最新繁盛店ノウハウ

逆算経営のやり方|ゴールから今やることを決める3ステップ

「今月も必死に働いた。でも、月末の通帳を見るとほとんど残っていない」——そんな経験、ありませんか?

売上という数字を追いかけて必死に走り続けているのに、ゴールがどこにあるのかわからない。そういう状態で経営を続けていると、頑張れば頑張るほど疲弊するだけで、気づいたら「何のために働いているのか」という問いが頭に浮かんでくる。

これは、能力や努力の問題ではありません。「どこから考えるか」の問題です。

多くの経営者は「売上→経費→残った利益」という順算で考えています。でも繁盛し続けているお店の経営者は、逆の順番で考えています。つまり「必要な利益→そのための売上→そのための行動」という逆算です。

今回は、この「逆算経営」のやり方を3つのステップで具体的に解説します。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ「売上を追いかける経営」では利益が残らないのか
  2. 逆算経営の出発点となる「ゴール」の設定方法
  3. ゴールから今やることを導き出す3ステップの全体像
  4. 実際に逆算経営に切り替えて業績が変わった事例

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上はあるのに手元にお金が残らないと感じている方
  • ✅ 「とりあえず今月の売上目標」しか考えていない経営者の方
  • ✅ 3年後・5年後の店の姿が漠然としていて不安な方
  • ✅ 値引きクーポンに頼らない利益重視の経営に切り替えたい方
  • ✅ 何から手をつければよいかわからず、闇雲に走り続けている方
逆算経営のやり方|ゴールから今やることを決める3ステップ | 全国の繁盛店がやっている増益繁盛店作りの強化書

「売上を追いかける経営」が行き詰まる本当の理由

先日、増益繁盛クラブのメンバーである飲食店経営者の方と話していたとき、こんな言葉が出てきました。

「先生、正直に言うと、売上が上がっても全然うれしくないんです。上がった分だけ仕入れや人件費も増えて、結局手に残るものが変わらない。何のために売上を追いかけているのか、わからなくなってきました」

40代・男性(飲食店経営者・増益繁盛クラブ会員)

この言葉、すごくリアルだと思います。売上を追いかけること自体は間違いではありません。でも「なぜその売上が必要なのか」という目的が曖昧なまま走り続けると、体力だけが消耗していく。

順算経営の構造的な問題はここにあります。

❌ 順算経営(よくあるパターン)

  • 「先月より売上を上げよう」という目標で動く
  • クーポン・値引きで客数を増やして売上を作る
  • 売上は上がるが粗利率が下がり、手残りが増えない
  • 疲弊感だけが蓄積し、「何のためにやっているのか」が見えなくなる

✅ 逆算経営(推奨アプローチ)

  • 「最終的に自分はどうなりたいか」という人生のゴールから設計する
  • そのゴールに必要な手取り利益を先に決める
  • その利益を出すために客単価・粗利率・客数を設計する
  • 値引きをせずに「価値」で選ばれる仕組みが自然に生まれる

「私がコンサルを始めた20年前から一貫して言い続けていることがあります。売上はお客さんの購買行動の結果であって、目標にするものではない。本当の意味での目標は『自分の人生で何を実現したいか』——そこから逆算したときに初めて、今日何をすべきかが見えてくる。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所 代表取締役)

逆算経営の3ステップ全体像

逆算経営は、難しい計算式や専門用語は一切必要ありません。以下の3つのステップで「ゴールから今日やること」が決まります。

逆算経営 STEP 1

人生のゴールから「必要な月次利益」を決める

まず、経営の外側——あなた自身の人生のゴールを書き出してください。「65歳で引退して、夫婦で年2回海外旅行に行きたい」「子どもの教育費に月10万円使いたい」「60歳以降の20年間で生活費を月30万円確保したい」など、具体的な数字と年齢を入れます。次に、そこから逆算して「今月、店が出すべき利益(手取り)」を計算します。この金額が、経営設計のスタート地点です。

⚠️ よくある失敗:「老後のことは後で考えればいい」と先送りにして、目先の売上目標だけで動き続けてしまう。人生ゴールを先に決めないと、逆算の起点がないため、どこに向かって走っているのか永遠にわからないまま。

逆算経営 STEP 2

必要な利益から「客単価・粗利率・客数」を設計する

必要な月次利益が決まったら、そこから「何人のお客さんに、いくら使ってもらえば達成できるか」を逆算します。たとえば月に50万円の利益が必要で、粗利率が60%なら、必要な粗利は約83万円。客単価が4,000円なら、月に約208組の来店が必要になる計算です。ここで重要なのは、客単価を上げる方向で設計することです。客数を増やすのは体力とコストが必要ですが、客単価を1,000円上げるだけで、必要な来客数が大幅に減ります。

⚠️ よくある失敗:客数を増やすことばかりを考えて、客単価・粗利率の設計を後回しにする。「まずお客さんを集めてから」という順番で動くと、安い客単価の客ばかり集めて粗利が薄くなる悪循環に入る。

逆算経営 STEP 3

今月・今週・今日の「具体的な行動」に落とし込む

ゴールと数字の設計ができたら、最後に「では今日何をするか」を決めます。客単価を1,000円上げるなら、メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に書き換えることから始める。粗利率を改善するなら、まず全メニューの原価率を棚下ろしする。新規客より先に、来店中のお客さんへの追加注文率を上げることを優先する。このように、ゴールから逆算した行動は「なぜこれをやるか」が明確なため、スタッフにも伝わりやすく、継続しやすくなります。

⚠️ よくある失敗:ゴールを設定したのに「じゃあまず何をすればいいかわからない」と手が止まる。行動を決めるときは「今月1つだけ」に絞ること。一度に10個の改善を始めようとすると、全部中途半端になる。

✓ ここまでのポイント

  • 逆算経営の出発点は「売上目標」ではなく「人生のゴールから必要な月次利益」を決めること
  • 客単価・粗利率・客数を利益から逆算して設計することで、値引き不要の経営構造が生まれる
  • 行動は「今月1つだけ」に絞り、ゴールとの繋がりを意識しながら実行する

逆算経営が「腹落ち」した瞬間——メンバーとの対話から

増益繁盛クラブに参加している和歌山県の飲食店経営者の方が、逆算経営を実践した事例があります。

「正直、最初はピンとこなかったんです。『老後から逆算して今月の利益を決める』って言われても、日々の仕込みや接客で頭がいっぱいで。でもある日、夜中に電卓を叩いて計算してみたら、今の客単価と客数のままじゃ、65歳のとき貯金がゼロだってわかって。そこから変わりましたね。まず値引きクーポンをやめて、ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを同時に盛った2,300円のプレートを作ったら、月商が130万円から450万円まで伸びました」

和歌山県・飲食店経営者(増益繁盛クラブメンバー)

この方が変わった理由は、やり方を変えたからではなく、「考える順番」を変えたからです。先に利益のゴールを決めたことで、「では客単価をいくらに設定すべきか」が自動的に決まり、新しいメニュー開発の方向性がクリアになった。

メニュー自体も、既存の食材を組み合わせただけです。特別な設備投資も、大がかりな改装も必要ありませんでした。逆算経営は、考える順番を変えるだけで、行動の精度が劇的に上がるものなのです。

「ゴールのない経営」が生む3つの落とし穴

逆算経営の話をすると、「そんなに先のことまで考えられない」という声もよく聞きます。気持ちはわかります。でも、ゴールなしで走り続けると、必ず以下の3つの落とし穴にはまります。

チェックポイント①:値引き依存からの脱出できているか

ゴールが曖昧なまま「とにかく今月の売上」を追いかけると、最も手っ取り早い手段——値引きクーポン——に頼りたくなります。でも値引きで集めた客は、次回も値引きを期待して来ます。粗利が薄くなり、体力だけが消耗していく。

✅ ポイント:必要な利益額を先に決めると、「値引きをしてはいけない理由」が数字で見えてきます。感情論ではなく、計算として「値引きは自分の人生を削っている」と理解できると、自然と脱却できます。

チェックポイント②:収益源が店内売上の1本だけになっていないか

逆算で必要な利益額を計算したとき、「店内売上だけでは届かない」とわかるケースがあります。そのときこそ、収益源を複数持つ「お賽銭箱を複数作る」発想が必要です。千葉県のお好み焼き店が製薬会社向けに朝50個の弁当を受注して安定収益を作ったように、同じ店舗・同じスタッフで収益の入口を増やすことができます。

✅ ポイント:デリバリー・法人向け弁当・物販など、1つ追加するだけで収益の天井が大きく変わります。ゴールから逆算すると「もう1本、収益源が必要だ」という判断が自然に生まれます。

チェックポイント③:社長の時間が「売上を作る仕事」に使えているか

逆算経営を実践しようとすると、「考える時間がない」という壁にぶつかります。現場の作業に時間を取られ、経営を考える余裕がない状態では、逆算設計そのものができません。

✅ ポイント:1週間の時間の使い方を書き出して「自分にしかできない仕事」と「他の人に任せられる仕事」を分けることから始めてください。社長が担当すべきは「売上を作ること」と「儲かる仕組みを作ること」の2つだけです。

まとめ|逆算経営は「今日から始められる思考の習慣」

逆算経営は、特別なツールも難しい計算も必要ありません。「人生のゴールから必要な利益を決め、その利益を出すための行動に今日から集中する」——この順番で考えることが出発点です。

私自身、静岡の清水で生まれ育ち、父の急死を機に市役所を辞めてコンサルタントの道を歩み始めたとき、最初に問うたのは「自分はどんな人生を生きたいか」でした。そのゴールがあったからこそ、何をどの順番でやるべきかが決まった。経営者も同じです。ゴールのない走り方では、どこにも辿り着けません。

20年以上、全国の飲食店・美容室・小売店経営者の支援を続けてきた経験から断言できます。業績が変わった経営者に共通しているのは、頑張りの量ではなく、考える順番を変えたことです。

まず「ゴールから今日やることを決める」この習慣を、今日から取り入れてみてください。


逆算経営の具体的な実践方法や、あなたのお店の購買行動のどこに伸びしろがあるかを体系的に学びたい方には、まず教材からお試しいただくことをおすすめしています。

「難しそう」と感じる必要はありません。専門用語ゼロ、実践者の事例を中心に、今日から動ける内容になっています。ぜひ一度、手に取ってみてください。

👉 顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

また、月次で継続的に学び、同じ想いを持つ全国の経営者仲間と実践を深めたい方には、会員制コンサルティングという場があります。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、売上より利益を重視する仲間が集まっています。詳しくはこちらからご確認ください。

👉 増益繁盛クラブ入会案内

ご質問やご相談は、お気軽にどうぞ。あなたのお店のゴールを一緒に設計できることを楽しみにしています。

  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

-最新繁盛店ノウハウ