目次
飲食店の売上回復はこの順番で|赤字から黒字に戻す3つの手順
今年の夏、静岡市内を歩いていたら、駅前の馴染みの居酒屋にシャッターが下りていた。
貼り紙には「長年のご愛顧、誠にありがとうございました」の一行だけ。
料理は好きだったし、店主さんも気さくな方だったのに。
閉店したお店が「努力が足りなかった」なんてことは、ほぼない。
むしろ、誰よりも早く仕込みをして、誰より遅くまで店を閉めて、懸命に働いていた方が多い。
じゃあなぜ、売上が回復しないのか。
答えは「順番を間違えていたから」です。
この記事では、売上が落ちた・赤字が続いているという飲食店の経営者に向けて、黒字に戻すための正しい順番をお伝えします。
20年間、全国の飲食店・美容室・小売店を指導してきた経験から、「この順番でやれば確実に手応えが出る」という手順を整理しました。
長くなりませんので、最後まで読んでみてください。

なぜ「集客からやろう」とすると失敗するのか
売上が落ちると、多くの経営者が最初に考えるのが「新規客を増やそう」です。
ホットペッパーに掲載する、クーポンを配る、SNSを始める――気持ちはよくわかります。
ただ、冷静に考えてみてください。
お客さんを増やしてお店に来てもらっても、
・入ったお客さんの客単価が低いままなら利益は残らない
・一度来ても再来店してもらえなければ集客コストが垂れ流しになる
・クーポン目当ての客ばかり集まっても、値引き分だけ粗利が減る
新規集客は「バケツに水を注ぐ」作業です。
でも今のバケツに穴が開いていたら、水を注いでも底をつくだけ。
黒字回復の鉄則は、「穴をふさいでから、水を注ぐ」。
この順番が、売上回復と売上消耗の分岐点になります。
手順①:まず「今いるお客さんからの売上」を見直す
最初にやることは、新規客を増やすことではなく、
今すでに来てくれているお客さんへの対応を整えることです。
私が指導する際によく使うのが「顧客購買行動の7段階」というフレームワークです。
お客さんはお店を「知る→興味を持つ→来店する→入店する→注文する→会計する→再来店する」という7つの段階を経て、初めて売上になります。
赤字続きのお店の多くは、この「注文する」「会計する」段階で売上を落としています。具体的にはこういうケースです。
- メニューブックの一番上に一番安い商品が並んでいる(安い順に見ていくので最安値しか頼まない)
- スタッフが「おすすめ」を伝えられていない(お客さんは何を注文すればいいか分からない)
- コース・セット設計がなく、単品注文で終わる(1人あたりの注文点数が増えない)
千葉県のお好み焼き店を指導したとき、メニューブックを見直しただけで客単価が数百円上がったことがあります。
「売れるメニューを1番目立つ場所に置く」「セット化で自然に注文点数を増やす」、それだけです。
設備投資もゼロ。やり方を変えただけで、手元に残るお金が変わりました。
まず「今日来てくれているお客さんから、もう少しだけ丁寧に売上をいただく」ことが第一歩です。
手順②:「再来店の仕組み」を作る
次にやることは、来てくれたお客さんに「また来てもらう仕組み」を作ることです。
多くの飲食店は、お客さんが帰った後に何もしていません。
「また来てね」と言っても、それは「気が向いたら来てください」と同じです。
人は毎日いろんな情報に触れているので、何もしなければすぐ忘れられます。
ここで重要なのが「ザイアンス効果」です。人は接触回数が増えるほど、その相手に親しみを感じるという心理的特性です。
定期的にLINEで「今月の新メニュー」や「今週の限定ランチ」を送るだけで、お客さんの頭の中でお店の存在感が維持されます。
鳥取県のラーメン店を指導した際、Googleの口コミをAIで分析して「スープの質・懐かしさ・立地の便利さ」が評価されていることを発見しました。
その言葉をメニューブックのコピーに反映させ、LINE配信で「昔懐かしいあのスープ、今週も仕込み中です」と伝えたところ、週末の来店数が目に見えて変わっていきました。
再来店の仕組みを作る手順はシンプルです:
- 会計時に「LINE友だち追加」を促す(Qrコードをレジ横に貼るだけでOK)
- 月2〜4回、旬の情報・裏話・限定メニューをLINEで配信する
- 「次回使える特典」ではなく「うちのお店の価値を伝えるメッセージ」を送る
値引きクーポンを配らなくても、接触頻度を増やすだけでリピート率は変わります。
これが「値引きなしで売上を取り戻す」仕組みの核心部分です。
手順③:「利益ベースの逆算」で経営構造を再設計する
手順①と②を実行すると、同じ来店数でも手元に残るお金が変わってきます。
ここで初めて、次のステップが見えてきます。それが「利益ベースの逆算経営」です。
多くの経営者は売上を目標に設定します。「今月は100万円達成しよう」という設定です。
でも実は、売上は結果であって目標ではありません。
私がよくお伝えするのは「老後から逆算してください」という話です。
65歳で引退したとして、それまでに手元にいくら残す必要があるか。
そこから逆算すると、今月いくらの利益が必要かが決まります。
利益から逆算すると、必要な客単価と客数と粗利率が決まります。
その数字に向けて、メニュー設計・価格設定・原価率を見直す。これが逆算経営です。
赤字続きのお店に多いのは「売上はあるのに利益が残らない」状態です。
原因はほぼ決まっています。
①粗利の低いメニューが主力になっている
②値引きクーポンで集客しているため粗利率が下がっている
③人件費・仕入れの見直しを「なんとなく」で済ませている
奈良県のうどん店を指導したとき、麺の幅を少し太くしただけでSNSでバズが起きて新規客が増えた事例があります。
特別なコストは一切かかっていません。「既存のものを少し変える」だけで売上が変わった典型例です。
売上回復は「もっとたくさん働く」ことでは達成できません。
仕組みの設計を変えることで達成されます。
手順③は、その設計を整える段階です。
この3つの順番をまとめると
売上回復の正しい手順を整理します。
手順①:今いるお客さんからの売上を最大化する
→ メニューブックの見直し・セット設計・スタッフの接客改善
手順②:再来店の仕組みを作る
→ LINE登録の促進・定期配信・価値訴求メッセージ
手順③:利益ベースの逆算で経営構造を再設計する
→ 粗利率の高いメニュー設計・客単価設計・複数収益源の追加
この順番で動くと、3ヶ月後には手元に残るお金の感覚が変わってきます。
「売上が戻った気がしない」のに「なぜか月末のお金が少し残るようになった」という状態が生まれます。
そこから新規集客の投資を始めると、広告費を使っても回収できるようになります。
静岡市清水区でこの仕事をして20年になります。
全国の飲食店・美容室・小売店を指導してきて感じるのは、「順番さえ正しければ、ほとんどのお店は変われる」ということです。
料理に誇りを持っている経営者が、経営の仕組みを整えるだけで報われるのを見るのが、私にとって一番の仕事のやりがいです。
もし「自分の店の順番はどこから始めるべきか」が気になった方は、まず無料メルマガから始めてみてください。
全12回の実践的な内容を通じて、自店の改善ポイントが見えてくる設計になっています。
読みながら「これ、うちの話だ」と感じたら、ぜひ一緒に動き出しましょう。
詳しい販促改善の考え方は、以下の教材でもまとめています。
ご自身のペースで実践できる内容になっていますので、お気軽にご覧ください。
本格的に取り組みたい、継続的にサポートを受けながら改善を進めたいという方は、会員制コンサルティングの詳細もご覧いただけます。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、様々な飲食店・美容室経営者の方が参加しています。
赤字から黒字へ。その第一歩、一緒に踏み出しましょう。