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美容室の適正価格、考えるための3つの視点

「このまま値上げしてもいいのか、それとも現状維持すべきか」——価格について考え始めると、なかなか答えが出なくなってしまうことはありませんか?

美容室の価格設定は、単なる「いくらにするか」という数字の話ではありません。価格は、あなたのお店が「誰に、何を、どういう価値で提供するのか」を伝えるメッセージそのものです。ここを曖昧にしたまま価格だけをいじっても、うまくいきません。

この記事では、静岡市清水区を拠点に全国の飲食店・美容室・小売店など20年以上にわたって経営支援を行ってきたハワードジョイマン(中小企業診断士 経済産業省登録番号402345)が、美容室オーナーが「適正価格」を考えるための3つの視点をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. 「適正価格」とは何か、なぜ多くの美容室が価格設定で迷うのか
  2. 価格を決める3つの視点(利益・価値・競合)の考え方
  3. 値上げを成功させるための「価値訴求」の具体的なアプローチ
  4. クーポン・値引きに依存しない集客の仕組みに転換する方法

こんな方におすすめ

  • ✅ 値上げを考えているが、お客さんが離れないか不安な美容室オーナー
  • ✅ ホットペッパーの割引クーポンに依存していて、そこから抜け出せないと感じている方
  • ✅ 忙しく働いているのに手元に利益が残らないと感じている方
  • ✅ 価格を「競合に合わせて決めるもの」だと思っている方
  • ✅ 値上げせずに客単価を上げる方法を知りたい方
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美容室の「適正価格」とは何か?

適正価格とは、「お客さんが納得して支払える価格」と「お店が利益を残せる価格」が重なった領域のことです。

ところが多くの美容室オーナーは、価格をどこかの基準に「合わせるもの」として考えています。「近所のお店と同じくらい」「ホットペッパーの相場感」「以前から変えていない」——こういった理由で価格が決まっていることが実に多い。

でも本来、価格は「逆算して設計するもの」です。まず「自分の店が月にいくらの利益を残すべきか」を決め、そこから客単価・客数・粗利率を組み立てていく。この発想の転換なしに、いくら値上げを考えても「なんとなく怖い」「お客さんが減りそう」という感覚から抜け出せません。

「価格は価値の鏡です。値段を上げることを怖がる経営者の多くは、実は自分の提供する価値に自信が持てていない。先に価値を言語化すること——それが価格設計の出発点です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店グループ総代表)

価格を考えるための視点①:利益から逆算しているか?

「売上を増やせば利益も増える」——そう思っていませんか?実はここに、多くの美容室が陥る罠があります。

売上は立っているのに月末になるとお金が残っていない。ホットペッパーの掲載費・値引きクーポンの原資・人件費・材料費を差し引くと、手元にほとんど残らない——この構造は、売上ではなく利益を基準に設計していないことが根本的な原因です。

具体的には、こんな順番で考えてみてください。

チェックポイント①:利益から逆算した客単価を計算しているか

「月に○万円の利益を残したい」という目標を先に決め、そこから「何人のお客さんに、いくらの単価でご来店いただく必要があるか」を逆算します。多くの場合、今の客単価では目標利益に届かないことに気づきます。

✅ ポイント:目標利益から逆算すると、値上げや客単価アップが「怖いこと」ではなく「必要なこと」として腹落ちします。感覚や相場ではなく、数字で考えることが第一歩です。

チェックポイント②:値引きクーポンが粗利を食いつぶしていないか

たとえば3,000円のカットが「初回1,500円クーポン」で来店されると、実質半額です。材料費・人件費・光熱費を引けば、ほぼ利益が残りません。しかもそのお客さんがリピートしなければ、集客コストだけがかかった計算になります。

✅ ポイント:クーポンで集めたお客さんは「価格で選んでいる」ため、次回も割引がなければ来ません。価格競争の土俵から降りることが、利益を残す経営への第一歩です。

価格を考えるための視点②:あなたの価値は言葉になっているか?

「技術には自信がある。でもその価値がお客さんに伝わっていない気がする」——この感覚を持っている美容室オーナーは、実はかなり多いです。

価値が伝わっていない最大の原因は、メニュー名が「作業名」になっていることです。「カット」「カラー」「パーマ」——これではどのお店も同じ。お客さんはメニュー名を見ても「このお店を選ぶ理由」が見つかりません。

ここで使えるのが「ご利益の言葉化」というアプローチです。

❌ よくあるパターン(作業名メニュー)

  • 「カット 4,000円」と書いているだけで、何が得られるか伝わらない
  • お客さんは価格だけで比較するしかなく、値引き要求につながりやすい
  • 「他店と何が違うのか」が不明なため、初回来店のハードルが上がる

✅ 推奨アプローチ(ご利益の言葉化)

  • 「朝のセットが楽になる、扱いやすさデザインカット 4,500円」と表現する
  • お客さんが「来店することで自分がどうなるか」をイメージできる
  • 価格より「自分に合っているかどうか」で選んでもらえる状態になる

メニュー名を変えただけで単価が上がる——これは実際に起きることです。奈良県のうどん店では、麺の幅を少し変えただけでSNSでバズが発生し、SNS経由の注文が1.5倍になりました。「既存の要素の組み合わせを変える」「伝え方を変える」だけで、お客さんの受け取り方は大きく変わります。美容室でも同じことが起きます。

✓ ここまでのポイント

  • 適正価格は「逆算して設計するもの」。利益目標から客単価を決める順番が正しい
  • 値引きクーポンは粗利を食いつぶし、リピートしない客層を集める構造になりやすい
  • メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に変えるだけで、価格の伝わり方が変わる

「値上げして客が減るのが怖いという気持ちはよくわかります。でも実際は、値上げより先に価値を伝え直すことで、同じ価格でも選ばれやすくなる。その後に値上げしても、むしろお客さんは増えた——そういう事例を20年間、何度も見てきました」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店グループ総代表)

価格を考えるための視点③:競合と比べるより「松竹梅」で設計しているか?

「周りのお店の相場に合わせないといけない」——そう思って価格を決めていると、永遠に価格競争から抜け出せません。

ここで有効なのが「松竹梅の法則」を使った商品ライン設計です。同じカテゴリのメニューを3段階(高・中・低)で用意することで、お客さんは「比べる相手が競合ではなく、自店内の選択肢」になります。

チェックポイント③:メニューに「上位グレード」が存在するか

「カット 4,000円」しかないお店では、お客さんは「高い・安い」しか判断できません。でも「カット 4,000円/スペシャルケアカット 6,500円/プレミアムデザインカット 9,800円」という構成があれば、多くのお客さんは自然と中間の「スペシャルケアカット」を選びます(松竹梅の竹が選ばれやすい心理)。

✅ ポイント:上位メニューを作ることで、既存の価格が「お手頃な選択肢」として見え方が変わります。値上げではなく「選択肢の追加」が、客単価アップの最も摩擦の少ない方法です。

チェックポイント④:リピート客向けの「価値の積み上げ」ができているか

新規集客コストは、リピート客を維持するコストの5〜7倍とも言われます。値引きクーポンで新規を追い続けるより、既存のお客さんに「もう少し上のメニューを選んでいただく」ほうが、コスト効率は圧倒的に高いです。LINEを使ったステップ配信や次回予約の習慣化は、この文脈でとても有効な手段です。

✅ ポイント:「来てくれたお客さんに次回も来ていただく仕組み」と「来てくれたお客さんに一段上のメニューを選んでいただく仕組み」の2つが揃うと、値上げせずに客単価・利益が伸びます。

「月商130万円だった和歌山の飲食店が、メニューを再設計して独自コンセプトのプレートを作っただけで月商450万円になりました。値引きは一切していません。価格より『このお店にしかないもの』を作ることが、価格競争から抜け出す本質です」

増益繁盛クラブ会員(飲食店経営者)

「適正価格」にたどり着くための3ステップとは?

ここまでの3つの視点を、実際の行動に落とし込む流れをまとめます。

価格設計 STEP 1

利益目標から客単価を逆算する

まず「月にいくらの利益を残したいか」を決めます。そこから「何人のお客さんに来ていただき、一人当たりいくらの単価が必要か」を計算します。今の価格・客数と比較して、どれだけのギャップがあるかを数字で把握することがスタートです。

⚠️ よくある失敗:売上目標は立てているが利益目標を持っていないため、いくら忙しくしても手元に残らない状態が続く。

価格設計 STEP 2

メニュー名とキャッチコピーを「ご利益の言葉」に書き換える

既存メニューの名前と説明文を見直し、「お客さんがこのメニューを選ぶことで、どんな良いことが起きるか」を言葉にします。まずは1〜2メニューから試してみるだけで変化が出ます。

⚠️ よくある失敗:「おすすめ」「人気No.1」と書くだけで、何が良いのかを伝えていない。お客さんに「なぜこれがいいのか」が伝わらないため、結局価格でしか判断できない。

価格設計 STEP 3

松竹梅の3段階構成を作り、上位メニューを1つ新設する

既存のメニューを「梅」とした場合、「竹」「松」に相当する上位グレードを設計します。松・竹・梅の価格差は1.5〜2倍程度が目安。上位メニューには「お客さんが具体的にどう良くなるか」の説明を必ず添えます。

⚠️ よくある失敗:上位メニューを作っても説明なしにメニュー表に並べるだけでは、誰も頼まない。「なぜこの価格なのか」の理由を書くことで初めて選ばれます。

まとめ:価格設定は「怖いもの」ではなく「設計するもの」

美容室の適正価格を考える3つの視点を振り返ります。

利益から逆算する——感覚や相場ではなく、利益目標から客単価を設計する。
価値を言葉にする——メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に変える。
松竹梅で設計する——競合との比較ではなく、自店内の選択肢でお客さんに選んでもらう構造を作る。

この3つを順番に実践するだけで、「値上げしたいけど怖い」という感覚が「価値を伝えれば自然に選ばれる」という感覚に変わっていきます。特別な設備投資も、大規模なリニューアルも必要ありません。

価格設定に迷っている美容室オーナーの方に、まずお読みいただきたい教材と、継続的な学びの場をご案内します。

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  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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