「もっとSNSを更新しなきゃ」「新メニューを増やさないと」「もっと早く来て、もっと遅くまで働けば何とかなるか」――そんな考えがぐるぐると頭を巡っている経営者さん、いませんか?
毎日必死に動いているのに、売上は横ばい。月末になると通帳の残高にため息をついている。休む暇もないのに、なぜか手元にお金が残らない。
こういう状況のとき、多くの人は「何か新しいことを始めなければ」と考えます。でも私がこの20年間、全国の飲食店・美容室・小売店の経営者さんを見てきた中で気づいたことは、業績が変わるきっかけの多くが「何かをやめた瞬間」だったということです。
今回は、小さなお店の経営で実際に足を引っ張っている「やめるべき10のこと」を、成功事例とともにお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 小さなお店の経営で無意識にやってしまっている「足を引っ張る習慣」の正体
- 「やること」を増やすより「やめること」を先に決める理由
- 実際にやめた結果、売上・利益が改善した全国の事例
- あなたのお店で今すぐ棚下ろしできる10の確認ポイント
こんな方におすすめ
- ✅ 忙しく働いているのに月末になると利益が残らない方
- ✅ 新しい販促を試したいが、何から手をつければいいか分からない方
- ✅ 値引きクーポンでの集客に疲れてきた方
- ✅ 「やること」が増えすぎて、何が本当に大事かわからなくなっている方
- ✅ 自分がいないとお店が回らない状況から抜け出したい方
目次
- 1 「やること」を増やす前に、まず「やめること」のリストを作る
- 2 小さなお店の経営でやめるべきこと10選
- 2.0.1 チェックポイント①:値引きクーポンで新規客を集めること
- 2.0.2 チェックポイント②:ホットペッパーや食べログだけに依存した集客
- 2.0.3 チェックポイント③:売上だけを見て利益を見ていないこと
- 2.0.4 チェックポイント④:「安い順」にメニューを並べること
- 2.0.5 チェックポイント⑤:「自分でやったほうが早い」という現場への過干渉
- 2.0.6 チェックポイント⑥:メニューを増やし続けること
- 2.0.7 チェックポイント⑦:一度来たお客さんを「次に繋げる仕組み」を持たないこと
- 2.0.8 チェックポイント⑧:「自店の強み」を言葉にしないこと
- 2.0.9 チェックポイント⑨:収益源が「店内売上の1本だけ」であること
- 2.0.10 チェックポイント⑩:「3年後・5年後の自分の店」を考えないこと
- 3 「やめた」ことで業績が変わった実際の事例
- 4 「やめること」を決める具体的なステップ
- 5 まとめ|やめることから始める経営改革
「やること」を増やす前に、まず「やめること」のリストを作る
経営の改善を考えるとき、人はどうしても「追加」の発想から入ります。「SNSも始めよう」「チラシも撒こう」「新メニューも開発しよう」。でも考えてみてください。あなたの1日は24時間。すでにいっぱいいっぱいの状態で何かを追加しても、どれも中途半端になるだけです。
私がコンサルティングでまず経営者さんにお願いするのは、「1週間の時間の使い方を15分単位で書き出してください」という作業です。これを「24時間棚下ろしワーク」と呼んでいます。
これをやると、ほぼ全員が「あ、これは自分じゃなくてもできる仕事に何時間も使っていた」と気づきます。そして同時に、本当に自分がやるべき「売上を作る仕事」「儲かる仕組みを作る仕事」に時間がまったく使えていないことも見えてきます。
「やることリストより、やめることリストのほうが、経営を変えるスピードは何倍も速い。空白を作らないと、新しいものは入ってこないんです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店グループ総代表)
小さなお店の経営でやめるべきこと10選
チェックポイント①:値引きクーポンで新規客を集めること
「まずお客さんに来てもらえれば、気に入ってもらえる」という考えで値引きクーポンを使い続けていませんか? クーポン目当てのお客さんは、次回も「クーポンがあれば来る」お客さんです。値段でお店を選んでいる方は、もっと安い店が出れば移っていきます。
✅ ポイント:集客の手段を「値下げ」から「価値の言語化」に切り替えましょう。お客さんが知りたいのは「このお店を選ぶと自分はどう嬉しくなるか」です。
チェックポイント②:ホットペッパーや食べログだけに依存した集客
ポータルサイトへの掲載を止めたら新規客がゼロになる、という構造のお店は危険です。毎月数万円の掲載費を払い続けているのに、手元に利益が残らない。これはポータルサイトが悪いのではなく、自力集客の仕組みをまだ持っていないことが問題です。
✅ ポイント:GoogleビジネスプロフィールとLINE公式アカウントの整備から始めて、ポータルサイトへの依存度を少しずつ下げていきましょう。
チェックポイント③:売上だけを見て利益を見ていないこと
「今月は売上がよかった」と安心していたら、実は粗利がほとんど残っていなかった――これはよくある話です。売上は「お客さんが払ったお金の総額」。でも手元に残るのは、そこから仕入れ・人件費・家賃・光熱費を引いた後です。売上を追いかける経営と、利益から逆算する経営は、まったく別の意思決定を生みます。
✅ ポイント:「今月いくらの利益が必要か」を先に決め、そのために必要な客単価と粗利率を逆算してください。
チェックポイント④:「安い順」にメニューを並べること
メニューブックの一番上に一番安いメニューを置いていませんか? 人の目は上から下へ流れます。安い順に並んでいると、お客さんは自然と安いメニューに誘導されてしまいます。
✅ ポイント:一番売りたいメニュー・利益率が高いメニューを一番目立つ位置に配置してください。メニューの並びを変えるだけで、注文単価が変わります。
チェックポイント⑤:「自分でやったほうが早い」という現場への過干渉
社長が現場の調理・接客・レジ・掃除のすべてに入っていると、スタッフが育つ機会がなくなります。任せることが怖いのは分かりますが、スタッフが成長しないまま時間が過ぎていきます。
✅ ポイント:「自分にしかできない仕事」と「他の人でもできる仕事」を書き出し、後者を徹底的に手放してください。
チェックポイント⑥:メニューを増やし続けること
「選択肢が多いほどお客さんに喜ばれる」と思っていませんか? 実は逆で、選択肢が多すぎると人は選べなくなります(これを「決定回避の法則」といいます)。品数を増やすと仕入れの種類も増え、ロスも増えます。
✅ ポイント:売れていないメニューを思い切って削り、売れている3〜5品を磨くほうが利益率は上がります。
チェックポイント⑦:一度来たお客さんを「次に繋げる仕組み」を持たないこと
せっかく来てくれたお客さんに「またぜひどうぞ」と言うだけで終わっていませんか? そのお客さんは、次回来てくれる保証が何もありません。連絡先を取得して再来店を促す仕組みがないと、毎回ゼロから新規を探し続けることになります。
✅ ポイント:LINE公式アカウントへの登録を促し、来てくれたお客さんとの接点を継続してください。
チェックポイント⑧:「自店の強み」を言葉にしないこと
「うちの料理は本物なのに、なぜかお客さんに伝わらない」と感じたことはありませんか? 料理が美味しいのは当然として、「何が他店と違うのか」「お客さんがどう嬉しくなるのか」が言語化されていなければ、選ばれる理由になりません。
✅ ポイント:口コミやGoogleビジネスプロフィールのレビューを読み返し、お客さんが何を喜んでいるかを言葉にしてメニューや看板に使ってください。
チェックポイント⑨:収益源が「店内売上の1本だけ」であること
店内売上だけに依存している状態は、天候・季節・近隣の競合・感染症など外部要因の影響をダイレクトに受けます。1つの収益経路が止まった瞬間にキャッシュが詰まる構造は、リスクが高い。
✅ ポイント:デリバリー・法人向け弁当・物販・サブスクなど、「第2・第3のお財布」を小さく試してみてください。
チェックポイント⑩:「3年後・5年後の自分の店」を考えないこと
目の前の忙しさに追われて、長期的な経営計画を立てる時間がない。気づけば周囲の閉店が増えてきた。でも「うちはまだ大丈夫」と考えてしまう。この「漠然とした不安を棚上げする習慣」が、一番やめるべきことかもしれません。
✅ ポイント:老後に必要な生活費から逆算して、今月いくらの利益が必要かを計算してみてください。逆算から始めると、今やるべきことが見えてきます。
✓ ここまでのポイント
- 「やめること」を先に決めないと、新しい施策のための時間と体力が生まれない
- 値引き・ポータルサイト依存・売上重視の3つが、小さなお店の利益を奪う主な構造的問題
- 24時間棚下ろしワークで「本当は自分がやらなくていい仕事」を可視化することが出発点
「やめた」ことで業績が変わった実際の事例
ここからは、実際に「やめること」を決断して業績が変わった事例を見ていきましょう。
事例①:和歌山県の飲食店(月商130万円→450万円)
この店主さんがまずやめたのは「低単価で幅広いメニューを提供すること」でした。ランチメニューを絞り込み、「地域に存在しない独自コンセプト」として、ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの「メイン3つ同時盛り」プレート(2,300〜2,500円)を開発。品数を減らして1品に力を集中させたことで、客単価と集客数が同時に上がり、月商は約3倍以上になりました。
事例②:奈良県のうどん店(SNS経由の注文が1.5倍)
この店主さんがやめたのは「メニューを見直すことへの躊躇」です。思い切って麺の幅を広めに変更しただけで、SNSでバズが発生。「既存の要素を組み合わせ直す」だけで差別化できた典型例です。大きな設備投資も、新しい食材の仕入れも不要でした。
「やめることを決めるのは怖いんです。でも実際にやめてみると、残ったものに集中できて、初めて結果が出る感覚がありました。」
増益繁盛クラブ会員・飲食店経営者(40代・男性)
事例③:鳥取県のラーメン店(口コみ分析で強みを再発見)
この店主さんがやめたのは「自分の思い込みで集客メッセージを作ること」でした。GoogleビジネスプロフィールとAIを使って口コミを分析した結果、お客さんが評価していたのは「スープの質・懐かしさ・立地の利便性」だと判明。それまで自分が「売り」だと思っていたものとずれがあったのです。分析結果をメニューのキャッチコピーに反映したところ、訴求力が大きく改善しました。
共通しているのは、「やめたことで本当に大事なことに集中できた」という点です。そして3ヶ月以内に効果が出たケースがほとんどでした。
「やめること」を決める具体的なステップ
やめること決断 STEP 1
1週間の行動を15分単位で書き出す
「棚下ろし」とはつまり、今自分が何に時間を使っているかを可視化することです。何となく「忙しい」と感じていても、実際に書き出してみると「この仕事は自分じゃなくてよかった」という発見が必ず出てきます。まずペン1本とノートで始められます。
⚠️ よくある失敗:「大体こんな感じ」で脳内で想像するだけで終わらせてしまうこと。必ず紙かメモアプリに書き出してください。頭の中では「忙しい理由」が見えません。
やめること決断 STEP 2
書き出した仕事を「自分だけ・任せられる・やめられる」に分類する
全ての仕事を3つに分けます。「自分にしかできない仕事」「他の人に任せられる仕事」「やめてもお客さんに影響がない仕事」。経営者さんに聞くと「全部自分にしかできない」と言いがちですが、実際に分類すると7〜8割は任せられる仕事です。
⚠️ よくある失敗:「でも誰もできないから」と任せることを最初から諦めてしまうこと。今できる人がいなくても、教えることはできます。まず分類してみることが先です。
やめること決断 STEP 3
空いた時間で「売上を作る仕事」に集中する
やめること・任せることを決めた後、空いた時間を「売上を作る仕事」に充てます。具体的には、名物メニューの開発、メニューブックの改善、LINE配信の仕組み作り、Googleビジネスプロフィールの整備など。これらは経営者にしかできない「店の未来を作る仕事」です。
⚠️ よくある失敗:空いた時間をなんとなく過ごしてしまい、結局また別の作業で埋めてしまうこと。「この時間はこれをやる」と先に決めておかないと、すぐに元に戻ります。
❌ やること追加型の経営(よくあるパターン)
- やることが増えるほど集中力が分散し、どれも中途半端になる
- 体力・時間の限界が「業績の天井」になる
- 忙しく働いているのに利益が残らないループから抜けられない
✅ やめること先行型の経営(推奨アプローチ)
- 本当に大事な仕事に時間とエネルギーが集中できる
- スタッフが育つ機会が生まれ、組織として売上を作れるようになる
- 努力の量を増やさずに、仕組みの質を変えて業績が伸びる
まとめ|やめることから始める経営改革
「小さなお店でやめるべき10のこと」を振り返ると、どれも「悪いことをしている」わけではありません。多くは「真面目に頑張っているがゆえに続けてしまっていること」です。
でも、やめることを決めた経営者さんから、確実に変化が始まります。月商130万円から450万円になった和歌山の飲食店も、SNS注文が1.5倍になった奈良のうどん店も、特別な投資なしに3ヶ月以内で結果が出ています。
共通しているのは「何かを足した」のではなく、「余分なものを整理して、本当に大事なことに集中した」という点です。
私、ハワードジョイマンは中小企業診断士として20年以上、全国の飲食店・美容室・小売店の経営者さんと向き合ってきました。テレビ東京「ガイアの夜明け」にも取材を受けましたが、そこで話したことも、今もここで伝えていることも、ブレていません。「売上より利益を重視する」「やることより先にやめることを決める」――この2つは、時代が変わっても本質的な経営の軸です。
まず今日、「自分が今週やったことの中で、やめても店に影響がないことはどれか」を1つだけ考えてみてください。それが最初の一歩です。
もっと深く「購買行動の7段階」に基づいた販促改善の考え方を知りたい方は、こちらの教科書がお役に立てます。値引きに頼らない集客の仕組みを、具体的な手順で解説しています。
また、毎月全国の飲食店・美容室経営者と一緒に「やめること・伸ばすこと」を実践している会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」も、ご興味があればぜひ覗いてみてください。北海道から沖縄、アメリカ在住の経営者まで、今も仲間が増え続けています。
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