてほしいのがこの点です。
税理士の本来の仕事は、正確な税務申告と会計処理の支援です。過去の数字を正確に記録・申告することが使命であり、「これからどう売上を伸ばすか」「どうすれば利益が残る構造になるか」というフォワードルッキングな相談は、専門外になるケースがほとんどです。
❌ よくあるパターン:税理士に経営相談をしている
- 毎月の試算表を見て「利益が少ないですね」と言われるだけで終わる
- 「売上を増やしましょう」というアドバイスはもらえるが、具体策が出てこない
- 補助金情報は教えてくれるが、事業計画のストーリーとの紐付けまでは対応できない
✅ 推奨アプローチ:役割を分けて専門家を使う
- 過去の数字の整理・申告→税理士
- 「これからどう稼ぐか」の設計・実行支援→中小企業診断士(経営コンサルタント)
- 法人化・契約トラブル→弁護士・司法書士
「毎月税理士と会っているのに、売上の悩みが解決しない」と感じているなら、それは税理士のせいではなく、相談先の役割分担が整っていないだけです。
✓ ここまでのポイント
- 中小企業診断士は経営全体を見渡す「経営の総合医」。飲食店の集客・利益・組織・補助金まで相談できる
- 税理士は「過去の数字の整理」が専門。「これからの経営設計」は診断士の領域
- 現場経験のある診断士かどうかが、相談の質を大きく左右する
飲食店向けの中小企業診断士を選ぶ——6つのチェックポイント
中小企業診断士といっても、製造業専門・IT系・金融コンサル出身など、バックグラウンドは千差万別です。飲食店の経営相談をするなら、以下の6点で選んでください。
チェックポイント①:飲食店・店舗ビジネスへの支援実績があるか
「中小企業支援実績〇〇社」という数字だけでなく、「飲食店・美容室・小売店など店舗ビジネスへの支援経験が豊富か」を確認してください。飲食業は在庫・原価率・人件費・時間帯別集客という独自の構造を持っており、製造業や建設業とは課題の性質が異なります。
✅ ポイント:ホームページや実績紹介に飲食店の具体的な事例(月商・業態・課題)が掲載されているかを確認する。
チェックポイント②:現場経験があるか、または現場を重視した支援スタイルか
資格と理論だけの診断士は、「このメニュー構成にしてください」と言いながら実際のオペレーションを考慮できないことがあります。「店に入ったことがある」「現場修行の経験がある」「実際の店舗改善に関わった事例がある」かどうかを確認してください。
✅ ポイント:初回相談で「現場を見てもらえるか」「オペレーション込みで提案してもらえるか」を直接聞いてみる。
チェックポイント③:「売上重視」ではなく「利益重視」の視点を持っているか
「売上を上げましょう」は誰でも言えます。大切なのは「手元に利益を残す構造の設計」ができるかどうかです。「10時間煮込んだスープを800円で出す」労働と価格のバランスを、利益ベースで逆算して設計し直せる視点を持っているかが判断基準になります。
✅ ポイント:相談の場で「粗利率」「客単価の設計」「労働時間と価格設計のバランス」を話題にしてくれるかどうかで確認する。
チェックポイント④:専門用語を使わずに説明できるか
「LTV」「KPI」「ROI」「マーケットシェア」——これらの言葉が飛び交う説明で、現場に立つ飲食店経営者が「腹落ち」できるでしょうか。良い診断士は、難しい概念を分かりやすい言葉で伝えられます。
✅ ポイント:初回面談で「この人の話、頭に入ってくる」と感じるかどうかが最大の判断基準。
チェックポイント⑤:補助金ありきで話を進めようとしないか
「補助金が使えます」という切り口で近づいてくるコンサルタントには注意が必要です。補助金は事業成長のための手段であり、補助金を取ること自体が目的になってしまうと、本来の経営改善が後回しになります。まず経営計画があり、その実行に補助金が活用できるという順番が正しい。
✅ ポイント:「まず御店の経営計画を作りましょう」という姿勢で話が進むかどうかを確認する。
チェックポイント⑥:継続的な伴走支援ができるか
経営改善は1回の相談で完結しません。「現状診断→課題特定→改善実行→効果測定→次の一手」というサイクルを継続的に回せる体制があるかどうかを確認してください。単発の診断で終わる支援より、月次で伴走してくれる体制のほうが、結果につながります。
✅ ポイント:継続的な関わり方(月次顧問・会員制サポート等)の選択肢があるかを確認する。
「選ぶときの基準はシンプルです。『この人と話すと、明日から何をすれば良いか分かる』と感じるかどうか。相談後に頭が整理されて手が動くなら良い診断士、相談後に『なんかすごいことを言われたけど何をすればいいか分からない』なら合っていない。それだけです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
相談前に「自分の店の状態」を整理しておくと効果が3倍になる
中小企業診断士への相談を最大限に活かすために、相談前に以下を整理しておくことをおすすめします。60分の相談時間のうち30分を「現状説明」で終わらせてしまうのはもったいない。
チェックポイント①:直近3ヶ月の売上・客数・客単価を把握しているか
「最近売上が落ちている気がする」という感覚ベースではなく、数字で把握することで、課題が「客数」にあるのか「客単価」にあるのかが見えてきます。
✅ ポイント:POSレジや手書きでもいいので、月次の「客数×客単価」を3ヶ月分用意する。
チェックポイント②:「何が一番困っているか」を1つに絞れているか
「売上も利益も採用も全部困っています」という状態で相談すると、時間が分散して具体策まで辿り着けません。「今一番解決したい課題を1つ」に絞って相談に臨むと、議論が深まります。
✅ ポイント:「集客」「利益率」「スタッフ定着」「補助金活用」のどれを最優先にするかを決めてから相談する。
チェックポイント③:「3年後・5年後にどうなっていたいか」をざっくりでも持っているか
現状の課題解決だけでなく、「将来どうなりたいか」という方向性があると、診断士は逆算してアドバイスができます。「多店舗展開したい」「今の1店舗を極めたい」「後継者に引き継ぎたい」——どれでも構いません。
✅ ポイント:「5年後の自分の仕事のイメージ」をひと言で言えるようにしておく。
「月商130万円だった和歌山県の飲食店のオーナーさんは、最初の相談で『とにかくランチの客単価を上げたい』と明確に伝えてくれました。その一点に集中して、ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3品同時盛りプレートを開発した結果、月商450万円まで伸長しました。相談の入り口が明確だったから、改善の方向性が一気に定まったんです。」
増益繁盛クラブ会員・和歌山県の飲食店経営者(月商130万円→450万円へ)
まとめ:「飲食店の現場を知っているか」が、診断士選びの核心
中小企業診断士への相談は、飲食店経営の「全体設計」を見直すのに有効です。税理士が「過去の数字」を扱うとすれば、診断士は「これからの経営の設計図」を一緒に作る存在です。
ただし、診断士ならば誰でもいいわけではありません。飲食業の現場を知っているか、利益ベースで逆算した提案ができるか、専門用語を使わずに話してくれるか——この3点が選ぶ際の核心です。
私自身、静岡県清水市(現・静岡市清水区)の自営業の家に生まれ、市役所勤務の傍ら6年間かけて中小企業診断士資格を取得し、週末はイタリアンレストランで無給の現場修行を積みました。そうした経験があるからこそ、「料理は自信があるのに売上が伸びない」という経営者の悩みが、腹の底から分かります。
テレビ東京「ガイアの夜明け」にも店舗経営コンサルタントとして取材を受け、20年以上にわたって全国の飲食店・美容室・小売店経営者の業績アップを支援してきた実績から断言できます。値引きに頼らず利益を伸ばす仕組みは、必ず作れます。
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