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駅から遠い飲食店の集客術|立地の不利を覆す3つの仕掛け
梅雨が明けて、じりじりと暑い日が続いていますね。こんな時期、ふと自分の行動を振り返ると面白いことに気づきます。
実は僕、休日に地元・静岡の清水エリアをよく自転車でぶらぶらしているんです。清水港のあたりから三保の松原の方まで走ったりすることもあります。自転車だと、駅前のルートじゃなくて、細い路地や住宅街の中を抜けていくことが多い。そうすると、駅からは決して近くないのに、駐車場に車が溢れているラーメン屋さんや、地元の人が行列を作っているお好み焼き屋さんに出くわすことがあります。
「あれ、ここ駅から歩いたら20分以上かかるよな」と思いながら、でもそこには確かにお客さんがいる。
一方で、駅徒歩2分の好立地にあるのに、ランチタイムもガラガラのお店もある。
この差は何なのか。今日はその本質について、経営コンサルタントとして20年、全国の飲食店経営者をサポートしてきた経験から、具体的な話をしたいと思います。

「立地が悪いから客が来ない」は本当に正しいか
駅から遠い立地で経営している方の多くが、「立地さえよければ」と思っています。その気持ちは十分わかります。でも、ちょっと待ってほしいんです。
お客さんが店に来るまでには、こんな流れがあります。
- 店の存在を知る
- 行ってみたいと興味を持つ
- 来店を決断する
- 実際に入店する
- メニューを見て注文する
- 会計する
- また来たいと再来店する
立地が影響するのは、実はこの7段階のうちの「1番(知る)」と「3番(来店を決断する)」の部分だけです。
逆に言えば、「知ってもらう手段」と「来てみたいと思わせる魅力」さえ作れれば、立地のハンデは相当なところまで埋められます。駅から遠いことは「言い訳」じゃなくて、「解決すべき課題の所在」が明確になっているだけ。そう捉え直すと、打ち手が見えてきます。
仕掛け①「駅から遠い」をそのまま売り文句にする
奈良県のうどん店のケースをご紹介します。このお店、決して好立地とは言えない場所にありましたが、麺の幅を少し広めに変えただけでSNSでバズが起きて、SNS経由の注文が1.5倍になりました。
ここで大事なのは「変えた内容」よりも「変えたことを発信した方法」です。このお店は「ちょっとだけ変えました」ではなく、「この幅にした理由」をストーリーとして発信した。すると「わざわざ行きたい理由」ができたんです。
駅から遠い飲食店にとって最大の武器は、「わざわざ来てもらう理由を作れる」ということです。
駅前の好立地のお店は、通りがかりの人が入ってくれる。でも裏を返せば、「なんとなく入った」客が多く、リピートにつながりにくい。一方、駅から遠いのに来てくれるお客さんは、「このお店に来たい」という明確な動機がある。そういうお客さんは、リピート率が高く、口コミを書いてくれる可能性も高い。
だから、「駅から車で10分」「駐車場完備で家族でゆったり来られる」「わざわざ来る価値のある名物メニューがある」という文脈で発信することで、立地の不利がむしろ「特別感」に変わります。
Googleビジネスプロフィールの説明文やSNSの自己紹介欄に「駅から少し離れた、知る人ぞ知る〇〇専門店」と書くだけで、検索した人の受け取り方が変わります。
仕掛け②「半径10分の常連」を徹底的に育てる
僕が提唱している考え方に「半径10分ビジネス」というものがあります。
新規客を遠くから引っ張ってくることばかり考えるより、お店の周辺10分圏内に住んでいる・働いている人と深い関係を作る方が、長期的に安定した経営につながります。これは駅から遠い立地のお店にとって、特に有効な考え方です。
なぜか。駅から遠いということは、そのエリアに生活拠点を持つ人にとっては「近所のお気に入りの店」になれるポテンシャルがあるからです。
具体的にどうするか。
LINE公式アカウントを使った「顔なじみ化」が効果的です。来店してくれたお客さんにその場でLINE友だち登録してもらい、月1〜2回のペースで「今月の限定メニュー」「季節の食材入荷情報」「スタッフのちょっとした日常」を配信する。難しいことは何もありません。
心理学に「ザイアンス効果」という言葉があります。要するに「何度も接触することで、好感度が上がる」という原理です。お店に来てもらう回数が増えるほど、そのお客さんとの関係は深まり、「ここが自分の店」という感覚が生まれる。駅前の便利なお店ではなく、「自分だけが知っている、わざわざ行く価値のある店」として脳内に定着します。
千葉県のお好み焼き店では、製薬会社向けの弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作り上げました。これも半径10分の法人(地元の企業)との関係を深めた結果生まれた収益源です。店内売上という「1つのお賽銭箱」だけに頼らず、近隣の企業・施設という別の「お賽銭箱」を作った事例です。
仕掛け③「来てよかった」を数値化して口コミに変える
駅から遠いお店が新規客を集めようとするとき、最もコストパフォーマンスが高い手段の一つがGoogleビジネスプロフィールの最適化と口コミの活用です。
「〇〇市 ランチ おすすめ」「〇〇区 駐車場あり 居酒屋」で検索したとき、上位に表示されるかどうかは立地より「Googleマップ上でどれだけ充実した情報があるか」で決まる部分が大きい。
鳥取県のラーメン店では、GoogleビジネスプロフィールとグルメサイトのロコミをAIで分析し、お客さんが評価しているポイント(スープの質・懐かしさ・立地の利便性)を言語化しました。そのキーワードをメニューの説明文やGoogleプロフィールのキャッチコピーに反映したところ、検索での訴求力が大きく上がりました。
これは今日からでもできることです。自店のGoogleビジネスプロフィールに届いている口コミを読んで、「お客さんが何に感動しているか」を書き出してみてください。そのまま使える宝の言葉が必ず出てきます。「スープが優しい味」「落ち着いた雰囲気で長居できる」「駐車場が広くて子連れで来やすい」――これ全部、駅から遠い立地を補って余りある「来たい理由」になります。
さらに、来店してくれたお客さんが「これは写真に撮りたい」と思えるメニューや店内演出を1つ作る。和歌山県の飲食店では「メイン3品同時盛り」という見たことのないプレートを作ったことで、SNSでの拡散が起き、客単価と集客数が同時に伸びました。特別な設備投資ではなく、既存のメニューの組み合わせ方を変えただけで生まれた変化です。
まとめ|立地は言い訳ではなく、攻略する課題
駅から遠いことは、確かにハンデです。でもそれは「どうにもならない壁」ではなく、「解決策の方向性が決まっている課題」です。
- 「わざわざ来る理由」をストーリーとして発信する
- 半径10分の常連客・近隣法人と深い関係を育てる
- 口コミとGoogleビジネスプロフィールで「検索の入り口」を増やす
この3つを順番に実装していくだけで、立地のハンデは相当程度、覆せます。
「料理の腕には自信がある。でも、その価値がどうもお客さんに届いていない気がする」――そう感じているなら、それは正しい直感です。価値はあるのに、伝え方の仕組みが整っていないだけ。仕組みは作れます。
僕自身、静岡市清水区の新清水駅徒歩1分という場所で20年間、コンサルティングをしてきましたが、支援してきた全国の飲食店経営者の中には、山間部や住宅街の奥まった場所にあるのに、月商が何倍にも伸びた方がたくさんいます。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、共通しているのは「立地のせいにするのをやめて、仕組みを整えた」という一点でした。
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ハワードジョイマン(中小企業診断士 経済産業省登録番号402345 / 有限会社繁盛店研究所 代表)