お客さんを増やしたい

美容室の常連客を増やす、はじめての来店からの関係づくり

実は、美容室の新規客がリピーターになる割合は、業界平均で20〜30%程度と言われています(美容業界の経営調査データより)。つまり、初めて来てくれたお客さんの7割以上は、何もしなければそのまま一度きりで終わってしまう。これが美容室経営の現実です。

「腕には自信がある。お客さんにも喜んでもらえている。でも月末になると手元にお金が残っていない」――そんな感覚、ありませんか?

売上の数字は立っている。でも気づけばホットペッパーの掲載費、スタッフの人件費、シャンプー・カラー剤の仕入れコストに吸い取られ、利益がほとんど残らない。値引きクーポンで新規を呼び込んでも、粗利が削れるだけ。常連客を増やしたいと思いながら、何をどう変えればいいかが見えていない。

この記事では、初めての来店からどう関係を作り、「キャッシュが残る筋肉質な経営」につなげていくか。その具体的な道筋を、順を追って説明していきます。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ「新規客獲得」より「リピート率向上」がキャッシュに直結するのか
  2. 初回来店から常連客になってもらうための関係づくりのステップ
  3. 値引きに頼らず客単価を上げる「ご利益の言葉」の使い方
  4. 店内売上以外に収益の柱を持つ「お賽銭箱を複数」の発想法

こんな方におすすめ

  • ✅ 新規集客に費用をかけているのに手元にお金が残らない美容室オーナー
  • ✅ ホットペッパーや値引きクーポンに依存している状態から抜け出したい方
  • ✅ 初回来店後にリピートが続かない原因を知りたい方
  • ✅ 客単価を上げたいが、押し売りにならない方法を探している方
  • ✅ 売上より「利益が残る経営」に切り替えたいと考えている方
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「新規集客」より「リピート率」がキャッシュに直結する理由

多くの美容室オーナーが最初にやろうとするのは「新規客を増やすこと」です。チラシを撒いたり、ホットペッパーのポイントを上げたり、割引クーポンを作ったり。気持ちはよくわかります。でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

新規客を1人呼ぶコストと、既存客に再来店してもらうコストを比べたとき、どちらが安いでしょうか。

一般的に、新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍以上かかると言われています。つまり、せっかく来てもらった初回客がそのまま離れてしまうと、そのコストがまるまる損失になる。しかも値引きクーポンで集まった客は、次回も「また割引があれば来る」という条件付きの関係になりやすい。

一方、常連客は単価が高く、来店頻度も安定し、しかも口コミで友人を連れてきてくれる。「月末になるとお金が残らない」という状態から抜け出すために一番先にやるべきことは、実は新規集客の強化ではなく、すでに来てくれているお客さんとの関係を深めることなのです。

「売上より利益を重視する――これが繁盛店経営の出発点です。忙しいのに手元にお金が残らないのは、売上重視・利益軽視の構造的な問題です。まず今いるお客さんからいただける利益を最大化する。そこから経営は変わります。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント/有限会社繁盛店研究所 代表取締役)

初回来店から常連客をつくる「関係づくり」4つのステップ

常連客はある日突然できるものではありません。初回来店から「次も来たい」という気持ちが積み重なって、はじめて常連になっていきます。その流れを仕組みとして設計することが大切です。

関係づくり STEP 1

初回来店中に「次回の理由」を作る

施術中の会話の中で、お客さんの「なりたい髪型・髪の悩み・ライフスタイル」を丁寧に聞き出します。そしてカウンセリングシートや施術メモに残す。施術後に「次回は◯週間〜◯ヶ月後がベストですよ」と、次回来店のタイミングと理由を具体的に伝えます。「また機会があればどうぞ」ではなく、「あなたにとっていつ来るのがベストか」を伝える。この一言が、次への架け橋になります。

⚠️ よくある失敗:「またお待ちしております」で終わってしまい、次回の理由が何も伝わっていないケース。お客さんは「また行きたいな」と思っても、理由がなければ後回しになります。

関係づくり STEP 2

LINE公式アカウントでつながりを維持する

来店時にLINE友達追加を促し、顧客リストを自分の手元に持つ。ホットペッパーやポータルサイトに依存しているかぎり、顧客リストはそのサービス会社のものであって、自分の財産ではありません。LINEで直接つながれば、定期的なメッセージ(季節のヘアケアアドバイス、新メニューのご案内など)でお客さんとの接点を増やせます。接触頻度が増えるほど来店動機が生まれやすくなる――これをザイアンス効果といいます。

⚠️ よくある失敗:LINE登録を促すのを「なんとなく気が引けて」声をかけられていないケース。登録のメリット(先行情報・クーポンではなくヘアケア情報など)を明確に伝えると、抵抗なく登録してもらえます。

関係づくり STEP 3

メニューを「ご利益の言葉」で伝え直す

「カット」「カラー」「トリートメント」――これはサービスの名前(作業名)です。でもお客さんが知りたいのは、「このメニューを受けると自分がどう良くなるか」です。

例えば、「カット」をそのまま案内するのではなく、「朝のスタイリングが5分で決まる、扱いやすさ優先のカット」と伝える。トリートメントなら「乾かしただけでまとまる、うるおいキープトリートメント」。この言い換えだけで、お客さんの「受けてみたい」という気持ちが変わります。値上げしなくても、受注率が上がる。これが「ご利益の言葉」の力です。

⚠️ よくある失敗:メニューブックやLINEの案内文が作業名の羅列になっていて、お客さんが自分ごととして受け取れていないケース。

関係づくり STEP 4

「松竹梅」の構成で客単価を自然に上げる

メニューの価格帯を「松(高単価)・竹(標準)・梅(入門)」の3段階で設計すると、お客さんは自分でどれかを選ぶ動きをします。「梅しかない」と押しつけ感なく「竹か松」を選んでもらいやすい。また、施術中に上位メニューの体験談を自然に話すことで、次回以降のアップグレードにつながります。押し売りではなく、お客さんが「選ぶ」状態を作るのがポイントです。

⚠️ よくある失敗:高単価メニューをメニューブックの目立たない場所に置いてしまい、誰も目に留めないケース。一番売りたいメニューは一番目立つ場所に配置することが原則です。

✓ ここまでのポイント

  • 常連客を増やすには、新規集客より「初回来店後のリピート設計」が先
  • LINE公式アカウントで顧客リストを自分の手元に持つことが長期的な経営基盤になる
  • メニュー名を「ご利益の言葉」に変えるだけで、値上げなしに受注率・客単価が上がる

「売上は立っているのにお金が残らない」を解消する逆算経営の考え方

ここで少し、経営の根本的な話をさせてください。

美容室オーナーの多くは「今月の売上がいくらだったか」で経営を評価しています。でもそれだけでは、本当にお金が残っているかどうかはわかりません。

私がおすすめするのは、「利益ベースの逆算経営」です。考え方はシンプルです。

「65歳で引退するとして、そこから20年の生活費がいくら必要か」を先に計算する。そこから逆算して「今月いくらの利益が必要か」を決める。その利益を達成するために、客単価・粗利率・労働時間をどう設計するかを組み立てる。この順番で考えると、値引きクーポンを出し続けることがいかに経営の根を腐らせているかが、数字で見えてきます。

例えば、カットを3,500円で提供していて、クーポンで500円引きにしているとします。粗利率が60%だとすると、値引き前の粗利は2,100円。500円引くと粗利は1,600円になります。1ヶ月に200名来店しても、この違いで月10万円の粗利が消えている計算になります。値引きを止めて、代わりに価値訴求に切り替えるだけで、同じ売上でも手元に残るお金が大きく変わるのです。

「売上という表面の数字に追われているかぎり、忙しいのにお金が残らない構造は変わりません。まず利益から逆算して、客単価と粗利率を設計し直す。これが筋肉質な経営への入口です。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント)

「お賽銭箱を複数」持つ発想で、収益の入口を増やす

常連客を増やすことと並行して、もう一つ考えてほしいことがあります。収益の入口を複数作ることです。

美容室の収益が「席での施術売上」だけに依存していると、何かのタイミングで来店数が落ちた瞬間に、キャッシュが一気に詰まります。コロナ禍でこれを痛感した経営者は少なくないはずです。

私はこれを「お賽銭箱を複数持つ」と表現しています。

美容室でできる「第2・第3のお賽銭箱」には、例えばこんなものがあります。

  • ヘアケア商品(シャンプー・トリートメント・スタイリング剤)の物販
  • 頭皮・ヘアケアのホームケアキット販売
  • オンラインでのヘアケア相談(LINE・Zoom)
  • 法人向けの出張スタイリング(撮影・イベント対応)
  • ヘアアレンジ動画コンテンツの配信・販売

千葉県のお好み焼き店では、製薬会社向けの弁当を朝50個受注する安定収益ルートを構築し、店内売上以外の「第2のお財布」を確立しました。業種は違っても、「施術(調理)以外でお客さんや企業に価値を届ける方法を考える」という発想は、美容室でもそのまま使えます。

「北は北海道から南は沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、増益繁盛クラブの実践者は全国に存在しています。業種も地域も違っても、『値引きをやめて価値で選ばれる仕組みを作る』という本質は変わりません。特別な設備投資なしに3ヶ月以内で効果が出た事例が続出しています。」

増益繁盛クラブ 会員の共通する成果より

まとめ:常連客を増やすことと、キャッシュが残る経営は同じ道の先にある

「常連客を増やしたい」と「キャッシュが残る経営にしたい」は、実は一枚のコインの裏表です。

値引きクーポンで一時的に新規を呼んでも、粗利は削れ、常連にもなってもらえない。その繰り返しが「忙しいのに手元にお金が残らない」構造を作ります。

逆に、初回来店から丁寧な関係づくりをして、LINEでつながり、ご利益の言葉でメニューを伝え直し、松竹梅で自然な単価アップを設計する。これを実践することで、同じ来店数でも粗利が増え、常連客が増え、月末のキャッシュが変わっていきます。

まずは今日から一つだけ試してみてください。メニューブックの一番目立つ場所に「一番売りたいメニュー」を移す。それだけでも、来月の数字が少し変わります。

もっと体系的に学びたい方、今の経営構造をゼロから設計し直したい方には、以下の教材と会員制コンサルティングをご活用ください。20年以上・全国の飲食店・美容室経営者を指導してきた実績をベースに、あなたのお店の状況に合わせた具体的な改善策をお伝えします。まずは教材から小さく始めていただくことも大歓迎です。お気軽にご覧ください。

顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

本格的に経営の仕組みを変えたい方は、全国の美容室・飲食店経営者が参加する会員制コンサルティングもご覧ください。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、同じ悩みを抱えた仲間が実践を続けています。

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  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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