「DMを送ったのに、全然反応がない」――美容室のオーナーさんからこういう声をよく聞きます。
実は、美容室に一度来店したお客さんのうち、2回目に来ない方の割合は約60〜70%とも言われています。つまり、せっかく新規で来店してもらっても、3人に2人は次の予約を入れずに終わっているのが実態です。
これを「仕方ない」で済ませているか、「仕組みで取り戻す」かで、3年後のお店の姿はまるで違います。
来店促進DMは、その「仕組みで取り戻す」ための一つの手段です。ただ、送り方を間違えると反応がゼロどころか逆効果になる。今回は、失客を防ぐDMの考え方を整理してお伝えします。
ちなみに私、ハワードジョイマンは休日に散歩しながらぼんやりと「なぜあのお店はお客さんに忘れられてしまうのか」を考えるのが好きでして(周りからはただの変わり者に見えているかもしれませんが)。静岡・清水の海沿いを歩きながら「接触頻度がすべてだな」という結論にたどり着いたことが何度もあります。今日はその話をじっくりしていきます。
📋 この記事でわかること
- 美容室のDMが反応されない本当の理由
- 失客を防ぐために「いつ」「何を」送ればいいか
- 値引きクーポンに頼らないDMの書き方の考え方
- DMをリピート率向上につなげる仕組みの作り方
こんな方におすすめ
- ✅ DMを送っても来店につながらないと悩んでいる美容室オーナー
- ✅ クーポン以外の方法でリピーターを増やしたい方
- ✅ 新規集客よりも失客防止に取り組みたい方
- ✅ ホットペッパービューティーへの依存を減らしたい方
- ✅ 販促に慣れていないが、まず再来店の仕組みから始めたい方

目次
DMが「反応ゼロ」になる、よくある3つのパターン
美容室が送るDMには、ありがちな失敗パターンがあります。悪意はゼロ、むしろ一生懸命作っているのに、結果が出ない。その理由は「送る側の都合」で設計されているからです。
❌ よくあるパターン①:来店から時間が経ちすぎてから送る
- 最後の来店から3〜6ヶ月経ってから突然DMが届く
- お客さんの記憶が薄れているので「誰?」という反応になりやすい
- すでに別のお店を見つけている可能性が高い
✅ 推奨アプローチ:来店直後から接触を切らさない
- 来店当日〜翌日にサンクスメッセージを送る
- 次の来店タイミングの目安(「2ヶ月後が染め時ですよ」等)を事前に伝える
- 関係がまだ温かいうちに接点を維持する
❌ よくあるパターン②:クーポンを前面に出しすぎる
- 「20%OFF」「初回無料」ばかりのDMは、値引き目当て客しか集まらない
- クーポンがなければ来ない客になってしまい、利益が削れ続ける
- お店の価値ではなく「安さ」で選ばれる状態になる
✅ 推奨アプローチ:価値を伝えるメッセージを中心にする
- 施術の具体的なご利益(「朝のスタイリングが2分で終わるスタイル」等)を伝える
- お客さんの髪の状態に合わせた個別メッセージにする
- 来店した記憶を蘇らせる「あの時の話」を盛り込む
❌ よくあるパターン③:誰にでも同じ内容を一斉送信する
- 「全員に同じDM」は、読み手に「自分宛てではない」と感じさせる
- セグメントなし=誰の心にも刺さらない
✅ 推奨アプローチ:状況別に分けて送る
- 新規来店客・2〜3回来店客・半年以上来ていない失客予備軍、で内容を変える
- 「お子さんの入学前のタイミングですね」など、生活状況に寄り添った言葉を使う
失客を防ぐDMは「タイミング」がすべて
DMで最も大切なことは何かと聞かれたら、迷わず「タイミング」と答えます。どんなに素晴らしい文章を書いても、お客さんがあなたのお店を必要としていないタイミングに届いたDMは読まれません。
私がよくお伝えしているのは「購買行動の7段階」という考え方です。お客さんは「知る→興味を持つ→来店を考える→入店する→施術を受ける→会計する→再来店する」という流れで動いています。DMが有効に機能するのは、「再来店する」の手前――つまりお客さんが「そろそろ行こうかな」と思い始める前のタイミングに届いたときだけです。
「DMを送るかどうかよりも、いつ送るかのほうが100倍大事です。施術直後のお客さんは、まだ心が開いている。その瞬間に次の接点を作るだけで、失客率は大きく変わります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
では、タイミング別に何を送ればいいか、整理しましょう。
チェックポイント①:来店直後(当日〜3日以内)
施術後の感謝メッセージを送るタイミング。「本日はありがとうございました。ご自宅でのスタイリングのコツをお伝えします」という実用的な内容が理想的です。この段階では売り込みゼロで構いません。ただ「覚えている」「大切にしている」という温度感を伝えるだけで十分。
✅ ポイント:来店翌日にLINE公式アカウントでメッセージを送る仕組みを作っておくと、手間なく継続できます。
チェックポイント②:前回来店から1〜1.5ヶ月後
カラーやパーマのお客さんなら、そろそろ気になり始める時期。「根元が伸びてくる頃ですよ」「前回のスタイルをキープするなら、このタイミングがベストです」という実用的なメッセージが刺さります。「来てください」ではなく「こういう理由で、このタイミングが良いですよ」という情報提供のスタンスで送ること。
✅ ポイント:お客さんの施術内容をカルテに記録し、「次はいつ頃が良いか」を施術時に一言伝えておくと、DMへの反応率が上がります。
チェックポイント③:来店から3ヶ月以上経過した「失客予備軍」
この段階はすでにお店を忘れかけているか、別の店に移行している可能性がある。だからこそ、「お知らせ」ではなく「あなたのことを思い出していますよ」というパーソナルな温度感が必要です。「前回、根元が気になるとおっしゃっていましたが、いかがですか?」のように、来店時の記憶を具体的に呼び起こす一文を入れると反応が変わります。
✅ ポイント:この段階でクーポンを使うのは一定の効果がありますが、「価値を伝えた上で、さらに背中を押す一手」として使いましょう。クーポンを前面に出すのではなく、後半に添える形で。
✓ ここまでのポイント
- DMが反応されない最大の原因は「タイミングのズレ」と「全員同じ内容の一斉送信」
- 来店直後・1〜1.5ヶ月後・3ヶ月以上経過の3段階でメッセージの内容と温度感を変える
- クーポンは価値を伝えた後の「背中を押す一手」として使う
「ご利益の言葉」でDMの反応率を上げる
DMの内容について、もう一つ大事なことをお伝えします。それは「メニュー名や価格を書くのではなく、お客さんがどう良くなるかを書く」こと。私はこれを「ご利益の言葉」と呼んでいます。
たとえば、こんな違いがあります。
❌ よくあるDMの書き方
- 「カット+カラー 12,000円(通常14,000円)」
- 「今月限定、トリートメント無料サービス中」
- 「新メニュー追加しました」
✅ ご利益の言葉で書いたDM
- 「朝のドライヤー時間が半分になる、まとまりやすいカットとカラーの提案があります」
- 「梅雨前に、湿気に負けないスタイルに整えませんか」
- 「前回お話しされていた、くせ毛でまとめにくいお悩みへのアプローチを考えました」
お客さんが知りたいのは「このDMを見て来店することで、自分はどう変わるか」です。価格や割引は、その後の話。価値が先、価格は後。この順番を変えるだけで、DMに対する反応の質が変わります。
「メニュー名を書くだけのDMと、ご利益を書くDMでは、同じお客さんに届いても読まれ方がまるで違います。カットという作業名ではなく、カットすることでお客さんの朝がどう変わるかを伝える。それだけで、DMは手紙になります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
実際に成果が出た事例から学ぶ「接触頻度の設計」
全国で会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」を運営していると、DMやLINE配信の工夫で再来店率が変わった事例にたびたび出会います。
「以前はホットペッパーのクーポンに頼りきりで、毎月の掲載費が重荷でした。ジョイマンさんのメソッドを参考に、来店後のLINEメッセージと1.5ヶ月後のパーソナルDMを組み合わせる仕組みを作ったところ、3ヶ月で再来店率が目に見えて改善しました。クーポン客ではなく、うちのお店を好きでいてくれるお客さんが増えた感覚があります」
増益繁盛クラブ会員(美容室オーナー・40代)
ここで大切なのは「仕組み」という言葉です。単発でDMを送るのではなく、来店後の時系列に沿って自動的に接点が生まれる設計を作ること。これを私は「ザイアンス効果を使った接触頻度の設計」と呼んでいます。
ザイアンス効果とは、接触回数が増えるほど親しみや好意が高まる心理現象のことです。美容室の文脈で言えば、来店してから再来店するまでの間に「役立つ情報」「季節の提案」「お客さんの状況に寄り添った一言」が届き続けることで、お客さんの脳内でそのお店の存在感が維持される。
接触頻度の設計は、以下のような流れで組み立てます。
DM設計 STEP 1
来店時にLINE登録を促す
施術後の精算時に「次回のご来店前にお得な情報をLINEでお送りしています」とお伝えし、QRコードを読み込んでいただく。紙のDMより低コストかつ開封率が高いLINEを主な接触ツールにする。
⚠️ よくある失敗:「登録してください」とだけ伝えて終わり。登録するメリット(具体的にどんな情報が届くか)を伝えないと、登録率が上がりません。
DM設計 STEP 2
施術カルテをもとに「個別感」を出したメッセージを作る
全員に同じ内容を送るのではなく、施術内容・来店頻度・お客さんが気にしていること(カルテにメモしておく)をもとに、相手の状況に合わせたメッセージを書く。完全な個別対応が難しければ、施術種別(カラー組・カット専門組等)でセグメントするだけでも効果が変わります。
⚠️ よくある失敗:「手間がかかる」とセグメントをやめて一斉送信に戻してしまう。最初は2〜3種類のパターンを作るだけで十分です。
DM設計 STEP 3
季節・イベントに合わせた「理由のある連絡」を定期的に入れる
入学・卒業・成人式・夏前・年末など、ヘアスタイルを整えたいタイミングに合わせた提案を事前に送る。「営業のメッセージ」ではなく「あなたにとってタイムリーな情報」として届けることが重要。
⚠️ よくある失敗:イベントの直前に送る。2〜3週間前に「そろそろ準備を始める方が多い時期ですよ」という先手の一言を入れると反応が上がります。
まとめ:DMは「送る」より「設計する」
美容室の来店促進DMで失客を防ぐには、「とりあえず送る」から「設計して送る」に切り替えることが出発点です。
整理すると、こういうことです。
- 送るタイミングは来店直後・1〜1.5ヶ月後・3ヶ月以上経過の3段階に分ける
- 内容は「メニュー名・価格」ではなく「お客さんがどう良くなるか(ご利益の言葉)」で書く
- クーポンは価値を伝えた後の「背中を押す一手」として使う
- 一斉送信ではなく、施術内容や来店状況でセグメントして個別感を出す
- LINEを主な接触ツールにして、来店から次の来店までの「接触頻度」を設計する
これを一度に全部やろうとする必要はありません。私がコンサルティングでいつもお伝えしているのは「まず1ヶ月目は店内の仕組みから」という順番です。新規集客の前に、今いるお客さんとの関係を深める。これが最もコストが低く、最も確実に利益につながるアプローチです。
静岡・清水の海沿いを散歩しながら「接触頻度がすべて」と何度も思った理由は、結局ここにあります。お客さんはあなたのことを忘れているわけではない。ただ、思い出す機会がないだけ。だから、こちらから自然に思い出してもらう設計を作ればいい。
DMという手段は古くて地味に見えるかもしれませんが、正しく設計すれば今でも十分に機能します。来店促進DMの設計と、その先のリピート率向上の仕組みについて、より深く学びたい方はぜひ以下からご覧ください。
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