お金を増やしたい

美容室のメニュー設計、客単価が変わる組み立て方

「技術には自信があるのに、なぜか客単価が上がらない」
「追加メニューを勧めたいけど、押し売りになりそうで言い出せない」
「新メニューを作っても、お客さんが選んでくれない」

美容室を経営していると、こういう悩みが積み重なってくることがあります。料理の世界でもまったく同じことが起きていて、ぼくがコンサルティングで全国の飲食店・美容室を回るなかで、「メニューの中身ではなく、メニューの組み立て方」が客単価の明暗を分けているという現場を何度も目撃してきました。

今回は、静岡市清水区を拠点にしながら北海道から沖縄・アメリカ在住の日本人経営者まで支援してきた繁盛店研究所のハワードジョイマンが、「メニュー設計で客単価が変わる仕組み」をお伝えします。専門用語ゼロ、今日から使える話だけに絞って書きます。

📋 この記事でわかること

  1. 客単価が上がらない本当の原因(技術の問題ではない)
  2. お客さんが「自然に上のメニューを選ぶ」メニュー設計の構造
  3. 値引きなしで客単価を上げた美容室・飲食店の実例
  4. 今日から試せるメニュー表の直し方

こんな方におすすめ

  • ✅ 客単価が3,500〜8,000円前後で頭打ちになっている美容室オーナー
  • ✅ 追加メニューの声かけに「押し売り感」を覚えてしまう方
  • ✅ 新メニューを作っても選ばれないと感じている方
  • ✅ 値引きやクーポンに頼らず売上を伸ばしたい方
  • ✅ メニュー表を「なんとなく」作っていて、一度見直したい方
美容室のメニュー設計、客単価が変わる組み立て方 | 全国の繁盛店がやっている増益繁盛店作りの強化書

客単価が上がらないのは技術ではなく「メニューの見せ方」が原因

まず正直に言います。美容室で客単価が伸び悩んでいる場合、その原因の大半は技術力ではなく、メニューの組み立て方にあります。

よくあるのが「カット4,000円、カラー8,000円、トリートメント2,000円」というように、メニューをバラバラに並べるだけのメニュー表。お客さんはこれを見て、頭の中で足し算をして「今日はカットだけにしよう」と判断します。結果、スタッフが「トリートメントはいかがですか?」と声をかけるのが「追加の提案=押し売り」に見えてしまう。

でも、これはお客さんが悪いわけでも、スタッフの提案力が足りないわけでもありません。メニューの組み立て方が、お客さんを「安い方を選ぶ行動」へ自然に誘導してしまっているのです。

「メニュー表は、お客さんへの最初の接客です。そこに何が書いてあるかで、お客さんの選択肢は決まってしまう。スタッフが口で勧める前に、メニュー表が仕事をしているかどうかを見直してほしいんです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)

「松竹梅の法則」で選ばせる構造を作る

客単価を上げるためにまず取り組んでほしいのが、「松竹梅の法則」を使ったメニューライン設計です。

人は選択肢が3つあるとき、真ん中を選びやすいという心理的傾向があります。これを「コンプロミス効果」といいますが、ぼくはシンプルに「お客さんに選ばせる仕組み」と表現しています。

美容室で言えば、こんな設計です。

❌ よくあるパターン(バラ売り型)

  • カット:4,000円
  • カラー:8,000円
  • トリートメント:2,000円
  • →お客さんは「一番安い組み合わせ」を選ぶ基準でしか考えられない

✅ 推奨アプローチ(松竹梅セット型)

  • 【梅】カット+シャンプー:4,500円
  • 【竹】カット+カラー+シャンプー:11,000円(一番選ばれる)
  • 【松】カット+カラー+プレミアムトリートメント+ヘッドスパ:16,000円
  • →お客さんは「どのグレードにするか」という基準で選ぶようになる

バラ売りだと「カットだけ」という選択が生まれます。セット設計にすると、判断の基準が「するかしないか」から「どのグレードにするか」に変わります。この違いは、想像以上に大きい。

「作業名メニュー」を「ご利益メニュー」に書き換える

メニューの組み立て方と同じくらい重要なのが、メニュー名の言葉です。

多くの美容室のメニュー表には「カット」「カラー」「パーマ」「トリートメント」という言葉が並んでいます。これらはすべて「作業名」です。お客さんの立場から見ると「何をしてもらうか」は分かりますが、「このメニューを選ぶと自分がどうなるか」が分からない。

飲食店でも同じことが起きていて、「ハンバーグ定食 900円」と書かれたメニューより、「肉汁あふれる手ごねハンバーグ〜自家製デミグラスソース〜 1,200円」と書かれたメニューの方が圧倒的に注文率が高くなります。300円高くても選ばれる。なぜかというと、お客さんが「注文した後の自分」をイメージできるから。

美容室でこれを応用するとこうなります。

❌ 作業名メニュー

  • 「トリートメント」「ヘッドスパ」「縮毛矯正」

✅ ご利益メニュー

  • 「翌朝のドライヤー時間が半分になる集中補修トリートメント」
  • 「1週間、肩のコリが抜けないあなたのためのヘッドスパ」
  • 「梅雨でもまとまる、湿気に負けない縮毛矯正」

お客さんが知りたいのは「このメニューを選ぶと自分はどう変わるのか」です。この視点でメニュー表を書き直すだけで、追加オーダーが入りやすくなります。スタッフが口頭で説明する前に、メニュー表が代わりに働いてくれる状態になります。

✓ ここまでのポイント

  • 客単価が上がらない原因は技術より「メニューの組み立て方」にある
  • 松竹梅のセット設計で、お客さんの選択基準を「するかしないか」から「どのグレードか」に変える
  • メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換えると、追加注文が自然に増える

メニューの「並び順」が客単価を変える

もう一つ、すぐに試せる改善があります。それがメニューの並び順です。

飲食店のコンサルでよく目にするのが、メニューを「安い順」に並べているお店。これをやっている限り、お客さんは一番安いメニューから目に入り、そこで思考が止まります。「今日はこれで」と決まってしまう。

繁盛店がやっていることは逆です。一番売りたいメニューを、一番目立つ場所に配置する。メニュー表の上段左側、視線が最初に届く場所に「利益率が高く、お客さんにとっても価値のあるメニュー」を置く。

美容室であれば、トップページや受付に置くメニューブックの最初のページに、松竹梅の「竹」にあたるコースを大きく見やすく掲載する。その後に個別メニューの詳細を載せる。この順番にするだけで、来店したお客さんの意識が変わります。

チェックポイント①:今のメニュー表、一番最初に何が目に入りますか?

メニュー表を手に取り、最初に視線が届く場所に何が書いてあるか確認してみてください。「一番安いメニュー」または「バラ売りの価格一覧」が先頭にある場合、並び順を見直す余地があります。

✅ ポイント:最初に目に入るのが「一番売りたいセットメニュー」になるよう、レイアウトを組み直しましょう。視線の動きは「左上→右→下」の順。最重要メニューは左上に配置するのが基本です。

チェックポイント②:追加メニューを「セット内」に含めていますか?

トリートメントやヘッドスパが単品での追加オプションになっている場合、スタッフが声をかけないと選ばれません。一方、セットメニューの中に組み込まれていれば、「外す理由」がないと自然にセットのまま決まります。

✅ ポイント:追加させたいメニューはオプション扱いではなく、上位セットの「標準構成」として含めることを検討してください。

実際に変わった事例——「組み合わせを変えるだけ」の発想

ここで、ぼくが関わった実際の事例を一つ紹介します。

「奈良県のうどん店さんの事例なんですが、メニューの内容を変えたわけじゃないんです。麺の幅を少し広めに変えて、写真を撮ったらSNSでバズった。月商の数字より、『既存のものの組み合わせを変えるだけで差別化できる』という体験が店主の自信になった。美容室でも同じで、今あるメニューの組み合わせと見せ方を変えるだけで、お客さんの反応は明らかに変わります」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)

「月商130万円から450万円になりました。新しい設備を買ったわけじゃなくて、メニューの組み合わせとコンセプトを変えただけです。地域にない独自の切り口を作ったら、『これが食べたくてここに来た』というお客さんが増えた。値引きは一切していません」

和歌山県の飲食店経営者(増益繁盛クラブメンバー)

飲食と美容室では業種が違いますが、「組み合わせを変えて価値を上げる」「地域にない切り口を作る」という発想は同じです。新しいものをゼロから作るのではなく、今あるものの組み立て方を変える。これが、投資なしで客単価を上げる最短ルートです。

まとめ:メニュー設計は「接客の前段階」

メニュー表は、スタッフがお客さんに話しかける前から仕事をしています。何が最初に目に入るか、どう並んでいるか、メニュー名に何と書いてあるか——この3つが整っているだけで、スタッフが何も言わなくても客単価は変わり始めます。

今日からできることをまとめると、
① メニューを「バラ売り」から「松竹梅のセット設計」に変える
② メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換える
③ 一番売りたいメニューをメニュー表の一番目立つ場所に置く

この3つです。設備投資も新しいスキルも必要ありません。今日の営業後に、メニュー表を一枚取り出して見直すところから始めてみてください。

ぼく自身、静岡県清水区で生まれ育ち、市役所を辞めて繁盛店研究所を立ち上げて20年以上、飲食店・美容室・小売店の経営者と一緒に現場を見てきました。「料理も技術も本物なのに、伝わっていない」という経営者を何人も見てきたからこそ、「伝え方の仕組み」にこだわり続けています。

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  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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