10月が近づいてくると、美容室にとっては少しずつ予約が動き始める時期ですね。秋の衣替えとともに「髪も変えたい」というお客さんの気持ちが高まる季節です。
ただ、こんな声もよく届きます。「チラシを撒いたら新規は来たけれど、クーポン目当てばかりでリピートしない」「忙しい日が増えたのに、月末の通帳を見たらほとんど残っていなかった」——思い当たる方は多いんじゃないかと思います。
今回は、美容室のチラシ作成を外部に依頼する場面を入り口に、「お客様の声をどう盛り込むか」という設計の話をします。ただし本質は、チラシの見た目やデザインの話ではありません。チラシが呼び込むお客さんの質と、そこから生まれる利益率の話です。
📋 この記事でわかること
- お客様の声をチラシに使うと、なぜ利益率が変わるのか
- 値引きクーポン頼みの集客が「忙しいのにお金が残らない」構造を生む理由
- 声の選び方・使い方で変わる、来店客の単価と定着率
- チラシ設計を「売上より利益」の視点から見直す具体的な手順
こんな方におすすめ
- ✅ チラシを作っているのに利益が残らないと感じている美容室オーナーさん
- ✅ クーポン集客をやめたいが、代わりの手段が思い浮かばない方
- ✅ お客様の声はあるが、チラシにどう使えばいいか分からない方
- ✅ 新規集客より既存客のリピート定着を優先したいオーナーさん
- ✅ 売上より利益を残す経営に切り替えたいと思い始めている方

目次
「お客様の声入りチラシ」を作る前に確認したいこと
先日、美容室を経営されているオーナーさんから、こんな相談をいただきました。「チラシの作成を業者に依頼しようと思っているんですが、お客様の声を載せた方がいいと聞きました。どんな声を使えばいいですか?」
実はこの質問、「どの声を使うか」より先に確認すべきことがあります。それは、そのチラシがどんなお客さんを呼ぶ設計になっているか、という点です。
たとえば、「初回限定50%OFF」「カット+カラーで○○円」という割引を前面に出したチラシに、どんなに素敵なお客様の声を添えても、来るのはその値段目当てのお客さんです。声の内容がどれだけ良くても、チラシ全体のコンセプトが「安さで選ばれる」になっていれば、集まる客層も、1回で終わる可能性も、そのままです。
結果、施術は満席になるけれど月末の利益が薄い——という状態が続きます。これは美容室だけでなく、飲食店でも同じ構造です。
「チラシに問題があるのではなく、そのチラシが『どんな理由で選ばれる店』を目指して作られているかが問題です。声を載せる前に、まずその設計を決めてください」
ハワード・ジョイマン(中小企業診断士/繁盛店研究所 代表)
チラシにお客様の声を入れたいけれど、「どの声を選べばいいか」「何を書けば来てほしい客層に刺さるか」が整理できていない——そこで詰まっている方に、購買行動を8ステップに分解した無料小冊子をお渡ししています。「なぜ新規集客を最初にやってはいけないのか」「客単価をセット表記で上げる方法」など、チラシ設計の前提になる考え方を具体的に解説しています。メールアドレスだけで、30秒で受け取れます。
お客様の声で「価値で選ばれる」設計に変える
では、チラシにお客様の声を入れる本当の意味は何か。それは、来てほしい客層に「ここは自分のための店だ」と感じてもらうためです。
値引きクーポンを使うと、「安いから来た」お客さんが集まります。でも、お客様の声を使うと、「この声を読んで、自分も同じ体験がしたい」と思ったお客さんが来ます。この違いは、その後のリピート率と客単価に直結します。
具体的には、声の「選び方」が重要です。よくある失敗は、「ありがとうございました」「また来ます」といった感謝の言葉だけを並べること。これは感情的には温かいのですが、チラシを読んだ人が「自分も行きたい」と動くには弱い。
選ぶべき声は、次の3つの要素が入っているものです。
チェックポイント1:「悩み→施術→変化」の流れが入っているか
「白髪が気になり始めてから、どこに行っても馴染みにくくて困っていました。ここに来てからは、自然な仕上がりで夫にも『なんか違う』と言われるようになりました」——この声には、読んだ人が「自分も同じ悩みがある」と感じる入り口があります。
✅ ポイント:感謝の言葉より「Before→After」の変化が入っている声を選ぶ。それが来店の動機と直結します。
チェックポイント2:価格ではなく「体験の質」に触れているか
「値段が安かった」という声は載せてはいけません。それは今後も「安さ」で比較される集客につながります。「担当してくれたスタッフが最後まで丁寧に話を聞いてくれた」「提案してもらったスタイルが自分では思いつかなかったけど、すごく似合っていた」——こういった、技術や人柄への評価が入っている声を選びましょう。
✅ ポイント:声に「価格」が含まれている場合は掲載を避ける。チラシ全体が「高い」「安い」の比較軸に引き込まれます。
チェックポイント3:声の主が「来てほしい客層」に近いか
大人女性向けのサロンであれば、40〜50代女性の声。頭皮ケアを売りにしているなら、頭皮トラブルを抱えていた方の声。声の語り手と、チラシを読む人の属性が近いほど、「これは私のための店かもしれない」という共感が生まれます。
✅ ポイント:声の属性(年代・悩みのタイプ)が、ターゲット客層と重なるものを優先する。
✓ ここまでのポイント
- チラシに声を入れる前に、「どんな理由で選ばれる店にするか」というコンセプトを決めること
- お客様の声は「感謝の言葉」より「悩み→変化の体験談」を選ぶ
- 声の主の属性が、来てほしい客層に近いほど共感と行動につながる
「価値で選ばれるチラシ」を作るには、まずお客さんの行動を分解する視点が必要です。無料小冊子では「認知→来店→購入→再来店」の各ステップで今日からできる具体策を解説しており、チラシに何を書くべきかを逆算する際の地図になります。登録後すぐにダウンロードURLが届きます。
「第2のお財布」という発想——飲食店の事例から学ぶ利益設計
ここで少し視野を広げます。業種は違いますが、利益率が低くて困っているオーナーさんにぜひ知ってほしい事例です。
千葉県のお好み焼き店のオーナーさんが、こんな取り組みをされました。製薬会社向けの弁当(単価2,500〜3,000円)を、朝50個受注する安定収益ルートを構築したのです。店内売上とはまったく別の「第2のお財布」を作ることで、店舗の利益構造そのものが変わりました。
これを美容室に置き換えて考えると、どうなるでしょうか。
たとえば、既存のお客さんへのホームケア商品の提案、次回来店の先予約(次回予約の仕組み化)、地域の法人向け福利厚生プラン——これらは、施術単価を上げるのではなく、施術以外の収益源を作るという発想です。
チラシの話に戻すと、この「第2のお財布」を意識したとき、チラシに何を書くべきかが変わります。「初回割引でとにかく来てもらう」設計から、「うちのサロンの価値を知ってもらい、長くお付き合いしたい人に来てもらう」設計へ。その設計の転換を支えるのが、適切に選ばれたお客様の声です。
「焼肉店のオーナーさんが月商420万から560万に伸ばしたのは、値引きをやめて『価値で選ばれる』仕組みを作ったからです。チラシも、その仕組みの一部です」
ハワード・ジョイマン(中小企業診断士/繁盛店研究所 代表)
「カラー特化のサロンを運営していて、ホットペッパー掲載費が利益を圧迫していました。次回予約の仕組みを作ってからは、掲載費を抑えながらリピートが安定してきました」
カラー特化サロン(30代・女性)
チラシ作成を依頼する前に決めておく「逆算の設計図」
チラシのデザインや印刷を業者に依頼する前に、オーナーさん自身が決めておくべきことがあります。業者はデザインのプロですが、「どんなお客さんに来てほしいか」「その人に何を伝えれば動くか」は、経営者であるあなたしか決められません。
この逆算の設計図を作る手順を整理します。
チラシ設計 STEP 1
「来てほしい客層」を1人の人物像で描く
「30〜50代の女性」という広い括りではなく、「40代・白髪が気になり始めた・忙しくて毎月来店できないが、来るときはしっかりケアしたい・価格よりも仕上がりと居心地を重視する」——ここまで具体的に描くと、選ぶべきお客様の声も、チラシに書く言葉も、自然に決まってきます。
⚠️ よくある失敗:「誰でも来てほしい」と設計すると、誰の心にも刺さらないチラシになります。絞ることへの恐怖を手放してください。
チラシ設計 STEP 2
「来てほしい客層」に近いお客様の声を3〜5件ピックアップする
手元にある声を見直し、「悩み→変化」の流れがある声、価格に触れていない声、ターゲット像と属性が近い声を選びます。声が少ない場合は、この機会に既存客へのアンケートを取るのが先決です。
⚠️ よくある失敗:手元にある声をそのまま全部載せてしまう。量より質。1〜2件の深い声の方が、10件の薄い声より動かします。
チラシ設計 STEP 3
「なぜ価値があるか」をご利益の言葉に変換する
「当店はカラーにこだわっています」ではなく、「白髪が目立ちにくい、自然な明るさに仕上げるカラーを得意にしています」——お客さんにとっての「ご利益」に書き換えると、チラシの言葉が一気に刺さるものになります。ここにお客様の声を添えると、言葉の説得力が増します。
⚠️ よくある失敗:技術や設備の「スペック説明」になってしまう。お客さんが知りたいのは「自分がどう変わるか」です。
チラシ作成を外部に依頼する際に何を確認すべきかについては、美容室の集客コンサルに依頼する前に比較したい、外部専門家の選び方と見極めのポイントもあわせて参考にしてください。
また、飲食店の販促依頼でも同じ構造の問題が起きています。飲食店の販促を外部に依頼するとき、失敗しない発注の進め方も、業種を超えて参考になる視点が詰まっています。
値引きをやめて「価値で選ばれる」チラシに変える、最初の一手
結論から言うと、チラシで利益率を上げるためにやることは一つです。「安さで来てほしい」という設計から、「この店でないといけない理由」を伝える設計に切り替えること。
値引きクーポンのチラシは、配った瞬間に「安さ競争」に巻き込まれます。でも、お客様の声で「体験の質」を伝えるチラシは、価格ではなく価値で比較されます。
「忙しいのにお金が残らない」という状態の多くは、売上より利益を基準にした経営設計ができていないことから来ています。チラシはその設計を形にするツールです。設計が間違っていれば、どれだけ良いデザインのチラシを作っても、結果は変わりません。
まず手元にあるお客様の声を見直すことから始めてください。「悩みが入っているか」「価格に触れていないか」「来てほしい客層の属性と近いか」——この3点を確認するだけで、次に作るチラシの方向性が見えてきます。
美容室の経営改善を専門家に相談した事例については、美容室の経営コンサルへの依頼を始めた理由、現場オーナーの話も読んでみてください。「最初の一歩をどう踏み出したか」がリアルに書かれています。
「チラシを変えても、根本の経営設計が変わらなければ利益率は変わらない」——そう感じ始めた方のために、売上より利益を重視する経営を一緒に実践する場があります。増益繁盛クラブでは、全国の飲食店・美容室オーナーが毎月実践ノウハウを共有しながら、値引きに頼らない仕組みを構築しています。入会案内ページでクラスごとの内容と料金、よくある質問を確認できます。