ホットペッパービューティーを解約した美容室の、その後の話をします。
「解約したら新規がゼロになる」と思っていたオーナーが実際に解約してみると、新規客がゼロになるどころか、むしろ客単価が上がったというケースが全国に続出しています。増益繁盛クラブの会員の中にも、ポータルサイトの掲載費(月5〜20万円)を削減しながら売上を維持・拡大した美容室オーナーが複数います。
では、解約した後に彼女たちが最初に手をつけたのは何か。
答えは「新しい集客手段の導入」ではありませんでした。多くのオーナーが最初に取り組んだのは、メニューの名前と説明を書き直すことだったのです。
📋 この記事でわかること
- ホットペッパー解約後の美容室が最初にやること
- 「値上げで客が離れる」という思い込みの正体
- メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に変える具体的な方法
- 松竹梅の3段階構成でお客さんに「選ばせる」仕組みの作り方
こんな方におすすめ
- ✅ ホットペッパーの掲載費に対して費用対効果が合わなくなってきたと感じている方
- ✅ 値上げしたいけれど「お客さんが来なくなるかも」という恐怖が拭えない方
- ✅ 一生懸命働いているのに、手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ カット・カラーといったメニュー名を何年も変えていない方
- ✅ 値引きやクーポン以外の集客・単価アップの方法を探している方

目次
「値上げしたら客が減る」は本当か? データが示す意外な現実
値上げを検討したとき、多くのオーナーが抱く不安はこうです。「価格を上げたらお客さんに嫌われる」「安い店に流れてしまう」。
でも少し立ち止まって考えてみてください。あなたのお店に今来ているお客さんは、なぜあなたのサロンを選んでいるのでしょうか。ホットペッパーのクーポン目当てで来ている客と、あなたの技術・空間・人柄を気に入って来ている客では、値上げへの反応はまったく異なります。
私がこれまで20年以上・全国の美容室経営者を指導してきた経験からいうと、「値上げしたら客が大量離脱した」というケースのほとんどは、値上げ自体が問題ではありませんでした。原因は「値上げに見合う価値がお客さんに伝わっていなかった」こと、それだけです。
裏を返せば、価値をきちんと伝えてから値上げをすれば、客離れは最小限に抑えられます。さらにいえば、価値の伝え方を変えただけで、値上げ前から客単価が自然に上がり始めるという現象が起きます。
「値上げが怖いのは、今のメニュー表が『何をするか』しか書いていないからです。お客さんが知りたいのは『それをすると自分がどうなるか』なんです。そこを変えるだけで、価格の受け取り方がガラッと変わります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)
メニュー名が「作業名」のまま——これが値上げを怖くさせている正体
多くの美容室のメニュー表を見ると、こう書いてあります。
- カット 3,300円
- カラー 6,600円〜
- パーマ 8,800円〜
- トリートメント 2,200円〜
これは「作業名+価格」の一覧です。お客さんの目には「どの店も同じ」に映ります。同じに見えれば、選ぶ基準は価格しかなくなります。価格だけで比較される土俵に、自ら乗っている状態です。
ここで一つ質問です。あなたが美容室に行くとき、本当に知りたいのは「カット=3,300円」という事実だけですか? 違いますよね。
「このカットをしてもらったら、毎朝のスタイリングが楽になるのかな」「この人に任せたら、自分のくせ毛を活かしてもらえるかな」。そういう「自分がどうなるか」を知りたいはずです。
この「自分がどうなるか」を言葉にしたものを、私は「ご利益の言葉」と呼んでいます。
チェックポイント1:自分のメニュー表を確認する
今のメニュー表を開いて、「カット」「カラー」「パーマ」以外の言葉がどれだけあるか数えてみてください。施術名と価格だけが並んでいるなら、お客さんに価値が伝わっていない可能性が高いです。
✅ ポイント:メニュー名に「それをすることでお客さんがどうなるか」の要素が入っているかを確認しましょう。入っていなければ、それが客単価アップの最初の改善ポイントです。
チェックポイント2:価格帯が1種類になっていないか
カットが1種類の価格のみ、カラーも1種類のみという構成になっていませんか。選択肢が1つしかないと、お客さんは「高い」か「安い」かでしか判断できません。
✅ ポイント:松竹梅の3段階構成(スタンダード・プレミアム・デラックス等)を取り入れることで、お客さんは「どれを選ぶか」という比較に意識が向き、上位メニューが自然と選ばれやすくなります。
✓ ここまでのポイント
- 値上げへの恐怖の正体は「価値が伝わっていないこと」であり、価格そのものの問題ではない
- メニュー名が「作業名」のままだと、価格だけで比較される土俵に乗ってしまう
- 「お客さんがどうなるか」を言葉にした「ご利益の言葉」に書き換えることが最初の一手
「ご利益の言葉」への書き換え——具体的な変換例
では実際に、どう書き換えればいいのか。具体例を見てもらうのが一番早いです。
❌ よくある作業名メニュー
- 「カット」→ 施術内容しか伝わらない
- 「カラー」→ 何色になるかも伝わらない
- 「トリートメント」→ なぜ必要かが伝わらない
✅ ご利益の言葉に変えたメニュー
- 「朝のセットが3分で決まる、くせ毛活かしカット」
- 「日差しを浴びても褪せにくい、深みツヤカラー」
- 「乾燥してパサつく髪が、1回でしっとり戻るリペアトリートメント」
どうでしょう。後者は読んだだけで「これ、私のことだ」と感じるお客さんが必ずいます。そして「これを頼んだらどうなるか」がイメージできると、人は価格より先に「やってみたい」という気持ちが動きます。
さらに一歩踏み込むなら、メニュー説明の2〜3行に「施術後のお客様の変化」を短いエピソードで添えるのも効果的です。「毎朝30分かけていたブロー時間が10分に短縮できたというお声をいただいています」のような一文は、口コミ以上の説得力を持ちます。
「客単価が上がったというより、お客さんが自分から上のメニューを選んでくれるようになったんです。漠然とした不安が、『やることが見える』安心に変わった感じでした」
イタリアン経営者(女性・40代)|客単価18%向上・電話対応の負担も軽減
これはイタリアンレストランのオーナーの言葉ですが、美容室でもまったく同じことが起きます。「やることが見える」というのは経営者にとって最大の安心感です。何から手をつければいいかがわかれば、漠然とした値上げへの恐怖は消えていきます。
松竹梅の3段階構成——お客さんに「選ばせる」メニュー設計
ご利益の言葉への書き換えと並行して取り組んでほしいのが、メニューの価格帯を3段階に設計することです。
心理学でいう「松竹梅の法則」(3択では中間を選びやすい)を活用します。
具体的にはこんな設計です。
松竹梅 STEP 1
まず「竹」(中間メニュー)を設計する
いま提供しているメニューを「竹」として位置づけ、今の価格より1,000〜2,000円上の「松」と、500〜1,000円下の「梅」を作ります。「松」は上位オプション(例:頭皮ケアセット、ホームケアアドバイス付き)、「梅」は時間や工程をシンプルにしたメニューにします。
⚠️ よくある失敗:「松」を作るだけで「梅」を省略するパターン。梅がないと「竹」が「高い方」に見えてしまい、かえって心理的ハードルが上がります。
松竹梅 STEP 2
「松」のご利益の言葉を最も丁寧に書く
お客さんが中間の「竹」を選びやすくなるのは、「松」の価値が十分に伝わっているときです。「松」の説明が薄いと、単に「高いだけ」に見えます。上位メニューにこそ、お客さんの変化・体験・感想を具体的に盛り込んでください。
⚠️ よくある失敗:上位メニューの説明を1行で終わらせること。「プレミアムトリートメント」とだけ書いても誰も選びません。「産後の傷んだ髪を集中補修、1ヶ月間のツヤが続くプレミアムトリートメント」という言葉があって初めて選択肢になります。
松竹梅 STEP 3
値上げは「松」の価格から始める
既存メニューの価格をいきなり変えるのではなく、まず「松」の上位メニューを新たに作って提案します。すると既存のお客さんに「値上げされた」という印象を与えることなく、客単価を自然に引き上げることができます。
⚠️ よくある失敗:いきなり全メニューを値上げして反発を受けること。段階的に「新しい選択肢を増やす」形で進めると、お客さんに抵抗感なく受け入れられます。
ホットペッパー解約後の美容室が手に入れたもの
カラー特化型のサロンを経営するある女性オーナー(30代)は、ホットペッパー解約後にメニューの言葉を書き換え、次回予約の仕組みを整えただけで、掲載費を抑えながら利益率を改善しています。そして「掲載をやめたら終わり」という恐怖がなくなったと話していました。
解約するかどうかより先に、「自分のメニューはお客さんに価値が伝わっているか」を確認することの方が、はるかに重要です。
ホットペッパーを解約した美容室が最初にやったこと——それは新しいツールを導入することでも、SNSを頑張ることでもなく、今あるメニューの「言葉」を変えることでした。
お客さんは価格に反応しているのではなく、「この選択で自分はどうなるか」という期待に反応しています。ご利益の言葉と松竹梅の3段階構成。この2つを整えれば、値上げは「怖いもの」ではなく「やるべき当然のステップ」として見えてきます。
まとめ:値上げの前にやることは、価格を変えることではない
今日お伝えしたことを整理します。
- 値上げへの恐怖の正体は「価値が伝わっていないこと」
- メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換えるだけで、注文率・客単価は動き始める
- 松竹梅の3段階構成を作り、お客さんに「選ばせる」状態を設計する
- 「松」の上位メニューから価格設計を始めることで、既存客への心理的ショックを最小化できる
私・ハワードジョイマンは、静岡市清水区を拠点に、20年以上・全国の飲食店・美容室・小売店経営者の業績改善を支援してきました。中小企業診断士(経済産業省登録番号402345)として、「売上より利益を重視する」逆算経営を、専門用語なしで実践的に指導しています。
「ご利益の言葉への書き換え」「松竹梅メニュー構成」「値引きに頼らない客単価アップの仕組み」を体系的に学びたい方には、以下の教材と会員制コンサルティングが参考になります。まずは教材から一歩踏み出してみてください。
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