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飲食店の集客のコツは「接触頻度」にあり|ザイアンス効果の使い方
「去年、SNSを始めてみたんです。でも3ヶ月投稿して、来店に繋がったのは2〜3人くらいで……やっぱりうちには向いていないんですかね」
先日、こんなことを話してくれたのは、静岡市内で居酒屋を営む経営者の方でした。料理の写真はきれいに撮れていて、キャプションも丁寧に書いてある。でも反応が来ない。来店に繋がらない。
この方の問題は、SNSの使い方ではありませんでした。「接触頻度」の設計が抜けていた、それだけです。
集客の世界には、心理学の研究から導かれた「ある原則」があります。それがザイアンス効果(単純接触効果)です。今回はこの原則を飲食店経営にどう使うか、具体的にお伝えします。

ザイアンス効果とは何か? 飲食店に置き換えるとどういう意味?
ザイアンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した理論で、「人は同じ対象に繰り返し接触するほど、その対象への好意・信頼感が高まる」という現象です。「単純接触効果」とも呼ばれます。
飲食店に置き換えると、こういうことです。
お客さんは、あなたのお店を「1回見た」だけでは来ません。でも、5回・10回と目に触れるうちに「そういえばあの店、気になってたんだよな」となって、来店の動機が生まれる。これがザイアンス効果の働きです。
逆に言えば、「良い料理を作っているのに集客できない」「SNSを投稿しても反応がない」という状態は、多くの場合、接触回数が圧倒的に足りていないのが原因です。1ヶ月に1〜2回の投稿、年に1回のチラシ配布――これでは脳内に定着するほどの接触が起きていません。
なぜ「おいしい料理」だけでは集客できないのか?
「うちは料理に自信がある。なのになぜ人が来ないんだろう」と感じている経営者の方は、本当に多いです。その感覚は真っ当で、料理の質への自信は大切な財産です。
ただ、ここで一つ確認してほしいことがあります。
お客さんが来店するまでには、こんな段階があります。
- お店の存在を知る
- 内容に興味を持つ
- 来店しようと決める
- 入店する
- 注文する
- 会計を済ませる
- また来ようと思う(再来店)
料理の「おいしさ」は、このうち主に「5. 注文」「6. 会計」「7. 再来店」の段階に影響します。でも「1. 知る」から「3. 来店を決める」までの段階は、料理の味とは別の話です。
ここで力を発揮するのがザイアンス効果です。「知る」→「興味を持つ」→「来店を決める」という最初の3段階は、接触回数を重ねることで自然に進んでいきます。つまり、集客は「おいしい料理を作ること」と「接触頻度を増やすこと」の両輪で初めて機能するのです。
飲食店が接触頻度を増やすには、具体的に何をすればいい?
「接触頻度を増やしましょう」と言うと、「毎日SNSに投稿しないといけないんですか……」と引かれることがあります(笑)。でも、むやみに投稿量を増やすことが目的ではありません。
大切なのは、お客さんとの接点を「仕組み」として設計することです。
具体的には、こんな方法があります。
①LINE公式アカウントのステップ配信
お客さんに一度LINE登録してもらえば、その後は店側から継続的にメッセージを届けられます。「今週のおすすめ」「季節のメニューが入りました」「お誕生日特典のご案内」――こうした情報を月2〜4回配信するだけで、接触頻度が自動で積み上がります。ポイントは「毎回クーポン」にしないこと。情報発信の文脈でお店の存在を思い出してもらうことが目的です。
②Googleビジネスプロフィールの投稿機能
Googleマップで検索された時に表示されるプロフィールには「最新情報」を投稿できます。週1回でも新しい投稿があると、Googleからの評価も上がりやすくなりますし、検索してくれた方に「活きているお店」として印象を残せます。写真1枚+一言のキャプションで十分です。
③DMや季節の手紙(既存顧客向け)
これは少し古典的に聞こえるかもしれませんが、実は効果が大きいです。年に3〜4回、既存のお客さんへ季節の挨拶と一緒に「今季の新メニューのご案内」を送る。手紙やハガキは、デジタルの情報が溢れる今こそ目に止まりやすい媒体です。顧客リストを持っている店が強い理由は、ここにあります。
④再来店を設計する「次回来店のきっかけ作り」
レジ会計の際に「再来店券」や「次回来てほしい理由(新メニュー告知、季節の催しなど)」を渡す。これだけで、来店したお客さんとの接触が一回りしても続くようになります。「また来てください」と口で言うだけでなく、来店する理由を形にして渡すのが肝心です。
「接触頻度」と「クーポン配布」はどう違う?
ここは非常に重要なポイントなので、はっきりお伝えします。
「接触頻度を増やす」というと、「じゃあLINEでクーポンを配ればいいんですね」と解釈される方がいます。でも、これは似て非なるものです。
クーポンを配り続けると、お客さんはクーポンがある時だけ来るようになります。「このお店=安く食べられる店」という認識が定着し、定価では来てくれなくなる。これが、ホットペッパーやグルメサイトのクーポン集客を続けた店が陥りやすい構造的な問題です。
接触頻度を増やす目的は、「このお店の名前・料理・雰囲気を脳内に定着させること」です。「クーポンがあるから行く店」ではなく、「この料理が食べたくなったら思い浮かぶ店」になることが目標です。
そのために有効なのは、季節のメニューの紹介、料理にまつわる短いエピソード、お客さんの口コミの紹介、スタッフの日常の一コマなど——値引き情報ではなく「お店の価値を伝える情報」を繰り返し届けることです。
私はこれを「ご利益の言葉」と呼んでいます。「このお店と繋がっていると、自分はどんな良いことがあるか」を伝え続けることが、長期的な集客の基盤になります。
接触頻度の設計は、どこから手をつければいい?
「やることが多そうで、何から始めればいいか分からない」——この感想は正直だと思います。
まず最初の一手としてお勧めするのは、LINE公式アカウントの登録と、既存客へのLINE友達追加のお声がけです。
理由は単純で、すでに一度来てくれたお客さんは、あなたのお店に好意を持っている可能性が高い。その方に接触し続けることが、最も費用対効果の高い集客行動だからです。新規集客より先に、既存客との接点を仕組み化する。これが「接触頻度設計」の正しい順番です。
LINE登録を促したら、次は月2回程度、クーポンではなく「旬の食材入荷のお知らせ」「今月のシェフのおすすめ一品」といった情報発信を始めてみてください。最初はぎこちなくて当然です。続けることで精度が上がります。
その後、Google広告(月3万円程度から始められます)やGoogleビジネスプロフィールの最適化で新規客への接触頻度を積み上げていく——という順番で組み立てると、3ヶ月後には仕組みの輪郭が見えてきます。
鳥取県のラーメン店の会員さんは、Googleビジネスプロフィールの口コミをAIで分析して「お客さんが評価している言葉」を見つけ、それをGoogleの投稿やメニュー説明に反映しました。その結果、検索からの来店が増えたと報告をくれました。大掛かりな設備投資も値引きも必要なく、「接触の質と頻度を整えた」だけです。
まとめ|「また来てもらえる店」は、接触頻度の設計から始まる
集客の本質は、一発の「大きな告知」ではなく、小さな接触を積み重ねていくことにあります。ザイアンス効果が示すように、人は繰り返し目にするものに親しみと信頼を感じます。
値引きクーポンで一時的に人を集めることと、接触頻度を積み上げて「思い浮かぶ店」になることは、まったく違う話です。後者は時間がかかりますが、積み上げれば積み上げるほど強くなる資産になります。
「料理には自信があるのに、お客さんに伝わっていない気がする」と感じているなら、それはほぼ確実に、接触頻度の設計が抜けています。今日からLINEの運用を見直すだけでも、半年後の来客数は変わってきます。
接触頻度の設計を含む販促の仕組みづくり全体を体系的に学びたい方は、こちらの教材もご参照ください。顧客の購買行動を7段階に分解して、どの段階にどんな販促を打てばいいかが分かる内容です。
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