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飲食店の売上が下がった時にやるべき対策7選|値引き以外の方法
先日、千葉県でお好み焼き店を経営されているSさんから、こんなご相談をいただきました。
「ジョイマンさん、うちの売上が3ヶ月連続で前年割れしています。ホットペッパーのクーポンをもっと強くしようかと思っているんですが…」
Sさんは飲食歴15年のベテランで、料理の腕前は地域でも評判の方です。でも売上が下がったとき、まず浮かんだ手が「クーポンを強化する」だった。この反応は、Sさんだけじゃない。全国の飲食店経営者の8割が同じ発想をします。
ただ、正直に言います。クーポンで来る客は、クーポンがなくなれば来なくなります。値引きで売上を戻しても、手元に残る利益は減る一方です。
今回はSさんとのやり取りを軸に、売上が下がったときに本当に有効な対策を7つお伝えします。私・ハワードジョイマンが20年間、飲食店経営者の指導を通じて確認してきた「値引き以外の方法」です。

対策を考える前に「どこで売上が落ちているか」を特定する
Sさんとの話の中でまず確認したのは、「売上のどの部分が落ちているか」でした。
売上を「客数×客単価」の2つで考えている方が多いのですが、私はこれを7段階に分解して考えます。
- ①知る(認知)
- ②興味を持つ
- ③来店意向が生まれる
- ④入店する(入店率)
- ⑤注文する(注文点数・客単価)
- ⑥会計する(追加注文の有無)
- ⑦再来店する(リピート率)
Sさんの場合、入店客数はそれほど減っていなかった。でも注文点数が落ちていた。つまり問題は「集客」ではなく「テーブルの中」にあったんです。
この7段階のどこで落ちているかを把握せずに対策を打つと、ズレた努力を続けることになります。まずはここを整理してください。
対策1|メニューブックの「並び順」を変える
注文点数が落ちているお店に共通する問題の一つが、メニューブックの構成です。
多くのお店が「安い順」にメニューを並べています。これだと、お客さんは上から見ていって最初に目に入る安いメニューで止まってしまう。売れてほしいメニューが埋もれる。
改善は簡単です。一番売りたい(利益率が高い・お客さんに喜ばれる)メニューを一番目立つ場所に配置する。右上・1ページ目の上段・写真付きの大きな枠。これだけで注文の分布が変わります。
Sさんのお店では、名物のスペシャルお好み焼き(1,800円)をメニューの右上に移動し、写真と「当店でしか食べられない看板メニュー」というコピーを添えたところ、翌月の客単価が230円上がりました。売上を変えたのは値引きではなく、配置の変更だけです。
対策2|メニューの名前を「作業名」から「ご利益の言葉」に変える
「唐揚げ」「刺身盛り合わせ」「生ビール」――これらはすべて作業名・商品名です。お客さんが知りたいのは「このメニューを頼むと自分がどう嬉しくなるか」なのに、それが伝わっていない。
私はこれを「ご利益の言葉」と呼んでいます。料理の名前に、食べた後の嬉しさや驚きを加える。
- 「唐揚げ」→「揚げたてサクサク、口の中でジュワッと広がる特製唐揚げ」
- 「刺身盛り合わせ」→「漁港直送・その日仕入れた鮮魚の5点盛り」
こうするだけで注文するかどうかを迷っていたお客さんが「これ頼んでみよう」に動きます。値段はそのままで、言葉を変えるだけです。コストはゼロです。
対策3|「名物メニュー」を1つ作って外から見える場所に出す
入店率が落ちているお店に必要なのは、「このお店に入る理由」です。通りがかりのお客さんが「あのメニューを食べたいからここに入ろう」と思える看板商品が必要です。
和歌山県の飲食店経営者Kさんは、ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを同時に盛り合わせた「メイン3点盛りプレート」(2,300〜2,500円)を開発しました。地域に存在しない独自の一皿。この一品をSNSと店頭看板で打ち出しただけで、ランチの客数と客単価が同時に上がりました。
名物メニューのポイントは「その店でしか食べられないこと」「見た目でインパクトがあること」「SNSで投稿したくなること」の3つです。既存の材料を組み合わせれば、新たな仕入れコストをかけずに作れます。
対策4|再来店の仕掛けを「来店時」に仕込む
売上が落ちたとき、多くの経営者が新規集客に走ります。でも実は、すでに一度来てくれたお客さんをもう一度呼ぶほうが、コストも時間も圧倒的に少なくて済みます。
来店してくれたお客さんに、次の来店理由を渡す。これだけでリピート率は変わります。
- 「次回ご来店時に使える特典カード」を会計時に渡す(値引きではなく、限定メニューやドリンクサービスなど)
- LINE公式アカウントへの登録を促し、翌週に旬のメニューをお知らせする
- 来月の季節限定メニューを先にお伝えして「また来たい」を作る
Sさんのお店では、会計時に「来月の新メニュー先行お知らせカード」とLINE登録QRコードを渡し始めたところ、2ヶ月後にはLINE友達が300人を超え、月1回の配信が安定した集客の仕掛けになりました。
対策5|Googleビジネスプロフィールを本気で整える
「〇〇(地名) ランチ」「近くのイタリアン」「〇〇(地名) 誕生日ディナー」――こうした検索をしたとき、あなたのお店はGoogleマップに表示されていますか?
Googleビジネスプロフィールの最適化は、費用ゼロで新規客を増やせる数少ない方法の一つです。
- 写真を定期的に更新する(料理・外観・内装)
- 投稿機能でイベントや新メニューを発信する
- 口コミに丁寧に返信する(返信内容を読んで来店を決めるお客さんは多い)
- カテゴリ設定と説明文にお客さんが検索しそうなキーワードを入れる
鳥取県のラーメン店経営者Mさんは、口コミをAIで分析してお客さんが評価しているポイント(スープの質・懐かしさ・立地の良さ)を言語化し、Googleビジネスプロフィールの説明文とメニュー欄のキャッチコピーに反映させました。その後、検索表示回数が増え、来店数が安定するようになっています。
対策6|松竹梅の3段階構成で「選ばせる」状態を作る
お客さんは選択肢が1つしかないと「頼む・頼まない」の二択になります。でも3段階の選択肢があると「どれにしようか」の選択に変わる。この差は注文率と客単価に直接影響します。
コース料理でも、単品でも、「スタンダード・プレミアム・スペシャル」の3段階を用意する。多くの人は真ん中を選びます(松竹梅の法則)。だとすれば、「竹」にあたる中間コースを一番利益率が高くなるように設計してください。
これは値上げではなく「ラインナップの設計」です。最も高いコースが存在することで、中間コースが「お得」に見える効果もあります。
対策7|店内売上以外の収益源を1つ作る
7つ目は、少し視点を変えた話です。
千葉県のお好み焼き店(Sさんとは別の経営者)の事例ですが、近隣の製薬会社向けにMR弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作りました。法人向けの定期注文なので、天候や曜日に左右されない安定した収益です。これが月の売上の下支えになった。
店内の売上が落ちたとき、収益の入口が1つしかないと一気に経営が苦しくなります。デリバリー・物販・法人向けランチ・テイクアウト専用メニューなど、もう1つの「お賽銭箱」を持っておくことで、売上の谷が深くなりにくい体制が作れます。
まとめ:売上が下がったとき、最初にやることは「値引き」ではない
今回お伝えした7つの対策を並べると、気づくことがあります。どれも「値引きをしていない」ということです。
- 購買行動7段階のどこで落ちているかを特定する
- メニューブックの並び順を変える
- メニュー名を「ご利益の言葉」に書き換える
- 名物メニューを1つ作って打ち出す
- 再来店の仕掛けを来店時に仕込む
- Googleビジネスプロフィールを整える
- 松竹梅の3段階構成で選ばせる状態を作る
- 店内売上以外の収益源を1つ持つ
売上が下がると「もっと安くしなければ」と考えたくなる気持ちはよくわかります。でも値引きで戻した売上は、また値引きしなければ維持できない。その繰り返しの中で、利益はどんどん削れていきます。
私がコンサルタントとして20年間、静岡を拠点に全国の飲食店経営者を支援してきた中で確信していることが一つあります。料理の腕を持ちながら、「伝える仕組み」を持っていないお店が、本当にもったいない状態で止まっているということです。味は本物なのに、売上は伸びない。その差は「仕組みがあるかどうか」だけです。
もしこの記事を読んで「自分の店のどこが弱いか、少し見えてきた」と感じていただけたなら、まずは顧客の購買行動を軸に販促を整理することから始めてみてください。
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ハワードジョイマン(中小企業診断士/有限会社繁盛店研究所 代表取締役)