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うなぎ屋の経営で売上を守る方法|素材の価値を伝える言葉の力
知っていましたか? 飲食店の経営者を対象にした調査では、「自分のお店の強みを言葉にして発信できている」と答えた店主はわずか2割程度という実態があります。残り8割の店主は「良いものを作っているのに、なぜか売上が伸びない」という状態に陥っているのです。
これはうなぎ屋さんに特に顕著な傾向だと感じています。天然・養殖の仕入れにこだわり、タレの継ぎ足しを何十年と守り、焼きの技術を磨き続けてきた。にもかかわらず、ウナギの仕入れ価格が年々高騰する中で、値上げに踏み切れずじわじわと利益が削られていく——そういう経営者から相談を受けることが、最近本当に増えています。
私はハワードジョイマン。静岡県清水区を拠点に、20年以上にわたって全国の飲食店・美容室・小売店の経営者をサポートしてきた経営コンサルタントです(中小企業診断士、経済産業省登録番号402345)。テレビ東京「ガイアの夜明け」にも出演し、現在は会員制コンサルティング「増益繁盛クラブ」で北海道から沖縄・アメリカ在住の日本人経営者まで幅広く指導しています。
今回は、うなぎ屋の経営で「素材の価値を伝える言葉の力」がいかに売上を守り、利益を生み出すかを、実際の支援事例を交えながら具体的にお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ うなぎ屋・専門店として素材や技術にこだわっているのに、価格を上げられずにいる経営者
- ✅ 仕入れコストの高騰で利益率が下がり、売上を守る手立てを探している方
- ✅ 「うちの良さはわかる人にはわかる」と思いながら、どう発信すればいいか迷っている店主
- ✅ 値引きクーポンに頼らない集客の仕組みを作りたい方
- ✅ メニュー表やSNSで自店の魅力をうまく伝えられていないと感じている方

「素材が良い」だけでは伝わらない理由
うなぎ屋さんで多いのが、メニュー表に「国産うなぎ使用」とだけ書いてあるケース。確かに正確な情報です。でもお客さんの立場で考えると、「国産うなぎ使用」という言葉だけでは、自分がそれを食べることでどんな体験が得られるのか、まったく伝わっていません。
私が提唱している考え方に「ご利益の言葉化」というものがあります。簡単に言えば、メニュー名や説明文を「作業名・素材名」から「お客さんが得る体験・感情」に置き換えるということです。
たとえば、「特上うな重」というメニュー名。これは「作業名」です。お客さんに伝わるのは等級の高さだけで、なぜ特上なのか、食べたらどうなるのかが見えません。これを「皮はパリッ、身はふっくら——職人が一尾ずつ丁寧に焼き上げた特選うな重」と書き換えると、食べる前から口の中に味の想像が広がります。
この違いが、注文率と客単価を動かします。「特上を頼むのはちょっと……」と迷っていたお客さんが、その言葉を読んで「やっぱり特上にしよう」と手が動く。追加で肝吸いを頼む。これが値引きなしで客単価を上げる仕組みの入り口です。
うなぎ専門店の成功事例:言葉を変えただけで客単価が1.4倍に
私が支援した専門店(うなぎ・天ぷら系)の事例をご紹介します。その店は創業30年以上の老舗で、仕入れルートにもこだわりがあり、地元では根強いファンがいた。ただ、仕入れ値の上昇に対して値上げに踏み切れず、数年間じわじわと利益が圧迫されていた。
最初にやったのはメニュー分解でした。どのメニューが一番売れているか、どのメニューが一番利益率が高いか、どのメニューがリピーターに頼まれやすいかを整理する。そこで見えてきたのは、「特上うな重」を頼む率は全体の約3割だが、お客さんの満足度は圧倒的にこちらの方が高い、という事実でした。
次にやったのは「ご利益の言葉化」。メニュー表の説明文を全面的に書き換えました。たとえばこんな具合です。
- 変更前:「特上うな重(国産うなぎ使用)」
- 変更後:「職人が朝から備長炭で丁寧に焼き上げた、国産うなぎの特選うな重。皮目のパリッとした食感と、口の中でほどける柔らかな身——一度食べると、次もこれを選びたくなります」
さらに、松竹梅の3段階構成でメニューを並び替え、一番上に利益率の高いメニューを配置しました(多くの店は一番安いメニューを上に並べているため、結果的に安いものしか売れなくなっています)。
この変更だけで3ヶ月後に特上を頼む比率が3割から5割近くに上昇。客単価は1.4倍近くに伸びました。追加で値引きは一切していません。
「メニューの言葉を変えるだけで、お客さんの反応がこんなに変わるとは思っていませんでした。値上げに踏み切る前に、まずこれをやるべきでしたね。お客さんから『いつもより上のを頼んでみようかな』と声をかけてもらえることが増えました」
専門店(うなぎ・天ぷら)経営者・50代男性
✓ ここまでのポイント
- 「素材が良い」という情報だけでは、お客さんは価値を判断できない。食べることで得られる「体験・感情」を言葉にすることが先決。
- メニュー名と説明文を「作業名・素材名」から「ご利益の言葉」に書き換えるだけで、値引きなしに客単価を上げる流れが生まれる。
- メニューの並び順を見直す(利益率の高いものを上に置く)ことで、注文比率が変わる。
口コミ・SNSで「素材の価値」を積み上げる仕組み
言葉の力はメニュー表の中だけで完結しません。むしろ今の時代、お客さんがお店を選ぶ前の「知る→興味を持つ」という段階でどう伝えられているかが、来店そのものを左右します。
私がよく紹介するのが、鳥取県のラーメン店の事例。Googleビジネスプロフィールと食べログの口コミをAIで分析し、お客さんが自然に評価している言葉(スープの質・懐かしさ・立地利便性)を拾い上げ、それをメニュー欄のキャッチコピーに反映させたものです。
うなぎ屋でも同じことができます。自店のGoogleの口コミを見返してみてください。「タレの深みが違う」「皮がパリッとしていて感動した」「ふるさとに帰ってきた気分になった」——こういう言葉が必ずあるはずです。それはお客さんが自分の言葉で語ってくれた「素材・技術の価値」の証言です。
これをそのままSNSやGoogleビジネスプロフィールの説明文、メニューのキャッチコピーに使う。お客さんが感じた価値を、次に来るお客さんへの「入り口の言葉」として活かすわけです。自分で考えた言葉より、お客さんが使う言葉の方が、同じお客さんの心に届きやすいのは当然です。
SNS投稿も、「本日のおすすめ」の一言だけで終わらせてはもったいない。「今朝届いた〇〇産の国産うなぎ、今日の仕入れは特に身が厚くて脂乗りが抜群です。備長炭でじっくり焼き上げるので、12時のご来店がベストタイミングです」——こういう一文が、「今日行こう」という行動を引き出します。
値上げを成功させるための「価値の積み上げ方」
うなぎの仕入れ価格が高騰している今、値上げを検討している経営者は多いはずです。ただ「値上げ=客が離れる」という恐怖が先に立って動けない。
これは「値上げに見合う価値がお客さんに伝わっていない」ことが本当の問題です。価値が伝わっていれば、値上げしても離れるお客さんは思ったより少ない。むしろ「この価格で食べられるのはありがたい」と感じてもらえる余地すら生まれます。
値上げの前に必ずやっておくべきことは3つです。
- ご利益の言葉化——メニュー表の説明文を書き換え、価値が見える状態にする
- 名物メニューの「見える化」——一番自信のある一品を「顔」として前面に出し、POPや卓上カードで伝える
- 上位メニューへの誘導——松竹梅の3段階構成で「梅(一番安い)を選ぶ理由より、竹を選ぶ理由」が伝わる設計にする
この3つを整えてから値上げに踏み切ると、お客さんは「値段が上がった」より「この価値なら納得」という判断をしやすくなります。
「月商130万円から450万円まで伸ばせたのは、値引きをやめて『なぜこのメニューなのか』を伝える言葉を徹底したからだと思います。地域にない独自のコンセプトを打ち出したことで、お客さんが値段で比較するのをやめてくれました」
和歌山県・飲食店経営者
まとめ:うなぎ屋の売上を守る本当の武器は「言葉」
素材にこだわり、技術を磨き続けてきたうなぎ屋の経営者こそ、「言葉で価値を伝えることに慣れていない」という傾向があります。それは職人としての誠実さの裏返しでもあるのですが、残念ながら今の時代、「良いものを作れば伝わる」だけでは売上は守れません。
やることはシンプルです。メニュー表の言葉を「作業名・素材名」から「お客さんが食べることで得られる体験・感情」に書き換える。口コミに残っているお客さんの言葉を、次に来るお客さんへの入り口に使う。上位メニューが自然に選ばれる並び順に変える。この3つを3ヶ月で順番に実行するだけで、売上の構造は変わります。
値引きは一切必要ありません。むしろ値引きをやめることが、利益を守る第一歩です。
今回ご紹介したメニューの言葉の作り方・購買行動を軸にした販促の設計について、さらに体系的に学びたい方は、下記の教材をぜひご覧ください。うなぎ屋・専門店経営者の方が実践できる具体的な手順をまとめています。
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