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小さな飲食店で利益を出す方法|月商より大切な指標を解説
飲食業に限った話ではないのですが、「月商300万円の店」と「月商200万円の店」、どちらが経営として優れているか——この問いに即答できる経営者は、実はあまり多くありません。
答えは「利益率次第」です。月商300万円でも原価率・人件費・固定費が重なり手元に20万円しか残らない店と、月商200万円でも仕組みが整っていて60万円が残る店では、後者のほうが経営として圧倒的に健全です。
ところが、日本の中小飲食店経営者の多くは「月商」「売上」を経営の主指標にしています。僕がこれまで20年以上、全国の飲食店経営者を指導してきた中で、この「売上信仰」こそが利益を遠ざける最大の原因だと何度も実感してきました。
この記事では、小さな飲食店が本当に利益を出すために見るべき指標と、今日から実践できる思考の切り替え方をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 忙しく働いているのに月末になるとお金が残っていないと感じている飲食店経営者
- ✅ 月商は維持できているのに、利益率が改善しない理由を知りたい方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らず客単価を上げる方法を探している方
- ✅ 「売上より利益を重視する経営」に切り替えたいと考えている方
- ✅ 老後まで見据えた逆算経営の設計方法を学びたい飲食店オーナー

「月商」という数字が経営者を疲弊させる理由
少し厳しい話をします。
「今月は売上300万いった!」と喜んだ翌週、仕入れ・人件費・家賃を払い終えたら手元に残ったのは15万円——こういう経験、ありませんか?
これは、売上という「トップライン」しか見ていないことで起きる現象です。売上が立っていても、そこから何層も費用が引かれたあとの「利益」が少なければ、経営は実質的に赤字と変わりません。
特に飲食店で見落とされがちなのが「労働時間と価格設計のバランス」です。10時間かけて仕込んだスープを880円のラーメンで提供している。それ自体は職人としての誇りかもしれませんが、経営として成立しているかどうかは別の話です。
月商より先に見るべき指標は3つあります。
- 粗利率(売上から原材料費を引いた後の比率)
- 客単価(1人のお客さんが1回の来店で払う金額)
- 労働時間あたりの利益額
この3つを改善せずに「もっと集客しよう」と動いても、赤字の穴を広げるだけです。まず自店の粗利率を計算してみてください。飲食店の目安は65〜70%。それを下回っているなら、集客より先に価格設計の見直しが急務です。
「利益から逆算する」経営に切り替える
では、どうすれば利益を残せる構造を作れるのか。
僕がすすめているのは「老後資金からの逆算」という発想です。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、これが一番リアルに効きます。
たとえば「65歳でお店を畳んで、そこから20年、月30万円で生活したい」とすると、必要な資産は約7,200万円です。今45歳であれば残り20年で7,200万円を貯める必要がある。年間360万円、月30万円の純利益が最低ライン、ということになります。
この「月30万円の利益を手元に残す」という目標から逆算すると、必要な客単価・席数・回転数・粗利率が自然と見えてきます。売上目標ではなく、利益目標から経営を設計する——この順番の違いが、じわじわと経営の体力差を生んでいきます。
具体的には以下の3ステップで考えてみてください。
- 月に手元に残したい利益額を決める(例:30万円)
- そのために必要な粗利総額を計算する(固定費+目標利益)
- 客単価と来店人数の組み合わせで、どう粗利を作るかを設計する
この逆算で設計すると「やるべきこと」がクリアになり、闇雲に頑張る消耗から抜け出せます。
✓ ここまでのポイント
- 月商より「粗利率・客単価・労働時間あたり利益」を先に見ること
- 「老後資金からの逆算」で月の利益目標を先に決め、そこから経営設計をすること
- 集客を増やす前に、今いるお客さんから得られる利益の構造を整えること
値引きせずに客単価を上げる「ご利益の言葉」
「客単価を上げたい。でも値上げしたら客が逃げる気がする」——この悩みを抱えている飲食店経営者は本当に多いです。
ただ、よく考えてみてください。お客さんが価格だけで比較しているのは、選ぶ理由が価格以外に見えていないからです。逆にいえば、選ぶ理由が「価値」として見えていれば、価格で比べられる土俵から降りられます。
僕がよく使う手法に「ご利益の言葉化」があります。メニュー名を「作業名」から「お客さんが得られる体験・変化」に書き換えるだけです。
- 「ハンバーグ」→「鉄板で香ばしく焼き上げた、肉汁があふれ出すハンバーグ」
- 「海鮮丼」→「漁師から直送。朝だけしか出せない、鮮度が命の一杯」
- 「炭火焼き鳥」→「炭の香りをまとった、外はパリッと中はジューシーな焼き鳥串」
同じ料理でも、言葉が変わるだけで「なんとなく注文する」から「これを食べに来た」に変わります。そして注文理由が明確になった瞬間、価格への感度が下がります。
実際に和歌山県の飲食店では、ランチメニューを「ご利益の言葉」で再設計し、ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを「3つ同時盛り」にした2,300〜2,500円のプレートを開発しました。地域に存在しない独自コンセプトにしたことで、客単価と集客数が同時に上がり、月商が130万円から450万円へ伸長しています。値引きは一切していません。
「ジョイマンさんに教わって、まずメニューの言葉を変えました。すると不思議なことに、高い方のメニューが売れるようになったんです。値上げじゃなくて、言葉を変えただけで。これは正直、驚きでした。」
和歌山県・飲食店経営者(月商130万円→450万円)
「お賽銭箱を複数作る」——収益源を1本に依存しない設計
小さな飲食店が利益を安定させるうえで、もう一つ重要な発想があります。それが「収益経路の複数化」です。
僕はこれを「お賽銭箱を複数持つ」と表現しています。神社のお賽銭箱が1つしかなければ、そこが壊れた瞬間に収入がゼロになる。でも箱が複数あれば、1つが機能しなくても他からお賽銭が入ってくる。
飲食店の場合、「店内売上」だけが唯一の収益源になっているお店がほとんどです。天候・競合・感染症・工事による通行止め——何かひとつ環境が変わっただけでキャッシュフローが一気に悪化します。
たとえば千葉県のお好み焼き店では、製薬会社向けにMR弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作りました。これにより店内売上とは別の「第2のお財布」が生まれ、売上の安定感が大きく変わりました。設備投資はほぼゼロ、もともとのキッチンと既存のメニュー構成を活かした事例です。
他にも考えられる収益源の例を挙げると:
- デリバリー・テイクアウト対応
- 法人向け仕出し弁当
- 自家製ソース・調味料の物販
- サブスクリプション型ランチパス
- 料理教室・ペアリングイベントの開催
どれも「今の店舗・スタッフ・メニュー」の延長線上にあります。新たな設備や大きな投資なしに、今あるリソースを横展開するだけで収益の入口が増えます。1本あたりの収益が小さくても、5本あれば合計で大きな安定につながります。
「もともと店内の売上だけしか考えていなかったのですが、弁当事業を始めてみたら、毎朝一定の収入が入るようになりました。精神的な余裕が全然違います。この安心感があるから、店内の接客にも力が入るようになった気がします。」
千葉県・お好み焼き店経営者(MR弁当で新規収益源を確立)
まとめ:小さな店こそ「利益設計」で戦う
大手チェーンとの戦い方で、規模を追いかけても意味がありません。小さな飲食店の強みは「設計を素早く変えられること」「お客さんとの距離が近いこと」「オーナーの意思決定が速いこと」です。
月商という表面の数字を追いかけるのをいったんやめて、粗利率・客単価・労働時間あたりの利益という3つの指標を見直す。メニューの言葉を「ご利益の言葉」に変える。収益源を複数持つ設計をする——この3つを順番に実行するだけで、今の規模のまま手元に残るお金を増やすことができます。
難しい経営理論は不要です。今日の営業が終わったら、まずメニューブックを1枚開いて「このメニュー名は、お客さんにとって何がうれしいのかを伝えているか?」と問いかけてみてください。その小さな視点の転換が、利益構造を変える第一歩になります。
僕が20年間、静岡から全国の飲食店経営者と向き合ってきた中で確信しているのは、「仕組みの質を変えれば、努力の総量を増やさなくても利益は伸びる」ということです。まずはその考え方に触れるところから始めてみてください。
利益設計の基礎から「顧客の購買行動を軸にした販促改善」まで、体系的に学べる教科書を用意しています。現場で使えるフレームワークとともに、今日から動けるレベルで解説していますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
また、毎月全国の飲食店・美容室経営者と一緒に「売上より利益を重視する経営」を実践している会員制コンサルティングもご用意しています。北海道から沖縄、アメリカ在住の経営者まで参加している場ですので、業種・エリアを問わずお気軽にご覧ください。