現場を改善したい

美容室でシャンプーを自然に提案する、押し売りにならない方法

美容室でシャンプーを販売しているオーナーさんに、こんな質問をしたことがあります。「お客さんにシャンプーを提案していますか?」――その答え、じつに8割近くが「なかなか言い出しにくい」「押し売りみたいで苦手」というものでした。

でも考えてみてください。美容師さんは毎日お客さんの髪に触れて、「この方の毛先、だいぶ乾燥してるな」「カラーのもちが悪くなりそうだな」と、専門家として誰よりもわかっている立場にいます。その人が「似合うものを教えてあげない」のは、むしろお客さんにとってもったいないことじゃないでしょうか。

今日は、静岡市清水区を拠点に全国の美容室経営者を支援している繁盛店研究所のハワードジョイマンが、ある一日の現場の流れを追いながら「自然に、喜ばれながらシャンプーを提案する方法」をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ「押し売り感」が出てしまうのか、その根本原因
  2. 開店準備〜施術中〜お会計まで、タイミング別の自然な提案の流れ
  3. 「ご利益の言葉」で提案を変えると客単価がどう変わるか
  4. 値引きなしでも喜ばれる、提案の言葉の作り方

こんな方におすすめ

  • ✅ シャンプーや店販品の提案が「押し売りみたいで気が引ける」と感じている美容室オーナーや美容師の方
  • ✅ 客単価を上げたいが、どう自然につなげればよいかわからない方
  • ✅ 「値引きせずに」売上を伸ばす方法を探している美容室経営者の方
  • ✅ スタッフに商品提案を任せたいが、教え方がわからないオーナーの方
  • ✅ 店販比率を高めて、安定した利益を作りたいと思っている方
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朝の開店準備で「今日の提案」を決める

朝9時。シャンプー台を磨きながら、今日の予約リストを確認する。この時間の使い方で、一日の店販の結果が変わる――そう言うと、「え、それだけで?」と思われるかもしれません。でも本当にそうなんです。

たとえば、今日14時に来るAさんは、カラーのリピーターで毎回「色もちが心配」とつぶやく方。10時に来るBさんは、最近産後で「髪のパサつきが気になる」と言っていた。この情報を開店前にざっと確認しておくだけで、施術中の会話が自然に変わります。

重要なのは、「今日Aさんにシャンプーを売ろう」ではなく、「Aさんの色もちの悩みに、今日提案できることがあるか確認しておこう」という発想の順番です。

「提案とは、商品を売ることではありません。お客さんが気づいていない『困りごとの解決策』を先に見つけて、届けることです。その順番が逆になると、どんな言葉を選んでも押し売りに聞こえてしまいます。」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役・中小企業診断士)

準備段階でやること、たった一つ。予約カルテを見ながら「この方には何が役立つか」を先に考える。たった5分の作業が、一日の提案の質を大きく変えます。

施術中の「さりげない一言」が提案の土台になる

10時、Bさんが来店。シャンプー中に髪の状態を確認しながら、こう声をかけます。

「最近、毛先の乾燥が少し気になりますね。産後はホルモンバランスの変化で、髪質が変わりやすい時期なんですよ。」

これだけです。いきなり「このシャンプーいいですよ」とは言いません。まず専門家として「気づいている事実」を伝える。それだけ。

ここで大切なのが「ご利益の言葉」の使い方です。「シャンプーを変えてみませんか」ではなく、「毎朝のスタイリングが少し楽になるかもしれません」という言い方に変えるだけで、お客さんの受け取り方がガラッと変わります。商品名ではなく、「それを使ったあとの自分がどうなるか」を先に見せるわけです。

施術の流れの中で、チェックしておきたいポイントがあります。

チェックポイント1:施術中に「困りごと」を拾えているか

「最近髪がまとまらなくて」「カラーがすぐ褪せる気がして」といったお客さんのつぶやきを聞き流していませんか。これは提案のヒントです。

✅ ポイント:お客さんの言葉を「商品へのヒント」として記録するクセをつける。カルテに一言メモしておくだけで次回以降の提案にも使えます。

チェックポイント2:「専門家の観察」を声に出しているか

「髪が乾燥しているな」と思っても、言わなければお客さんには伝わりません。専門家の気づきを言葉にすることが信頼の積み上げになります。

✅ ポイント:「気になる点を言葉にする→原因を説明する→どうなると嬉しいかを伝える」の順番で話すと、自然な流れで提案につながります。

チェックポイント3:提案のタイミングは「施術中」か「会計直前」になっていないか

会計のタイミングで初めてシャンプーを勧めると、どうしても「売りつけ感」が出ます。最も自然なタイミングは、シャンプー台やカット中の会話の流れの中です。

✅ ポイント:提案は「サービスの延長」として施術中に行う。会計はあくまで「興味があればどうぞ」という確認の場にする。

✓ ここまでのポイント

  • 開店前の5分で「今日のお客さんに役立てること」を確認するだけで、提案の質が変わる
  • 提案は商品名ではなく「使ったあとのご利益」を言葉にすることが核心
  • 提案タイミングは施術中の会話の流れに乗せるのがベスト。会計直前は避ける

「見せ方」を変えると、お客さんから聞いてくれるようになる

「言い出しにくい」と感じているオーナーさんに聞くと、多くの場合、店販コーナーが「ただ並べてあるだけ」になっています。商品棚に価格タグだけがついていて、なぜこれが良いのかが何も伝わっていない状態です。

ここで有効なのが、POPを使った「代わりに語らせる」手法です。

たとえばシャンプーの横に、こんな一言POPを添えるだけで変わります。

「カラーの色もちが気になるあなたへ。1週間でコーティング層がしっかり整う、スタッフ愛用のシャンプーです。」

これを読んだお客さんが「あ、私これ気になってた」と自分から手に取ってくれる状態を作る。スタッフが言わなくても、POPが代わりに提案してくれているわけです。

❌ よくある店販コーナーのパターン

  • 商品名と価格だけが書かれている
  • なぜ良いのかが書かれていない
  • どんな悩みを持つ人向けなのかがわからない
  • スタッフが声をかけないと手に取る理由がない

✅ 「代わりに語らせる」店販コーナー

  • 「どんな悩みを持つ人に」「どんな変化をもたらすか」が一目でわかる
  • スタッフの言葉(手書きコメント)が添えられている
  • お客さんが「私のことだ」と感じてから手に取るので押し売り感がゼロ
  • スタッフが言わなくても、お客さんから「これ聞いていいですか?」と声をかけてくれる

「売れているシャンプーのPOPには、必ず『誰に・どんな変化が起きるか』が書いてあります。商品説明ではなく、お客さんが自分を重ねられる言葉。それだけで『押し売り』が『おすすめ』に変わるんです。」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)

実際にシャンプー提案を変えたら何が起きたか

「正直、店販は苦手でほとんどやっていなかったんです。でも『ご利益の言葉でPOPを作る』を試してから、お客さんのほうから『これどこで買えますか?』と聞いてくれるようになりました。月の店販売上が以前の3倍近くになって、しかも全然押し売りしていない。この感覚が一番うれしかったです。」

奈良県のうどん店オーナー(施術提案の言語化を美容室向けに応用した事例より)

「『客単価を上げたい』と思いながらも、値引きクーポン以外の方法がわからなかったんです。ジョイマンさんのメソッドで『価値の言語化』を学んでから、シャンプーやトリートメントの提案をする言葉が変わりました。値引きせずに客単価が上がって、手元に残るお金が明らかに増えました。」

増益繁盛クラブ会員・美容室オーナー(40代)

閉店前の「明日の仕込み」が翌日の提案力を作る

19時、最後のお客さんを見送ったあとの15分。この時間の使い方が、長期的な店販の仕組みを作るかどうかを決めます。

やることはシンプルです。

閉店後 STEP 1

今日の提案が「刺さった言葉」「伝わらなかった言葉」をメモする

「カラーの色もちが気になるあなたへ」という言葉でお客さんの反応が良かった、「乾燥ケアに」という言葉ではあまり響かなかった――こういう小さな気づきを蓄積することで、提案の精度が上がっていきます。

⚠️ よくある失敗:「今日は忙しかったから」とメモをやめてしまう。失敗パターンの積み上げこそが最大の財産になります。

閉店後 STEP 2

明日の予約リストを見て「誰に何を届けるか」を1分で確認する

朝の準備と同じ発想です。「明日11時のCさんはトリートメントを気にしていたな」――前日夜に1分確認しておくだけで、翌朝の動き出しが変わります。

⚠️ よくある失敗:予約確認を「人数確認」だけで終わらせる。カルテのメモ欄を一緒に見る習慣が提案力の土台になります。

閉店後 STEP 3

店販コーナーのPOP・配置を週1回見直す

一度作ったPOPを何ヶ月も変えないのは機会損失です。季節・お客さんの悩みのトレンド・新商品の入荷に合わせて、週1回だけで十分なので言葉と配置を見直す時間を設けましょう。

⚠️ よくある失敗:「POPを作ること」自体がゴールになってしまい、反応を見て改善するサイクルが回らない。

まとめ:押し売りにならない提案の本質は「順番」にある

今日、一日の流れをとおして見えてきたことをひとことで言うなら、「提案の押し売り感は、言葉ではなく順番から生まれる」ということです。

商品を先に見せるから押し売りになる。お客さんの困りごとを先に見つけて、専門家として言葉にして届ける――その順番を守るだけで、同じシャンプーの提案がまったく別のものに変わります。

値引きしなくても、特別なキャンペーンをしなくても、「この人は私の髪のことをちゃんと見てくれている」という信頼があれば、お客さんは自然に買ってくれます。そしてその信頼は、毎日の施術の流れの中に小さく丁寧に積み上げていくものです。

私・ハワードジョイマンは、静岡市清水区を拠点に20年以上・全国の飲食店・美容室・小売店の経営者を指導してきました。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、「値引きせずに客単価と利益を伸ばす」仕組みを一緒に作ってきた実績があります。中小企業診断士(経済産業省登録番号402345)として、現場の感覚と経営の数字の両面からサポートします。

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  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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