飲食店経営者の約7割が「売上は立っているのに利益が残らない」という状況を経験している、というのをご存知でしょうか。
「もっと売上を伸ばせば、利益も増えるはず」――多くの店主さんがそう信じて、新メニューの開発や集客施策に全力を注ぎます。でも正直に言うと、売上を増やす前にやるべきことが、個人店にはあります。
私、ハワードジョイマンは静岡県静岡市清水区を拠点に、20年以上にわたり全国の飲食店・美容室・小売店経営者の利益アップを支援してきました。中小企業診断士として、またお笑い芸人時代に培った「人の心をつかむ発想」を経営に応用したコンサルタントとして、毎日のようにこのテーマと向き合っています。
今日は「個人店で利益を残す方法」について、売上アップより先にやるべきことを、具体的な事例を交えてお伝えします。
📋 この記事でわかること
- なぜ売上を増やしても利益が残らないのか、その構造的な原因
- 利益を残すために売上アップより先にやるべき3つのこと
- 「値引きせずに」客単価と粗利率を同時に上げる具体的な方法
- 実際に利益が改善した全国の個人店経営者の事例
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は上がっているのに月末になるとお金が残らないと感じている方
- ✅ 値引きクーポンで集客しているが粗利が薄くなっていると気づいている方
- ✅ 忙しく働いているのに、手取りが増えていないと悩む個人店経営者
- ✅ 「利益重視の経営」に切り替えたいが、何から始めればいいかわからない方
- ✅ 客単価を上げたいが、値上げで客が離れることを恐れている方

目次
「売上=利益」ではない。個人店が陥りがちな構造的なワナ
少し厳しいことを言いますね。
「売上が増えれば利益も増える」という考え方は、個人店においては半分しか正しくありません。なぜなら、売上を増やそうとするときに多くの経営者がやってしまうのが、「値引きクーポン」「低価格ランチ」「食べログのポイントアップ」といった施策だからです。
売上は確かに上がる。でも粗利が薄くなる。結果、忙しさだけが増して手元のお金は変わらない――これが「売上は立っているのに利益が残らない」の正体です。
例えば、10時間かけて仕込んだ煮込みスープのラーメンを900円で提供していたとします。原価・人件費・光熱費を差し引いたとき、本当に利益が残っているでしょうか。1杯ずつの計算では利益が出ているように見えても、労働時間対比で考えると「時給に換算したら最低賃金以下」というケースは珍しくありません。
売上という表面の数字に追われるより先に、利益の構造を見直す。これが、個人店で利益を残すための出発点です。
チェックポイント①:自店の「粗利率」を把握しているか
売上から原材料費を引いたものが粗利です。売上が月300万円でも粗利率が40%なら粗利は120万円。そこから人件費・家賃・光熱費・広告費を引いて、最終的に手元に残るのはいくらですか?多くの経営者がこの数字を「なんとなく」でしか把握していません。
✅ ポイント:まず現在の粗利率を計算しましょう。粗利率が50%を下回っている場合、値引き施策をやめて「価値訴求」に切り替えることを最優先に考えてください。
チェックポイント②:値引きクーポンで集まった客の「リピート率」を確認しているか
クーポン目当てのお客さんは、クーポンがなければ来ません。集客コストをかけて来てもらっても、リピートにつながらなければ「穴の開いたバケツに水を注ぐ」状態です。
✅ ポイント:クーポン施策を続けている場合、そこから生まれたリピーターが何人いるかを確認してください。ほぼゼロなら、今すぐその施策の見直しタイミングです。
利益を残すために、売上アップより先にやるべき3つのこと
では具体的に何をすればいいか。私が20年間、全国の飲食店経営者を指導してきた中でたどり着いた答えは、次の3つです。
利益改善 STEP 1
「老後から逆算」して、今月必要な利益額を決める
「売上目標300万円」ではなく、「65歳で引退して20年間の生活費3,000万円が必要。だから今月の利益は〇〇万円必要」という逆算で経営を設計します。利益から逆算して客単価・粗利率・客数の目標値を決める。この順番を変えるだけで、経営の判断基準が根本から変わります。
⚠️ よくある失敗:目標設定を「売上〇〇万円」で止めてしまい、そのために値引きやキャンペーンをやり続けてしまうこと。売上目標より先に「必要な利益額」を決めましょう。
利益改善 STEP 2
メニュー名を「作業名」から「ご利益の言葉」に変える
「ハンバーグ 1,200円」と書いてあるメニューと、「肉汁あふれる炙り焼きハンバーグ〜シェフが毎朝手ごねする特製デミグラスソース〜 1,500円」と書いてあるメニュー。価格が300円高くても、後者の方が注文率が高くなります。
お客さんが知りたいのは「このメニューを頼んだら自分がどう幸せになるか」です。これを私は「ご利益の言葉」と呼んでいます。値上げの前にまずメニュー表現を変える。これだけで粗利率が大きく変わります。
⚠️ よくある失敗:「説明が長くなりすぎてメニューブックが見づらくなる」と感じて途中でやめてしまうこと。1〜2行のひと言説明で十分です。まず一番売りたいメニューから試してください。
利益改善 STEP 3
「松竹梅」の価格帯設計で、お客さんに「選ばせる」状態を作る
メニューに価格帯が1種類しかない場合、お客さんは「頼む・頼まない」の2択しかできません。でも「梅:スタンダード」「竹:プレミアム」「松:スペシャル」の3段階があると、多くの人は「竹」を選びます。この心理を使えば、値上げをせずに客単価を上げられます。
⚠️ よくある失敗:「松」の価格を高くしすぎて誰も頼まない設計にしてしまうこと。松の価格は竹の1.5〜1.8倍以内が目安です。
「売上より利益を重視する、という言葉は簡単です。でも実践している経営者は少ない。なぜかというと、売上という数字は目に見えてわかりやすいけど、利益はちょっと計算が面倒だから。でも、その面倒を一度やり切った経営者は、もう売上だけを追いかける経営には戻れなくなります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・増益繁盛クラブ主宰)
✓ ここまでのポイント
- 「売上を増やす=利益が増える」は個人店では成立しない。値引き集客は粗利を削るだけ。
- 利益を残すには「老後逆算」で今月の必要利益を先に決め、客単価と粗利率を設計し直す。
- メニュー表現を「作業名」から「ご利益の言葉」に変えるだけで、値上げなしで注文単価が変わる。
「値引きせずに」客単価を上げた実際の事例
「理屈はわかるけど、本当に値引きせずに売上と利益が同時に伸びるの?」という声をよくいただきます。実際にどんな変化が起きているか、全国の事例をご紹介します。
「ランチメニューに『メイン3つ同時盛りプレート』を2,300〜2,500円で出したところ、地域にない独自コンセプトとして話題になり、客数と客単価が同時に上がりました。値引きなんて一切していないのに、お客さんが勝手に写真を撮ってSNSに上げてくれるようになって。ジョイマン先生の言う通り、価値を作れば価格は後からついてくるんだと実感しました。」
和歌山県の飲食店経営者(月商130万円→450万円へ)
この事例のポイントは「地域にない独自コンセプト」です。ハンバーグもハラミステーキもエビフライも、それ単体では珍しくない。でも「3つ同時盛り」という組み合わせ方が新しかった。新しい設備も、特別な食材も不要です。既存の要素を組み合わせるだけで差別化が生まれます。
もう一つ、仕入れ構造とは別の角度から利益を増やした事例もあります。
「製薬会社向けのMR弁当(単価2,500〜3,000円)を朝50個受注する仕組みを作りました。店内の席数に関係なく、毎朝確実にキャッシュが入ってくる。店内売上が落ちても、このルートがあるから資金繰りの不安がなくなりました。ジョイマン先生の言う『お賽銭箱を複数持つ』発想が、こういうことかと腹落ちしました。」
千葉県のお好み焼き店経営者
店内売上だけに依存しない収益設計――これも「売上アップより先にやるべきこと」の一つです。1つの収益経路が細くなっても、他の経路があれば店全体のキャッシュは守れます。
「ご利益の言葉」×「複数の収益源」で利益体質に変わる
ここまで読んでいただいて、おそらく「何から始めればいいか」が少し見えてきたと思います。
整理すると、個人店で利益を残すための道筋はシンプルです。
❌ よくある個人店の利益を削るパターン
- 売上目標だけを設定して、達成のために値引き集客を繰り返す
- 粗利率を把握せず、忙しいのに手元のお金が増えない状態が続く
- 店内売上1本に依存しているため、売上が落ちた瞬間に資金繰りが詰まる
✅ 利益が残る個人店の設計パターン
- 老後から逆算した利益目標を先に決め、それを実現する客単価・粗利率を設計する
- メニュー表現を「ご利益の言葉」に変え、値上げなしで注文単価を上げる
- 店内売上以外に「第2・第3のお賽銭箱」(デリバリー・法人向け・物販)を作る
特別な設備投資は要りません。莫大な広告費も要りません。今ある店舗・スタッフ・メニューのまま、設計の仕方を変えるだけです。
「私が市役所を辞めてコンサルタントになってから20年以上経ちます。その間に指導してきた全国の飲食店経営者に共通していたのは、『もっと料理を磨けば客が来る』と信じて、商売の設計を後回しにしていたことでした。料理の腕は本当に素晴らしい。でも、その価値をお客さんに伝える言葉と、利益が残る仕組みがなければ、どれだけ美味しくても経営は苦しくなる。私はいつもそこをお伝えしています。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役・中小企業診断士)
まとめ|売上の前に「利益の構造」を変えることが、個人店の第一歩
改めてポイントを整理します。
個人店が利益を残すために、売上アップより先にやるべきことは次の3つです。
- 老後から逆算して、今月必要な利益額を先に決める(逆算経営への切り替え)
- メニュー名・説明を「ご利益の言葉」に変え、値上げなしで客単価を上げる
- 店内売上以外に「お賽銭箱を複数」作り、収益の入口を増やす
どれも今日から始められることです。特別なITスキルも、大きな設備投資も必要ありません。私が20年間・全国の飲食店経営者を指導してきた中で、この3つを実践した経営者から業績改善の報告が続いています。
「もう少し詳しく学んでみたい」「自分の店に当てはめたらどうなるか考えてみたい」という方には、まず販促改善の教科書から読んでいただくことをおすすめします。顧客の購買行動を軸にした、利益を残す仕組みづくりの全体像がわかります。
👇 利益が残る店の仕組みを、購買行動ベースで学ぶ
顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書
また、継続的に学びながら全国の飲食店経営者と情報交換したい方には、会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」がご活用いただけます。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、毎月の会報誌・セミナー・個別サポートを通じて利益体質への転換を一緒に進めています。お気軽にご覧ください。
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https://haward-joyman.com/zouekihanjyou/
静岡市清水区・新清水駅から徒歩1分のところで、毎日こうした経営の話を発信し続けています。まずは無料メールマガジン「繁盛店になるための12のステップ」から、気軽に読み始めてみてください。