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売上より利益を重視する経営|頑張っても貧しい店からの脱却

「先月、過去最高の売上を叩き出したんです。でも、通帳の残高はいつもと変わらなかった」

ある飲食店の経営者から、そんな話を聞いたとき、正直「ああ、またか」と思いました。悲しい意味ではなく、同じ場所で足踏みしている方があまりにも多いから、そう感じてしまうのです。

朝5時に仕入れに行き、仕込みをして、ランチを回し、ディナーを終えて片付けが終わったら深夜1時。体は限界なのに、手元に残るお金は雀の涙ほど。「もっと頑張れば変わる」と自分を奮い立たせてきたけれど、その「頑張り」が空回りしているとしたら——?

この記事では、そういう「頑張り屋の貧しい店」から抜け出すための考え方を、私自身の経験も交えながらお話しします。難しい理論ではなく、今日から視点を変えられる話です。

📋 この記事でわかること

  1. 売上が高いのにお金が残らない「構造的な理由」
  2. 「利益から逆算する経営」への切り替え方
  3. 値引きせずに客単価と粗利を同時に上げる具体的な方法
  4. 複数の収益源を作ることでキャッシュを安定させる発想

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上は立っているのに月末にお金が残らないと感じている方
  • ✅ 値引きクーポンやポータルサイトに頼った集客から抜け出したい方
  • ✅ 「もっと頑張れば変わるはず」という状態が何年も続いている方
  • ✅ 利益重視の経営に切り替えたいが、何から手をつければいいか分からない方
  • ✅ 客単価を上げたいが、押し売りになりそうで躊躇している飲食店経営者の方
売上より利益を重視する経営|頑張っても貧しい店からの脱却 | 全国の繁盛店がやっている増益繁盛店作りの強化書

「売上=頑張った証明」という思い込みが、経営者を貧しくする

私はもともと静岡市清水区で生まれ育ち、自営業の家庭で育ちました。物心ついた頃には店の手伝いをしていた記憶があります。だからこそ「頑張れば結果が出る」という感覚は、骨の髄まで染みついていた。

大学を出て清水市役所に勤めながら、中小企業診断士の資格を6年かけて取得し、週末はイタリアンレストランで無給の現場修行を積んでいた時期がありました。そこで見えてきたのが、「働く量と残るお金は比例しない」という現実でした。

現場で一番汗をかいていたのは店主でした。でも一番利益を出していたのは、ある特定の高単価コースでした。その料理を作る時間は、一番安いランチメニューを作る時間とほぼ同じ。なのに、手元に残る金額はまったく違う。

「売上=頑張りの量」と捉えているうちは、経営者はどこまでも忙しくなります。売上を積み上げるために客数を増やし、回転率を上げ、メニューを増やす。でもそのたびに仕入れが増え、人件費が膨らみ、利益は薄くなっていく。これが「頑張っているのに貧しい」の正体です。

「売上を追いかけるのをやめた瞬間、お金が残り始める経営者を何人も見てきました。逆説的に聞こえるかもしれないけれど、これは本当のことです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所代表)

「利益から逆算する」という発想の転換

では、どう変えればいいのか。答えはシンプルです——「先に利益を決める」のです。

多くの経営者は「売上を作ってから、残ったものが利益」という順番で考えています。でも逆にしてください。「今月いくらの利益が必要か」を最初に決め、そのために何をするかを考える。これが利益逆算経営の入り口です。

たとえば、65歳で店を引退して、20年間の老後生活を送るとします。毎月20万円の生活費が必要なら、必要な総額は4,800万円。それを逆算すると、今の事業から毎月いくらの利益を積み上げなければならないかが見えてくる。

この「逆算」をやった経営者と、やっていない経営者では、日々の意思決定がまるで変わります。逆算している人は「このクーポン施策、利益に繋がるか?」と問います。逆算していない人は「とにかく来てもらえれば」と考える。その差が、数年後の通帳の差になっています。

チェックポイント①:今の経営は「売上ベース」か「利益ベース」か

先月の売上額をすぐに答えられる一方で、粗利率・営業利益率がパッと出てこない場合、売上ベースの経営になっているサインです。

✅ ポイント:まず粗利率(売上総利益÷売上)を計算し、粗利率30%を下回る状態なら、メニュー構成と価格設計の見直しを最優先に。

チェックポイント②:値引きクーポンが集客の主役になっていないか

食べログやホットペッパーのクーポン客が全体の半分以上を占めている場合、来るほど利益が薄くなる構造になっています。

✅ ポイント:クーポン客の再来店率を一度確認してください。多くの場合、クーポン目当ての方はリピートしません。「値引き」ではなく「価値」で選ばれる仕組みへの転換が必要です。

チェックポイント③:労働時間と単価のバランスが取れているか

「10時間煮込んだスープを800円で提供」していながら、客単価が上がらないパターンは典型的な利益喪失構造です。

✅ ポイント:手間のかかる商品ほど、その「こだわりと価値」をお客さんに言語化して伝える必要があります。伝えずして価格を上げると離れますが、伝えてから上げると喜ばれます。

✓ ここまでのポイント

  • 「売上=頑張りの量」という思い込みが、忙しくても貧しい経営を生む根本原因
  • 利益逆算経営とは「先に必要な利益を決め、そのために何をするかを設計する」こと
  • 値引きクーポンで来た客は再来店しにくく、来るほど利益が薄くなる構造に注意

値引きをやめて利益が増えた——実際に起きたこと

和歌山県の飲食店オーナーが、私のもとに来たときの月商は130万円でした。ランチタイムにクーポンを配りまくって集客していたのに、忙しいわりにお金が残らないと悩んでいた。

そこで一緒に取り組んだのが「地域にない独自メニューを作る」ことでした。ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの「メイン3つ同時盛り」プレートを2,300〜2,500円で展開。クーポンをやめ、このプレートの価値をしっかり言葉で伝える販促に切り替えたところ、月商は450万円まで伸びました。

「値引きをやめたら客が来なくなると思っていた。でも実際は、価値を伝えれば、ちゃんと払ってくれるお客さんが来てくれた。むしろ質の高いお客さんが増えました」

和歌山県の飲食店経営者(増益繁盛クラブメンバー)

これはたまたまではありません。「値引きをやめる→価値を言語化する→利益が残る客層が増える」という流れは、私が20年以上・全国の飲食店・美容室・小売店を指導してきた中で、繰り返し起きていることです。

大切なのはメニュー名の変え方です。「ハンバーグ定食」という「作業名」ではなく、「肉汁あふれる炙り焼きハンバーグ〜地元農家の朝採れ野菜添え〜」という「ご利益の言葉」に変える。お客さんが知りたいのは料理の名前ではなく、「これを注文したら自分がどう嬉しくなるか」だからです。

「お賽銭箱を複数持つ」——1本の収益柱が折れたとき何が起きるか

千葉県のお好み焼き店のオーナーは、コロナ禍で店内売上が激減したとき、残っていた収益ゼロの状態を経験しました。それをきっかけに取り組んだのが、製薬会社向けの法人弁当(MR弁当)の開発でした。

単価2,500〜3,000円の弁当を、朝50個受注する安定ルートを構築。これが「第2のお賽銭箱」になりました。店内の売上が落ちても、弁当の収益が下支えしてくれる。収益の柱が1本から2本になるだけで、経営の安定感はまったく変わります。

これを私は「お賽銭箱を複数持つ発想」と呼んでいます。1つのお賽銭箱が20%の収益を失っても、他の箱が回っていれば経営は維持できる。飲食店であれば——

  • 店内売上(ランチ・ディナー)
  • デリバリー・テイクアウト
  • 法人向け弁当・ケータリング
  • 物販(自店のソース・出汁・加工品)
  • サブスクリプション(定期購入・月次パス)

これらを組み合わせることで、売上の「入口」を増やす。同じ店舗・同じスタッフで売上の天井を突破できるのは、こういう仕組みがあるからです。

利益重視経営への転換 STEP 1

老後から逆算して「今月の必要利益額」を決める

引退予定年齢・毎月の生活費・必要総額を書き出し、そこから今月いくらの利益を積み上げればいいかを計算します。この数字を先に決めることで、無意識の「売上追いかけ」から脱出できます。

⚠️ よくある失敗:「まずは売上を増やしてから考えよう」と後回しにすること。後回しにした分だけ、利益のない忙しさが続きます。

利益重視経営への転換 STEP 2

メニューを「ご利益の言葉」に書き換え、松竹梅の3段階を設計する

メニューの並び順を「安い順」から「一番売りたいもの順」に変え、上位メニュー・中位メニュー・入門メニューの3段階を設計します。お客さんは選択肢を与えられると、真ん中を選ぶ傾向があります(松竹梅の法則)。この設計だけで客単価が自然に上がります。

⚠️ よくある失敗:メニューを安い順に並べたまま「客単価が上がらない」と悩むこと。並び順を変えるだけで注文傾向は変わります。

利益重視経営への転換 STEP 3

収益源を2本以上に増やし、キャッシュの入口を複数設計する

今の店舗リソース(立地・スタッフ・調理設備・顧客リスト)を棚卸しし、追加できる収益源を1つ特定します。デリバリー・法人弁当・物販など、設備投資ゼロまたは最小限でスタートできるものから始めます。

⚠️ よくある失敗:いきなり複数の新収益源を同時に立ち上げようとして、どれも中途半端になること。まず1つを軌道に乗せてから次へ。

「利益を重視する」と決めた日から、経営の景色が変わる

有限会社繁盛店研究所を設立してから20年以上、北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、さまざまなお店の経営者とご一緒してきました。月商300万円から月商2億5,000万円まで伸ばした飲食店経営者も、増益繁盛クラブのメンバーにいます。

彼らに共通しているのは、「売上より利益を重視する」と腹を決めたことです。これは「売上を諦める」のではありません。「利益が出る構造を先に作り、その上に売上を積む」という順番に変えた、ということです。

頑張っても貧しい状態は、努力が足りないからではなく、頑張る方向が少しズレているから起きています。方向を変えるのに、莫大な投資は必要ありません。今日、メニューブックの並び順を変えることから始められます。

まず一歩を踏み出すなら、私が毎日更新しているメールマガジン「繁盛店になるための12のステップ」(読者数1万人超)から始めてみてください。専門用語を一切使わず、今日から使える話だけをお届けしています。無料で読めますので、気軽に登録してみてください。

利益重視の経営への転換を体系的に学びたい方には、こちらの教材がお役に立てると思います。

顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

また、全国の飲食店・美容室・小売店の経営者が集まる会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」では、毎月の会報誌・セミナー・個別サポートを通じて、利益重視経営への転換を一緒に進めています。月商・規模に応じたクラスをご用意していますので、ご自身のステージに合った形でご参加いただけます。

https://haward-joyman.com/zouekihanjyou/

「もう少し話を聞いてみたい」という段階でも大歓迎です。まずはメルマガを読んでいただき、そこから次のステップを考えていただければと思います。静岡市清水区の事務所(新清水駅徒歩1分)にてお待ちしております。

  • この記事を書いた人

ハワードジョイマン

利益倍増アドバイザー 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 代表取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 取締役 ・繁盛店グループ総代表 ・株式会社トクスル 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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