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飲食店のFLコストを下げる具体策|仕入れ・人件費の見直しポイント
飲食店の経営者の方に、ちょっと驚く数字をお伝えします。
黒字経営を続けている飲食店のFLコスト比率は、おおむね55〜60%以内に収まっています。ところが、「売上は伸びているのにお金が残らない」と悩む店舗の多くを調べると、FLコストが70%を超えているケースが珍しくないのです。
つまり、売上が1,000万円あっても、仕入れと人件費だけで700万円以上が消えていく計算になります。残り300万円で家賃・光熱費・広告費を賄うのは、構造的に無理があります。
僕がこれまで20年間、飲食店経営者の方々と一緒に現場を見てきて感じるのは、「FLコストが高い店舗」には共通したパターンがある、ということです。個別の問題ではなく、仕組みの問題です。だから、正しい順番で見直せば、必ず改善できます。
この記事では、FLコストの診断視点と、仕入れ・人件費それぞれの具体的な見直しポイントをお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は立っているのに月末に手元のお金が少ないと感じている飲食店オーナー
- ✅ FLコストという言葉は知っているが、自店の数字がどのレベルにあるか把握できていない方
- ✅ 仕入れや人件費を「どこからどう削ればいいか」が具体的にわからない方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らずに利益を残したいと考えている方
- ✅ 忙しく働いているのに利益率が上がらない状況に焦りを感じている飲食店経営者

まずFLコストを「診断」する|あなたの店は今どのゾーンにいるか
FLコストとは、Food(食材費)+Labor(人件費)の合計です。この2つは飲食店の中で最も大きな変動費であり、ここを改善しないと利益体質には変われません。
一般的な目安はこうです。
- 55%以下:優秀。利益が残りやすい構造になっている
- 56〜60%:標準的。改善余地はあるが、他の要素次第で黒字化できる
- 61〜65%:要注意。売上が少し落ちると赤字転落のリスクあり
- 66%以上:危険水域。構造的な見直しが必要
まず直近3ヶ月の数字を出してみてください。「だいたい」ではなく、実際に計算することが出発点です。
以下の診断チェックリストも活用してみてください。
- □ 仕入れ先が3年以上変わっていない
- □ 発注量を「感覚」で決めることが多い
- □ ロス(廃棄)の量を毎週把握していない
- □ スタッフのシフトを「お店の繁忙に合わせて設計している」と言い切れない
- □ 時給が高いスタッフが、代わりにできる人のいる作業をしている
- □ ランチとディナーで人件費率を分けて計算したことがない
- □ 社長(オーナー)自身の「現場作業時間」を人件費に換算していない
3つ以上当てはまった方は、FLコストが高止まりしている可能性が高いです。
食材費(Fコスト)を下げる3つの見直しポイント
食材費を下げようとすると、多くの方が「仕入れ先を変えるか、食材のグレードを下げるか」という発想になります。でも、そのどちらもお客さんに伝わりやすく、むしろ売上を下げるリスクがあります。
僕が重要だと考えるのは、別の3つの視点です。
①ロスコントロール(廃棄ゼロを目指す)
仕入れ値を10円下げるより、捨てている食材をゼロに近づける方が、圧倒的に早く効果が出ます。「毎週どの食材をどれくらい捨てているか」を記録するだけで、多くの店が発注量を適正化できます。まず1週間、廃棄記録をつけてみてください。
②メニュー構成で「使い回せる食材」を軸にする
たとえば「鶏もも肉」を軸に、唐揚げ・親子丼・チキンステーキ・スープと展開できれば、仕入れ量が増えて単価交渉もしやすくなりますし、ロスも出にくい。食材を軸にメニューを設計する逆転発想です。
③利益率の高いメニューを「売れる状態」にする
これは仕入れとは別の話に見えて、実は最も重要な食材費コントロールの方法です。原価率20%のメニューが売れれば、原価率40%のメニューと同じ売上でも2倍の粗利が残ります。仕入れを削るのではなく、高粗利メニューをメニューブックの目立つ位置に配置して注文率を上げる――これだけで食材費率が大きく変わります。
人件費(Lコスト)を下げる3つの見直しポイント
人件費の削減で最も気をつけないといけないのは、「人を減らす=サービスが落ちる=売上が落ちる」という悪循環に入らないことです。削るのではなく、配置と仕事の設計を変えるのが正しいアプローチです。
①繁閑に合わせたシフト設計を徹底する
ランチのピーク前後に不要なスタッフが入っていたり、閑散タイムに高時給スタッフが余っていたりするケースは非常に多いです。1時間単位でどの時間帯に何人必要かを設計し直すだけで、月間の人件費が数十万円単位で変わることがあります。
②社長自身の作業時間を「原価」として計算する
オーナーが毎日ランチの仕込みで3時間使っているとしましょう。もしその3時間を新しい集客施策の設計に使ったとしたら、月にどれだけの利益が生まれるか。社長が現場作業をしているコストを「見えない人件費」として計算すると、任せる判断がしやすくなります。
③スタッフが「何をやる人か」を明確にする
時給が高いホールスタッフが皿洗いをしていたり、料理長が発注業務に時間を取られていたりするのは、役割設計の問題です。誰がどの仕事をすべきかを整理すると、同じ人数でもアウトプットが大きく変わります。
✓ ここまでのポイント
- FLコストは「55〜60%以内」が健全な目安。まず自店の数字を正確に把握することが先決
- 食材費は「削る」より「ロスを減らす」「高粗利メニューを売れる配置にする」が効果的
- 人件費は「減らす」より「繁閑に合った配置設計」「社長自身の作業の棚卸し」から着手する
「ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3つを一皿に盛ったプレートを作ったんです。2,300円という価格設定でも『こんな豪華なランチ、このエリアにない』と評判になって、月商が130万円から450万円になりました。値引きゼロで客単価が上がるって、最初は信じられなかったです。」
和歌山県の飲食店オーナー(増益繁盛クラブメンバー)
この事例がまさにそうです。FLコストを「削る」のではなく、高単価メニューで粗利を増やすという発想に切り替えたことで、同じ仕入れコストでも利益体質が変わりました。
FLコストの改善が「利益体質」への入口になる
FLコストを改善したあとに、もう一つやってほしいことがあります。それは利益から逆算して経営を設計するという視点への切り替えです。
多くの飲食店経営者は「売上を上げる」ことを目標にします。でも売上が上がっても、FLコストと固定費がそれ以上に膨らんでいれば手元にお金は残りません。
正しい順番はこうです。
- 「月にいくらの利益が必要か」を先に決める
- その利益を出すために、客単価・粗利率・FL比率をどう設計するかを決める
- そのための仕入れ構造・メニュー構成・シフト設計を逆算して組む
「売上が上がれば利益が出るはず」という順番ではなく、「利益を出すために何をどう設計するか」という逆算思考に変えるだけで、経営の景色が変わります。
僕は中小企業診断士(経済産業省登録番号402345)として20年以上、飲食店経営者の方々のFLコスト改善を含めた利益体質づくりを支援してきました。静岡市清水区を拠点としながら、北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、全国の飲食店オーナーと一緒に「値引きせずに利益を残す仕組み」を作り続けています。
まとめ|FLコストの改善は「削る」より「設計し直す」
FLコストを下げる取り組みは、単なるコスト削減ではありません。お店の利益構造を根本から設計し直す作業です。
今日からできる第一歩をまとめます。
- 直近3ヶ月のFLコスト比率を計算する
- 廃棄記録を1週間つけてみる
- メニューブックの「目立つ位置」に高粗利メニューを置き直す
- シフト表を「繁閑別の必要人数」から設計し直す
- 社長自身の1週間の作業時間を書き出し、任せられる仕事を探す
どれか一つでも動いてみると、見えてくるものがあります。「自分の店のFLコストの構造」がはっきりすると、次に何をすべきかが自然と決まってきます。
もっと深く、自店の数字を診断しながら利益体質への道筋を作りたい方は、ぜひ以下からメソッドに触れてみてください。顧客の購買行動を軸に、コスト構造と集客・単価の両面から改善策を体系的に学べる教材をご用意しています。お気軽にのぞいてみてください。
また、毎月全国の飲食店・美容室経営者と一緒に「利益が残る経営の仕組みづくり」を進めている会員制コンサルティングへの参加もお待ちしています。まずは詳細だけでも確認してみてください。