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個人経営の飲食店で売上を伸ばす人がやっている4つの習慣
結論から言います。
売上を伸ばし続けている個人経営の飲食店主には、料理の腕や立地の良さよりも先に、経営行動の「習慣」に明らかな共通点があります。
この20年間、北海道から沖縄まで、飲食店・美容室・小売店の経営者と向き合ってきた私(ハワードジョイマン/中小企業診断士)が観察してきた事実です。
「うちの料理は本当に自信がある。でも売上が伸びない」
この言葉を、何人の経営者から聞いてきたか、数え切れません。料理の完成度と売上の高さは、残念ながら自動的にはつながりません。では、伸びている店の経営者は何が違うのか。今日はその「習慣」を、実際の事例と合わせて具体的にお伝えします。

習慣①「売上」ではなく「お客さんの行動」を見ている
鳥取県のラーメン店を経営するNさん(経営歴8年)の話をします。
月商はずっと横ばい。「スープには絶対的な自信がある。でも数字が動かない」と相談に来られました。最初に私が聞いたのは売上の数字ではなく、「お客さんがお店を知ってから、2回目に来るまでの流れ」でした。
Nさんは少し戸惑いながら、「よくわからないです……」と答えました。
そこが出発点でした。
私がいつも経営者に伝えているのは、売上を「客数×客単価」という2つの数字で見るのをやめて、「知る→興味を持つ→来店する→入店する→注文する→会計する→再来店する」という7段階の購買行動で見るということです。
Nさんの場合、問題は「知る」の段階にありました。Googleビジネスプロフィールと食べログの口コミをAIで分析したところ、既存のお客さんが高く評価していたのは「スープの質」「懐かしさ」「立地の利便性」の3点。しかしメニューの説明文やSNSの投稿には、それがまったく表れていなかった。
つまり、価値はあった。でも伝わっていなかった。
口コミから掘り出したキャッチコピーをメニュー欄とGoogleプロフィールに反映したところ、新規の来店数が3ヶ月で1.5倍に増えました。料理には一切手を加えていません。
売上を伸ばしている経営者は、自分のお店の「どの段階でお客さんを逃しているか」を常に意識して見ています。売上という結果だけを見ていると、どこを改善すればいいかが永遠に見えません。
習慣②「値引き」ではなく「価値の言葉」で伝えている
和歌山県で洋食店を経営するSさん(月商130万円)の事例です。
ランチタイムの客単価が低く、原価率が圧迫していた状況でした。「値段を上げたいけど、客が減るのが怖い」という、多くの経営者が抱える典型的な悩みです。
一緒に考えたのは、価格の変更ではなく「メニューの名前と説明を変えること」でした。
それまでのメニューには「ハンバーグランチ」「ステーキランチ」と書いてあるだけ。食材の説明も、料理人としてのこだわりも、何も書かれていませんでした。これは「作業名」です。お客さんが知りたいのは、そのメニューを頼むことで自分にどんな良いことが起きるか——私はこれを「ご利益の言葉」と呼んでいます。
そこで、ハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライを一皿に盛った「メイン3つ同時盛り」プレートを開発し、「3種の主役が一度に楽しめる、ここにしかないランチ」という言葉で打ち出しました。価格は2,300〜2,500円。地域の他の洋食店にはない独自コンセプトです。
結果、月商は130万円から450万円へと伸長しました。値引きは一切していません。
売上を伸ばしている経営者は、クーポンや割引で人を集めようとしません。代わりに、自分のお店ならではの価値を「お客さんにとってどう嬉しいか」の言葉に変換することに時間を使っています。
習慣③「店内の売上」以外に、もう一つの収益源を持っている
千葉県でお好み焼き店を経営するKさんの話です。
コロナ禍で売上が激減した時期、Kさんが悟ったのは「店の中の客席だけに依存するリスク」でした。そこで取り組んだのが、近隣の製薬会社向けのお弁当提供です。
単価2,500〜3,000円のお弁当を、毎朝50個受注する仕組みを作りました。店内のランチ客が少ない時間帯を活用できるため、スタッフの稼働も効率的です。今では、このMR弁当事業が月の売上の一定割合を安定して支えています。
私がよく使う言葉に「お賽銭箱を複数持つ」というものがあります。一つの賽銭箱しか持っていないお寺は、参拝客が減ったら収入がゼロに近づきます。でも複数の賽銭箱があれば、一つが不調でも他でカバーできる。
飲食店の収益源は、店内売上だけではありません。デリバリー、法人向け弁当、物販、テイクアウト専用ライン……同じ店舗・同じスタッフで、売上の天井を引き上げる方法は必ずあります。
売上を伸ばしている経営者は、「今の店内でもっと頑張る」という方向だけでなく、「収益の入口を増やす」という発想を常に持っています。
習慣④「既存のお客さんとの接触頻度」を仕組みで増やしている
奈良県のうどん店の事例をご紹介します。
このお店は、メニューに使う麺の幅を少し広めに変えただけで、SNSで大きな反響が生まれました。「あの太い麺のうどん、食べに行きたい」という投稿が広がり、新規客が増えただけでなく、既存客が「久しぶりに行ってみようか」と再来店するきっかけにもなりました。
この事例が示しているのは、「小さな変化を発信し続けること」が接触頻度を生むということです。
心理学に「ザイアンス効果」という概念があります。人は接触回数が増えるほど、その対象に好意を持ちやすくなる。お客さんとの関係も同じです。来店がない期間も、SNSやLINE配信でお店の存在が頭にある状態を作り続けることが、再来店率を高めます。
売上を伸ばしている経営者は、「来てくれたお客さんにまた来てもらう仕組み」を意識的に作っています。特別なことではありません。LINE公式アカウントで週1回お店の近況を送る、旬の食材の入荷をInstagramに投稿する——そういった地道な接触の積み重ねが、リピーター比率を上げていきます。
新規客を増やすことばかりに目が向きがちですが、実は「既存客の再来店率を10%上げる」ことのほうが、広告費をかけずに売上を伸ばす最短ルートであることが多いです。
まとめ:4つの習慣は「特別な才能」ではなく「見方と動き方」の問題
今日ご紹介した4つの習慣を整理します。
- 売上ではなく「お客さんの行動の7段階」を見る
- 値引きではなく「ご利益の言葉」で価値を伝える
- 店内売上以外の収益源を一つ持つ
- 既存客との接触頻度を仕組みで増やす
どれも、特別な設備投資や専門的なITスキルは必要ありません。実際に紹介した事例の経営者の多くも、最初は「SNSは苦手」「販促は何もやったことがない」という状態からスタートしています。
大切なのは、「料理さえ良ければ客は来る」という思い込みから一歩引いて、お客さんがどこで足を止め、どこで離れているかを見る習慣を持つことです。その視点が変わると、今日から動けることが必ず見えてきます。
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