お金を増やしたい

美容室のアップセル、お客さんの満足を優先する進め方

先日、会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」に参加されている美容室オーナーの方から、こんな相談を受けました。

「ジョイマンさん、トリートメントやヘッドスパを提案したいんですが、なんか押し付けてる感じがして、言い出せないんですよね。結局いつも素のカットだけで終わっちゃう……」

この話を聞いて、「あ、これは多くの美容室オーナーさんが抱えている悩みだな」とすぐに思いました。技術には自信がある。お客さんのことも大切にしている。でも、いざ追加メニューを提案しようとすると、どこかに「営業っぽくなりたくない」という遠慮が出てしまう。

実は、この「遠慮」こそが利益を下げている最大の原因のひとつなんです。今日は、お客さんの満足度を高めながら自然に客単価を上げる、美容室ならではのアップセルの進め方をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ美容室のアップセルが「押し売り」に感じられてしまうのか、その根本原因
  2. お客さんが「提案してもらえてよかった」と感じる伝え方の原則
  3. カウンセリングから会計まで、5つのステップで組み立てるアップセルの仕組み
  4. 値引きに頼らずリピーターを増やすための考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ トリートメントやヘッドスパなどの追加メニューをうまく提案できていない美容室オーナー
  • ✅ 客単価を上げたいが、押し売りになるのが怖くて踏み出せない方
  • ✅ ホットペッパーのクーポン集客から脱却して利益体質の経営に変えたい方
  • ✅ スタッフにも提案の仕方を教えたいが、マニュアルが作れていないオーナー
  • ✅ 売上は立っているのに手元にお金が残らないと感じている美容室経営者
美容室のアップセル、お客さんの満足を優先する進め方 | 全国の繁盛店がやっている増益繁盛店作りの強化書

「押し売り」になる美容室アップセルの正体

まず正直に言います。アップセルが「押し売り」に感じられる原因は、伝える側の問題ではなく、「伝え方の設計」がされていないことがほとんどです。

よく見かけるパターンがこれです。

❌ よくある失敗パターン

  • 施術の途中で唐突に「トリートメントはどうされますか?」と聞く
  • 会計のタイミングで「今日ヘッドスパもいかがですか?」と声をかける
  • メニュー表を指差しながら「これもできますけど」と紹介するだけ

✅ 正しいアプローチ

  • カウンセリングの段階でお客さんの「なりたい状態」を聞き出しておく
  • 提案のタイミングを事前に設計し、全スタッフが同じ流れで動ける
  • 「このお客さんにはこのメニューが合う」という根拠を持って提案する

お客さんが「押しつけられた」と感じるのは、提案の中身よりもタイミングと文脈のズレが原因です。カウンセリングで髪のお悩みをしっかり聞いていれば、「だからトリートメントをお勧めしています」という文脈が自然に成立します。文脈があれば、提案はサービスになる。文脈がなければ、提案は営業になってしまう。この違いが大きいんです。

アップセルを「お客さんへの贈り物」に変える5ステップ

ここからが本題です。カウンセリングから退店まで、5つのステップでアップセルの流れを設計していきましょう。

アップセル設計 STEP 1

カウンセリングで「なりたい状態」を聞く

「今日はどんなスタイルにしますか?」だけで終わらせないことが大事です。「最近、髪のどんなところが気になっていますか?」「いつも朝のセットでお悩みはありますか?」と、お客さんが抱えている不満・願いをひとつ余分に引き出す習慣をつけてください。ここで出てきた言葉が、後の提案の根拠になります。

⚠️ よくある失敗:カウンセリングを「形式」として流してしまい、お客さんの言葉を聞かずにすぐ施術に入るパターン。これだと後半の提案に文脈が生まれません。

アップセル設計 STEP 2

施術中に「ご利益の言葉」で価値を届ける

私がよくお伝えする考え方に「ご利益の言葉化」があります。たとえば「トリートメント」という言葉は、お客さんにとって作業名にしか聞こえません。でも「朝のブローが半分の時間で決まるようになるトリートメント」と言われたら、急に自分ごとに聞こえますよね。施術中に、「さっきおっしゃってた朝のパサつきには、こういうアプローチが効くんですよ」と、カウンセリングで聞いた悩みとメニューをつなげる言葉を自然に差し込んでいく。これが「提案」ではなく「情報提供」として受け取られるコツです。

⚠️ よくある失敗:「いかがですか?」という曖昧な問いかけで終わらせてしまい、お客さんが判断する材料を渡せていないパターン。

アップセル設計 STEP 3

メニューを「松竹梅」で構成する

追加メニューが1種類だけだと、お客さんは「やる・やらない」の2択で考えます。でも3段階(例:ライトトリートメント/スタンダードトリートメント/プレミアムケアコース)があれば、「どれにしようか」という選択に変わる。心理学的にも、人は選択肢があるほど選びやすくなります。多くの場合、中間の「竹」が一番選ばれます。単価アップとお客さんの満足度向上が同時に実現できる設計です。

⚠️ よくある失敗:最上位メニューだけを提案して「高い」と思われてしまうパターン。入り口となる低価格帯の選択肢も用意することが大切です。

アップセル設計 STEP 4

提案するタイミングを「仕組み」として決める

アップセルが属人化(うまいスタッフだけが提案できる状態)していると、売上が安定しません。「シャンプー前に必ずトリートメントの案内をする」「施術の残り15分で次回予約を促す」といったタイミングを、お店のルールとして決めてしまう。スタッフ全員が同じ流れで動けるようになると、個人の気質や遠慮に左右されず、提案が自然に組み込まれます。

⚠️ よくある失敗:「提案してください」とスタッフに言うだけで、タイミングも言い方も任せきりにしてしまうパターン。これでは再現性が生まれません。

アップセル設計 STEP 5

退店時に「次回のご利益」を予約につなげる

アップセルは1回で終わらせてはもったいない。「次回は〇〇の段階に進むといいですよ」という次のステップを会計時に伝えることで、再来店の動機が生まれます。さらに、LINEで施術後の状態を確認するメッセージを送ることで接触頻度が上がり、お客さんとの関係が深まります。1人のお客さんからの生涯売上(顧客生涯価値)を意識した設計が、美容室の利益構造を変えます。

⚠️ よくある失敗:退店時に「またよろしくお願いします」で終わらせてしまい、次回来店の理由を作れていないパターン。

✓ ここまでのポイント

  • アップセルが「押し売り」になる原因は、タイミングと文脈のズレ。カウンセリングでお客さんの悩みを引き出してから提案すると、自然な流れになる
  • メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に変えるだけで、提案の受け取られ方が大きく変わる
  • 提案のタイミングと言い方を「仕組み」としてお店のルールにすることで、スタッフ全員が再現できるアップセルの体制が作れる

スタッフが自然に動ける「提案文化」の作り方

「アップセルの仕組みを作るとき、いちばん大事なのはオーナー自身が『このメニューはお客さんの役に立つ』と確信していることです。その確信がスタッフに伝わって初めて、提案が言葉に力を持ちます」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)

スタッフがアップセルをためらう理由の多くは、オーナーと同じ「押しつけになりたくない」という気持ちです。でもその根本は、「このメニューがこのお客さんに本当に合っている」という確信がないからとも言えます。

ロールプレイングを月1回でも行い、「こういう髪質のお客さんにはこのメニューを提案する」という判断基準をスタッフと共有してください。言い方を練習するよりも、「なぜそのメニューを提案するか」の根拠を共有するほうが、実際の現場での言葉に自信が出ます。

また、成功事例を共有する場を作ることも大切です。「Aさんがヘッドスパを提案したらお客さんにすごく喜ばれた」という話が出ると、他のスタッフの心理的ハードルが下がります。提案文化はトップダウンの指示ではなく、現場の成功体験の積み重ねで育ちます。

値引きゼロで客単価を上げた実例

「ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの『メイン3つ同時盛り』プレートを開発したところ、月商が130万円から450万円に伸びました。地域に存在しない独自コンセプトで、値引きゼロのまま客単価と集客数を同時に向上できました」

和歌山県の飲食店経営者(増益繁盛クラブ会員)

これは飲食店の事例ですが、美容室にも全く同じ発想が使えます。「地域にまだない組み合わせ」を作って独自ポジションを取る。値引きで戦うのではなく、「このお店でしか体験できない」を作る。それがアップセルの土台になる名物メニューであり、リピートの理由になります。

私が20年以上にわたって全国の飲食店・美容室・小売店の経営者を指導してきた中でわかったことがあります。それは、値引きをやめてもお客さんは離れないということ。むしろ「この人に任せたい」という信頼関係があれば、適正な価格でも喜んで払ってくれる。アップセルは「高く売ること」ではなく、「お客さんが本当に必要としているものを届けること」なのです。

まとめ:アップセルはお客さんへの「気づかせ」の技術

美容室のアップセルで大切なのは、売り込む技術ではなく、お客さんが「自分でも気づいていなかった悩みや望み」に気づかせてあげる技術です。カウンセリングで丁寧に聞く、施術中に「ご利益の言葉」で価値を届ける、提案のタイミングを仕組み化する――この5つのステップを順番に整えていくだけで、お客さんから「提案してくれてよかった」という言葉をもらえる美容室になれます。

「値引きしなくても選ばれる店」を作るための第一歩は、今日お伝えしたアップセルの設計から始まります。一度に全部やる必要はありません。まずSTEP 1のカウンセリングの質を変えることから始めてみてください。

もっと具体的に、自分のお店に合わせた提案の仕組みを作りたいという方は、ぜひ以下の教材や会員制コンサルティングを活用してみてください。全国の飲食店・美容室オーナーが実践して成果を出しているメソッドを、専門用語ゼロで学べる場をご用意しています。

👉 顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書
お客さんが「知る→興味→来店→入店→注文→会計→再来店」という7段階のどこで離脱しているかを診断し、アップセルを含めた店内販促の全体設計を学べます。まずはここから試してみてください。

👉 増益繁盛クラブ入会案内
全国の美容室・飲食店・小売店の経営者が集まる会員制コンサルティングです。毎月の会報誌・セミナー・個別サポートを通じて、アップセルの仕組みを実際に作り上げるまで伴走します。プラチナクラス(月額29,800円)から始められますので、お気軽にご覧ください。

  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

-お金を増やしたい