実は、日本国内の飲食店・サロン系店舗のうち、開業から5年以内に廃業する割合は約80%というデータがあります。この数字を聞いて「うちは関係ない」と感じるオーナーと、「もしかしたら自分もそうなるかもしれない」と背筋が伸びるオーナーがいます。
ハワードジョイマンです。静岡市清水区で経営コンサルタントをやっています。
実は私、休日のほとんどを「街歩き」に使っています。清水区の巴町界隈をぶらぶら歩きながら、どの店に人が入っているか、どの店が閑散としているかを観察するのが、もう20年来の習慣になってしまいました。地元でも「またジョイマンが店の外から中を覗いてる」と言われることがあるくらい(笑)。新清水駅から歩いてすぐの立地柄、いろんな業態の店を見られるんです。
そんな街歩きの中でずっと感じてきたことがあります。長く繁盛し続けている店のオーナーは、やっていることよりも「考え方」が根本的に違う、ということです。飲食店でもサロン系でも、業種を超えてその共通点は変わりません。
今回は、20年以上・全国の店舗経営者を見てきた私が気づいた「成功するオーナーに共通する5つの考え方」をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は立っているのに、なぜか手元にお金が残らないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 値引きクーポンに頼らない集客方法を探している方
- ✅ 現場仕事が忙しすぎて「経営」を考える時間がないと感じている方
- ✅ 5年・10年先も繁盛し続けるお店の基盤を作りたい方
- ✅ 他のオーナーと何が違うのかを客観的に知りたい方
目次
考え方①「売上より先に、利益を設計する」
街歩きをしながらよく思うのですが、混んでいる店が必ずしも儲かっているわけじゃないんです。土曜の夜、満席でてんてこ舞いなのに、月末になったらお金が残っていない。こういうオーナーさんの話を聞くと、だいたい共通する原因があります。
「売上」を追いかけて、「利益」の設計を後回しにしているのです。
成功するオーナーは逆の順番で考えます。「自分が60歳でリタイアするまでに、毎月いくらの利益が必要か」から逆算して、今月の客単価と粗利率を設計する。売上目標を立てるのではなく、利益目標から逆算して売上の中身を組み立てる。
10時間煮込んだスープを800円で出して「頑張っている」と感じているうちは、利益設計ができていない状態です。働いた量ではなく、残った利益の量で経営を評価するクセをつけることが最初の一歩です。
考え方②「お客さんの行動を7段階で見る」
「うちの料理(サービス)は本当に自信があるのに、なぜか来てもらえない」という悩みを持つオーナーさんは本当に多いです。でも、商品の品質が高くても売上が伸びない理由は1つ。お客さんが「知る→興味を持つ→来店する→入店する→注文する→会計する→再来店する」という7段階のどこかで止まっているからです。
繁盛しているオーナーは、この7段階を分解して「自分の店はどのステップで客が離れているか」を常に考えています。
たとえば、店の前の通行量はあるのに入店率が低いなら、外観や看板の問題です。入店しても注文単価が低いなら、メニューブックの設計の問題。リピートに繋がらないなら、再来店の仕掛けが足りていない。
「もっと頑張る」という総量的な努力ではなく、7段階のどこを改善するかを特定する。各段階を1.2〜1.3倍ずつ改善するだけで、全体の売上は2〜3倍になる計算が成り立ちます。これは私が20年指導してきた中で確信していることです。
✓ ここまでのポイント
- 売上目標より利益目標を先に設定し、逆算で経営を設計することが繁盛の土台になる
- お客さんの行動を7段階に分解し、どのステップで離脱しているかを特定することが最短の改善ルート
考え方③「値引きではなく、ご利益の言葉で選ばれる」
休日に街を歩いていると、クーポン券が貼られた窓の店と、何も貼っていないのに人が並んでいる店が目に入ります。後者のオーナーに共通しているのが、「価値を言葉で伝える」ことへの徹底した意識です。
たとえばメニューに「ハンバーグ 1,200円」と書くか、「国産和牛100%・鉄板でジュっと焼き上げる肉汁ハンバーグ 1,200円」と書くかで、注文率はまったく変わります。前者はただの商品名(作業名)で、後者はお客さんが得られる体験や価値、つまり「ご利益の言葉」です。
私はこれを「ご利益の言葉化」と呼んでいます。値段を下げずに、言葉を変えるだけで選ばれやすくなる。クーポンに頼らなくても客単価が上がる。これを自然にやり続けているオーナーが、長く繁盛している人たちです。
「ランチにハンバーグ・ハラミステーキ・エビフライの3つ同時盛りプレートを2,300円で出したら、地域に似たお店がないということで一気に話題になりました。値段を下げたわけじゃないのに、月商が130万円から450万円になりました」
和歌山県の飲食店オーナー(増益繁盛クラブメンバー)
この事例がまさに典型で、値引きではなく「地域にないコンセプト」と「ご利益の言葉」で選ばれた結果、3倍以上の月商を実現しています。
考え方④「収益の入口を複数持つ」
私が20年やってきて、廃業していくお店に共通する最大のパターンが「収益源が1本しかない」ことです。コロナを経験した方なら、この怖さを身に染みて感じたはずです。
成功しているオーナーは、「お賽銭箱を複数持つ」感覚で収益の入口を設計しています。店内売上という1つのお賽銭箱だけでなく、デリバリー・テイクアウト・法人向けの弁当・物販・サブスクといった複数の入口を持つ。
「製薬会社の営業担当者向けに、朝50個の弁当を単価2,500〜3,000円で受注するルートができました。店が開く前の時間帯で稼げる、まったく新しいお財布ができた感覚です」
千葉県のお好み焼き店オーナー(増益繁盛クラブメンバー)
1つの収益源が20%落ちても、4つ持っていれば残り80%は維持できます。「飲食店だから店内売上だけ」という思い込みを捨てて、自店のリソースで何ができるかを問い直すこと。これが環境変化に揺るがない経営の骨格になります。
考え方⑤「自分の時間を経営業務に使う」という覚悟
最後にお伝えするのが、ある意味で一番難しい考え方かもしれません。
成功しているオーナーほど、「自分にしかできない仕事」と「他の人に任せられる仕事」を明確に分けています。毎日現場に入って調理・接客・レジ・清掃まで全部やっている社長は、経営戦略を考える時間が物理的に確保できません。
私がよくやってもらうのは、1週間の行動を15分単位で書き出して、「やめること」「任せること」「自動化すること」に分類するワークです。これをやると、実は「自分じゃなくてもできる仕事」に1日の大半を使っていたと気づくオーナーさんが多い。
やることを増やす前に、やめることを先に決める。空いた時間を「売上を作る仕事」と「仕組みを作る仕事」に使う。これが、現場から抜け出せない状態を変える唯一の道です。中小企業診断士として20年指導してきた立場からはっきり言えますが、この覚悟を持てたオーナーが、結果を出す速度が一番早い。
まとめ:考え方が変わると、行動が変わる
5つの考え方をまとめます。
- ① 売上より先に、利益を設計する
- ② お客さんの行動を7段階で見る
- ③ 値引きではなく、ご利益の言葉で選ばれる
- ④ 収益の入口を複数持つ
- ⑤ 自分の時間を経営業務に使うという覚悟
どれか1つでも「これ、できていないな」と感じたなら、そこが今のあなたの店の伸びしろです。全部一気にやらなくていい。まず一番刺さったものを、今週1つだけ試してみてください。
もし「自分の店のどこを直せば売上と利益が変わるのか」をもっと具体的に知りたい方には、まず下記の教科書をご覧いただくことをおすすめします。顧客の購買行動を軸に、どこから手をつけるかを体系的に整理しています。
また、全国の飲食店・美容室・小売店の経営者が集まる会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」では、毎月の会報誌・セミナー・個別サポートを通じて、これらの考え方を実際のお店に落とし込む支援をしています。北海道から沖縄、アメリカ在住の日本人経営者まで、20年以上の実践者が全国にいます。
まずは無料メールマガジン「繁盛店になるための12のステップ」から読み始めていただくのが、いちばん気軽な入口です。会員制コンサルティングが気になる方は、こちらからご確認ください。
街歩きが趣味の私が、日々観察してきた「繁盛する店としない店の差」。その本質は、立地でも資金でも設備でもなく、オーナーの考え方にあります。あなたのお店が、5年・10年と選ばれ続ける1軒になるために、一緒に動き出しましょう。